僕がTwitterを初めたのは2011年の事だ。
その時から毎日タイムラインを延々と追っている。
最近は仮想通貨が随分と話題となっているけど、ツイッターはその時その時で旬の話題というものがある。
僕が参入した時は英語学習が随分と話題になっていて、ちょうどそこにのっかるような形でオンライン英会話産業が急成長していた。
これまでに話題になったものを思い返すと、
オンライン英会話、
フィリピン留学、
外資系仕事術、
海外ニートさん関連の海外就職、
社畜、
反原発、
ナンパや恋愛工学関連の話題、
フェミニズムと男女平等、
発達障害、
そして仮想通貨だろうか。
各分野毎にその時、その時、著名人が現れ、そして様々な人々を扇動していった。
最近になって改めてツイッターの歴史を振り返ってみたのだけど、実のところブームが来た後もずっと第一線を貼り続けられている人はほとんどいない。
というかブームに乗ってみて有名になった人のその後はなんかあまりパッとしていない。
もちろん中には大成功をおさめて、もはやインフルエンサーなんてやる意義を見いだせなくなってしまった人もいるのかもしれないけど、あくまで僕がみている範囲では、なんかブームに載って突然現れた有名人のほとんどは”終わってしまった人”として忘れ去られているような印象がとても強い。
なぜ人はずっと第一線に居続ける事ができないのか。なぜ人は面白くあり続ける事ができないのか。
今回はこの問題が何故起きてしまうのかについての考察を展開していこう。
自己啓発では人は変われるのか?
自己啓発というジャンルがある。速読とか引き寄せの法則とか、まあそういう類のものだ。
よく電車の広告で「この本を読んだ事で人生が変わりました」とか宣伝されているこの種の本だけど、果たして自己啓発で人は本当に変われるのだろうか?
なんとこの答えを検証してくれている本がある。
書名は「自己啓発」は私を啓発しない」 。あまり有名な本ではないが、大変な名著である。
内容をごく簡素に説明すると、普通のサラリーマンであった著者が数々の自己啓発セミナーにハマっていった結果、いったいどういう人間に変わったのか、ということが非常に生き生きと書かれている。
著者はなんと600万円以上も自己啓発関連に突っ込んだようで、そんなに情熱と時間とお金を使った結果凄い人間になれたかというと……残念ながらそう事はうまく運ばなかったのだという。
よい影響も沢山受けたようだけど、結論だけをいうと自己啓発で自分という人間はほとんど変わらなかったようだ。
しかしこれは当然といえば当然の話でもある。
自己啓発で人が本当に優秀になるのなら、世の中に駄目な社員なんて根絶する。
人間の本質というのは産まれたときからずっと同じであり、人はそう簡単には変われない。
自己啓発の本質は「ひょっとして自分は変われるかもしれない」という夢を与えてくれる所にあり、あれは良くも悪くも人生のカンフル剤でしかない。
読み物としては面白いものが多いのも事実だけど、まあ効用についてはあまり期待しすぎないほうが無難だろう。
人は生きるにあたってエンタメと夢を求める傾向がある。ちなみに東北の震災の時に真っ先に書店から消えた本は週刊少年ジャンプと自己啓発本だったようである。
人は不安であれば不安であるほど、エンタメと夢を求める生き物なのだ。
インターネットの流行は私達に何を教えてくれるか
改めてインターネットで流行した話題を振り返ってみよう。
オンライン英会話、フィリピン留学、外資系仕事術、海外ニートさん関連の海外就職、社畜、反原発、ナンパや恋愛工学関連の話題、フェミニズムと男女平等、発達障害、仮想通貨。
自己啓発の流れを通した後にこれらを眺めてみると、実のところこれらのほとんどの話題には、夢が背景にある事に気がつくんじゃないだろうか。
オンライン英会話、フィリピン留学をすることで英語が喋れるようになった結果、道がひらけるかもしれない。
海外就職をすることで素晴らしい社会人人生が待っているかもしれない。
原発を批判する事で世の中がもっと安全になるかもしれない。
ナンパや恋愛工学を身につける事でもっともっとモテるようになるかもしれない。
これ以上は繰り返しになるのでもうやめるが、僕が思うに、これらの本質はかなりの部分で自己啓発に近いんじゃないかというのが僕の見立てである。
実際のところ、これらを利用して人生が良い方向に変わった人もいるだろう。
それはそれで大変素晴らしい事だと思うけど、たぶん僕が思うに、変われた人はそれらと出会う前に、変わるに値するだけの努力が終わっている人間だけである。
人の能力というものは、才能と丹念な努力でしか花開かない。
オンライン英会話やフィリピン留学で英語がメチャクチャにできるようになった人は、たぶんその前段階の時点で相当に英語が仕上がってた人ばかりだろうし、海外就職ができて成功した人は、それにキャッチアップできるだけの能力が既に備わっていたからに他ならない。
こうして既にあと一歩手前まで仕上がった人達が、ひょんな事からやってきたブームにうまいことのっかって、人生が良い方向に変わっていく。そこにあるのは夢と希望だ。
けど多くの人は、そんな段階まで仕上がっていない。その仕上がっていない人達が、インフルエンサー達がつぶやく夢の王国へと入園する方法にすがりつく。
インフルエンサーも初めは情熱的に夢の国への入園方法を説くのだけど、ある時から彼等は自分たちの言葉に夢を込めることができなくなってしまう。
これが多分「なぜ人は面白くあり続ける事ができないのか」に対する僕の答えだ。
かつて面白かったあの人達の言葉には、きっと夢成分が多分に含まれていた。
しかし人は永遠に夢を呟く事は許されないのだろう。やがて語り手からは夢を語る才能はなくなり、その能力は次の語り手に移りゆく。
そしてまた新しいブームがやってきて、そのブームは私達に夢と希望を与えてくれる。私達がインターネットのブームを通してみているものの正体は、夢と希望だったのだ。
結局、コツコツやるしかない
勘違いして欲しくないのだけど、僕は夢と希望は悪いものだとは思っていない。
同様に自己啓発本だって、全然悪いものだとは思ってない。
夢も希望も与えられないコンテンツの価値はゼロだ。そういう点では、僕はインターネットのブームは非常に素晴らしい流れだと思っている。
ただ繰り返しになるけども、夢を夢で終わらせずに夢の国に上がりを決め込むためには、あなたには前段階まで到達している必要があるという点だけは重々承知して置いて欲しい。
夢を追い続けて希望に圧殺されないためにも、日々のコツコツとした努力が凄く凄く大切なのだ。
あなたが成したい事に向かってずっと歩み続けていれば、きっとあなたの元にもよいブームが舞い込んでくる日が絶対にある。そこまで歩めば、あとはブームがくるのを待ってさえいれば、勝手に成功なんて転がってくる事は間違いない。
成功は、しっかり準備していた人だけに訪れるのだ。夢追い人にだけはなってはいけない。
夢は追うものではなく、仕込むものなのだ。今回の仮想通貨バブルで億れた人も、しっかり仕込んでいたからこそ億れたのである。
このことを決して忘れてはいけない。
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(Photo:Thomas Hawk)