「成長せよ」という言葉、社会人となってから何回耳にしただろう。そして何回言ったことだろう。企業は成長しなければならない。人は成長しなければならない。そう思う人は多い。

 

しかし、「成長」はほんとうに必要なのだろうか。

以前、「企業は成長しなければならない」は単なる思い込みと、書いた。

これに対して幾つかコメントを頂いたのだが、やはり「成長は必須」という方がほとんどだった。

その方々の言うには、「停滞」は必ずやってくるが、それは仕方ない。しかし、「成長を志向しなければならない」、は変わらないという。

 

なるほど。そのとおりかもしれない。

しかし、ここで考えるべきは、「成長とはなにか」ということだ。

「成長する」は便利な言葉であり、何となく使うことができる。しかし、深く考えるためには定義する必要がある。

 

「成長とは何ですか?」

この質問に対して、みなさんはなんと答えるだろう。何人かの人は

「いままで出来なかったことが、できるようになる」

「能力が向上する」

そんな答えを返してくる。辞書で調べると、「成長」は、発達して大きくなる、おとなになる、拡大する、そんな意味だ。

なるほど、わかったようなわからないような話だ。もやもやする。これだけだったら、別に「成長」なんて、必要ないのでは?と思う。

 

そう思っていた所、ひとつの話を思い出した。

「7つの習慣」という1000万部以上売れたベストセラーの1ページだ。そこに、「関心の輪と、影響の輪」という話があった。

わたしたちが日々直面する問題、課題やチャンスは、健康や子供、職場での問題、金利、株、国際情勢、天気など多岐に渡っています。

今挙げた例を見ると、まったくわたしたちの手に負えないものもあれば、どうにかなりそうなものもあるということがわかります。

ここでは「影響の輪」と「関心の輪」という2つの輪について学びます。下のモデル図をご覧ください。まず内側の輪が「影響の輪」と呼ばれる、あなたがコントロールできるものが入る輪です。

外側の輪が「関心の輪」と呼ばれる、あなたがコントロールできないものが入る輪です。自分でコントロールできないことばかりを心配してほとんどの時間を過ごしたら、ますますどうしようもない気分になります。自分でコントロールできることに目を向けると、実際どうにかすることができるし、心も穏やかになります。”

 

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(出典:フランクリン・プランナー

つまり、「関心の輪」が大きいにもかかわらず、影響の輪が小さい人は常にストレスを抱えて生きなければいけない。人のしていることや考えていることが常に気になる人だ。

逆に影響の輪が大きく、相対的に関心の輪が小さい人は、「自分の思い通りの人生を送ることができ、ストレスの少ない人」ということになる。

 

つまり、「成長する」とは、「影響の輪」をできるだけ広げることを言うのではないだろうか。

自分が変えられる世界を増やしていく。それは、ひいては穏やかな心につながる。つまり、「成長」は「幸福」を導くということだ。

人はだれでも幸福になりたいと願う。不幸を欲する人はいない。それ故に、「人は成長すべし」という常識が形成されたのかもしれない。

 

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・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
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2025/7/14(月) 16:30-18:00

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(2025/6/2更新)