実はここ1年で結構太った。具体的に言うと標準体重+8キロで、まあ立派な肥満である。
さすがにあまりよろしくないよなぁと半年ぐらい食生活を色々工夫してみたり、筋トレをやってみたりしていたのだけど、これがまあ全然やせない。
ダイエットというのは本当に面白いもので、人それぞれ色々なカチッとポイントがある。
そこが見つけ出せるとスルッと痩せられるのだが、逆にそれがみつからないと全く進展しない。
まったくもって絶妙なゲームバランスである。
なお、ある統計によるとダイエットの成功確率は3%程度のようで、まあ端的にいって超高難易度ゲームだ。
どうしたもんかなーと思っていた時、「トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ」という非常におもしろい本を見つけ、この本に書かれた通りに色々やってみたところ見事に1週間で6キロほどの減量に成功したので、ちょっとサクセスポイントやNGポイントを交えて書いていこうかと思う。
ステロイドとインシュリンを打つと食べた量以上に太る
医師として現場で働いていて非常に不思議だった事の1つに、ステロイドやインシュリンといったホルモンを投与した人が物凄い勢いでガンガン太っていく事があった。
もちろん、これらを投与した結果、食欲が増大して食べた量がある程度以上は増えていたのは事実だろう。
ただ、傍から見る分に、そういうものだけでは説明できないレベルで体重が増加しているようにしかみえなかったのである。
いったい、なんでなんかなーとずっと疑問だったのだけど、先の本の著者ジェイソン・ファンではこれをホメオスタシスの破綻という形で見事に説明している。
ホメオスタシスとは身体を一定に保つチカラ
私達人間の体温は意識せずとも基本的にはほぼ同じような状態に保たれている。
これは脳にある視床下部という部位を通じてホルモンで操作された結果であり、基本的には恒温動物である私達の体温は何らかのイベントが起きない限りは極端には変動しない。
ジェイソン・ファンは私達の体重が基本的にほぼ保たれるのはステロイドやインシュリンによるホメオスタシスの結果であり、だから運動やらダイエットやらで減量した所で結局のところ元の体重にリバウンドしてしまうのだという非常に大胆な仮説をこの本で提唱している。
僕はこの説明を読んで、ようやく冒頭の疑問が氷解した。
「そうか、ステロイドやインシュリンは太る方向に身体の基準ポイントを動かしていたから、これらを投与された人はまるでダイエットに失敗した人みたいにブクブク太ってたんだ」
どうして世界中で肥満が増えたのか
2016年にランセットという医学雑誌に「世界中で肥満の人間が増え続けている」という論文が載った。
(参考:世界の肥満人口は6億4100万人に増加 今後10年で5人に1人が肥満に | 最近の関連情報・ニュース | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会)
いったい、なぜ肥満はこうも増え続けているのだろうか?
それに対してジェイソン・ファンは現代人の生活がステロイドやインシュリンを分泌させる強い効用が働いているからだと回答している。
詳しいことは実際に本を読んでもらいたいのだが、非常に簡単に要旨を示すと、筆者はエビデンスをもとに
1,油の摂取量が減り、精製された炭水化物の摂取量が増大した事
2,食べ物が手に入りやすくなった結果、間食を含む食事回数が以前と比較して増えた点
が、恐らく現代人が”太りやすく”なった原因だろうと推測している。
この2つがステロイドやインシュリンの分泌を促した結果、現代人の体重設定ポイントが上向きになり肥満人口が増えたのだ。
となれば、処方箋はこれの真逆をやればいいという事になる。
1,油の摂取量を増やし、精製された炭水化物の摂取を控え
2,食事の回数を抑える。場合によっては軽いファスティング(絶食)を行っても良い。
実際に、著者は自分の患者にこれらの食事指導を行うのだそうだが、これで見事に誰でも痩せるというのである。
ほんまかいな。
というわけで自分で人体実験をやってみたのだけど、結果は冒頭に書いたとおり見事に1週間で6キロほどの減量に成功である。
スゲェ。半年間うんともすんとも言わなかったワガママボディーがこうもスルッと変化したのだから、さすがに効果を認めざるをえまい。
参考までに、ここ1週間の生活を書くと平日は
朝・バターコーヒー(バター10g+MCTオイル7ml+コーヒー300ml、ファミリーマートでも200円で買える)
昼・なし
夜・玄米1+オリーブオイルと酢をかけた野菜サラダ+テキトーな肉・魚+少量のナッツ。
以上である。なお夜の食事量はサラダはかなり多め、玄米は1/4合、肉・魚は60~100g程度である。
休日はそれまでは一日二食だったのを、平日と同じく一日一食に変更。
これに加えて、Amazonで買った3000円の格安EMSで腹筋・脇腹、臀部、大腿、ふくらはぎ、二の腕を20分ぐらいづつ刺激している。
これも最大強度でやってるからか、かなり筋肉痛になるので効いてるのかもしれない。
なお、それ以外には運動や筋トレのたぐいは全くやっていない。
まあ、つまるところキッツイ事は何もしていない。
バターコーヒーの腹持ちが結構いい事もあって空腹感はほぼ皆無だ。
個人的な印象だけど、ポイントはバターやナッツ類、オリーブオイルを結構多めに摂取し、脂質で満腹感を作る部分に成功のコツがあるような気がする。
炭水化物やタンパク質は、脂質のスキマを埋めるような感じで食べると、物凄く腹持ちがいい。
空腹感がほとんど消え去り、間食をしようという気が一切起きなくなる。
逆に白米とかポテチを食べると、無限にお腹が空いていくらでも食べれるという事を改めて考えさせられた。
夕食は良質のオリーブオイルをたっぷりかけた酸味の効いたサラダでスタートし、食事の締めに軽くナッツ類を摂取しているのだが、気持ちいいぐらいに「もうこんなもんで腹いっぱいだな」という感覚に途中でなり、逆にいままで随分と過食してたんだなと妙に感心している。
たぶんなんだけど、現代人は良質な油の摂取量が足りてない。
だから意図的にオリーブオイルやらナッツ類を少し食事に加えるだけで随分と体調が改善するような気がする。
この食生活を始めてから、ちょっとばかり身体に力が入りにくいような気はするのだが、その代りにダルさが完全に消失した。
肉体労働ならともかく、知的労働をするのならこれで何も困らない。
ここ一年で太った要素
最後に、ここ1年でたぶんこれはデブっただろうなという要素もいくつかあげておく。
1,バターコーヒーのバターをプロテインに変えたら太った。
バターはあんまし身体によくないという論文を数本読んだので、バターコーヒーのバターを市販のプロテインに変えて軽い筋トレを始めたのだけど、これがまあ見事に全然効かなかった。
ジムとかでハードなランニングやら筋トレをする人はともかく、腹筋ローラー50回+スクワット60回ぐらいの運動量の自分では、逆にプロテインを飲むと体重増加につながったので、タンパク質神話も程々にしておいたほうが良さそう。
あと一時期、サラダチキンを昼に食べてたのだけど、これも見事に体重増加につながった。
逆に昼飯を鶏もも肉の唐揚げ4個とかに変更したら何故かちょっぴり痩せたので、やっぱし脂質の避けすぎは駄目なのかもしれない。
2,朝ごはんを食べるようにしたら見事に太った。
これも1に関連するのだが、一時期バターが身体に悪そうだという事で一般的な朝食に変えてみたのだけど、これが見事に太った。
味噌汁+玄米食とかなりヘルシーにやったつもりだったけど駄目だったので、やはり食事の回数自体が増えるだけでも中年以降は駄目なのかもしれない。
3,やっぱしラーメンは太る
去年の9月頃から、フレンチ等の高級外食を減らしてラーメン屋巡りを随分と増やしたのだけど、やっぱりというか残念ながらラーメンは太る要素が強いというのは紛れも無く事実っぽい。
スープを完飲してたのもアレだったのだろうけど。
逆にフレンチとかの高級料理を食べてた頃のほうが痩せてたので、中年以降はラーメンとの付き合い方は色々と考えなくてはいけないな・・・と考えさせられてしまった。
4,睡眠時間が減ったら太った
「トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ」にも書かれていたけど、少ない睡眠時間はステロイドの分泌量をあげるようだ。
確かに、言われてみると4月から職場が変わって睡眠時間が一日あたり5時間ぐらいに減っていた。
まだ今週だけだから何ともいえないが、一日8時間の睡眠時間したのも減量に役立ったのかもしれない。
5,仕事を休んだら痩せた
実はここ1週間ばかし入院していた。そのせいで、久々に完全に労働から開放されたのだが、無職は最高に気持ちよかった。
ああ、やっぱり動労は身体に悪いのかもしれない。
ストレスが原因でステロイドの分泌量がかさむとは聞いていたけど、無職となって完全に開放された事でステロイドの分泌量が減ったのかもしれない。
とまあ、こんな感じでしょうか。
まあ、これはあくまで僕のダイエットのカチッとポイントなので、万人に効くかどうかはわかりませんが、参考までに。
ああ、やっぱり養われたい。誰か僕のこと、養ってくれないかなぁ。。。
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【プロフィール】
都内で勤務医としてまったり生活中。
趣味はおいしいレストラン開拓とワインと読書です。
twitter:takasuka_toki ブログ→ 珈琲をゴクゴク呑むように
noteで食事に関するコラム執筆と人生相談もやってます→ https://note.mu/takasuka_toki