最近驚いたことがある。
ある企画書を見たときのことだ。その企画書は、お世辞にも素晴らしい内容とは言えないものだった。
もっと率直に言うと、「学生が初めて作った資料」のようだった。企画書をあまり見慣れていない私でもわかる素人感。失礼ながら、誰にでも書ける抽象的なワードを並べただけの薄っぺらい内容だった。
だが、驚いたのはその企画書に対してではない。その企画書を採用した人に対してである。
この内容でなぜ採用したのか。不思議に思ったが、疑問は一瞬にして解決された。企画書を書いた人の経歴が立派だから採用したのだ。
彼の経歴を見ると、たしかにわかりやすく立派な肩書きや実績が並べ立てられ、いかにも仕事ができる人間であるかのようなアピールがされていた。肩書きや実績に嘘はないだろうから、実際に仕事ができる方なのかもしれない。その点はすごいと思う。
でも、経歴が立派な人が書いた企画書だから内容も素晴らしいかというと必ずしもそうではない。
その企画に私自身は直接関与していないので、何か不利益を被ったわけではない。何を採用しようが関係ないと言えば関係ない。
ただ、明らかに薄っぺらい内容の企画書を経歴だけで採用してしまって本当にいいのか、部外者ながら心配になってしまった。
経歴や肩書きで判断してしまうことは私もある。
特に、経歴や肩書き以外の情報がない場合は、その限られた情報で相手のことを推測するしかない。
経歴や肩書きは過去の実績そのものでもあるから、時に非常に有益な情報ともなりうる。だがそれ以外の情報が入ってきた場合、それはそれとして受け止めるのが筋だろう。できるだけフラットにその情報を見て判断したいものである。
☆★☆★☆
そういえば以前、「女性の名前で仕事のメールを送ってみたら……見えない差別に気づいたある男性の話」という記事が話題になった。
ご存知の方も多いだろうが、簡単にまとめると、
・男性が誤って女性の名前でクライアントにメールしてしまった。
・クライアントは軽蔑した態度をとり、メールに書いた質問を無視した。
・男性が誤りに気づき、自分の名前(男性の名前)でメールをしたところ、クライアントはアドバイスを受け入れた。
・指導の仕方やアドバイスは何一つ変えていない。変わったのは、名前が男性になったことだけだった。
という、性別によってクライアントの態度が変わった話である。
ここまで露骨な性差別は今時珍しいような気もするが、たしかに性別によって相手に与える印象が変わってくるという現実があることは否定できない。私も仕事をしていて性別を意識せざるを得ない状況になったことがあるので、経験からもある程度納得できる。
性別と肩書きを同じだというつもりはないが、表面的な情報で相手を判断し、本質を見極めることができていないという点で、この話は企画書と通じる部分がある。
クライアントはアドバイスよりも性別を大事にする人間であり、企画書を採用した人は内容より経歴を大事にする人間だったということだ。
そうではなかったとしても、少なくとも周囲の人にはそう見られてしまう。
いずれにしても、肩書きだけで判断してしまう人は「肩書きでしか判断できない」、すなわち「本質を見極める能力がない」人間であると自らを位置づけてしまっていることに気づいたほうがいいだろう。
☆★☆★☆
ではまた!
次も読んでね!
(2025/3/10更新)
最新のメルマガ運用の知識やノウハウを皆様と共有するティネクト主催ウェビナーのお知らせです
メルマガを活用して成果を上げる!3つのポイント
・メルマガがコンバージョンポイントとして機能する理由とは?
・「チラシDM」と「読み物コンテンツ」の使い分けで効果を最大化
・リスト管理や配信頻度の最適化で、開封率・クリック率を向上させる方法
<2025年3月18日実施予定>
メルマガ運用の基本と効果を最大化するノウハウを徹底解説
メルマガは「古い手法」ではなく、「確実に成果を生むマーケティング手法」。 本セミナーでは、メルマガ運用の基礎から、実際の効果的な運用方法までを解説します。
【内容】
メルマガの基礎と役割
メルマガコンテンツの使い分け(チラシDM vs 読み物コンテンツ)
効果的なメルマガ運用の流れと改善方法
まとめ & Q&A
日時:
2025/3/18(火) 14:00-15:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細 こちらウェビナーお申込みページをご覧ください
【著者プロフィール】
名前: きゅうり(矢野 友理)
2015年に東京大学を卒業後、不動産系ベンチャー企業に勤める。バイセクシュアルで性別問わず人を好きになる。
【著書】
「[STUDY HACKER]数学嫌いの東大生が実践していた「読むだけ数学勉強法」」(マイナビ、2015)
「LGBTのBです」(総合科学出版、2017/7/10発売)
(Photo:Fabio Hofnik)