マーケティングの基本中の基本として、「ターゲティング」という用語がある。ターゲティング、要は「狙いを定めよ」という意味だ。
それ故に、商品開発者や、マーケティングの担当者の最初の仕事は、「誰を顧客として狙うか?」という問いに答えること、となる。この話はマーケティングを実践する人にとっての常識であり、以前の会社においても「マーケティング=ターゲティング」と述べる人が数多くいた。
しかし、ターゲティングを推し進めると必然的に商品やプロモーションの主眼は、「差別化」や、「尖ったものを作る」ということになり、極端な商品やサービスを作ることそのものが目的となりやすい。
実際、自分で会社をやり、商品開発をするようになると、「ターゲティング」ということが邪魔になる。ターゲティングしないといけないのか?顧客を想定しないといけないのか?そもそも顧客を想定することが必要なのか?という疑問が浮かんでくる。
もっと言えば、「万人に好まれる」が到達点でもいいはずだ。Googleのサービスは元々ターゲティングしたものか?そうではなさそうだ。
本当に世の中に広まるモノは、最初からターゲットを狭く設定したりはしなくて良いはずだ。
そう思っていたところ、1人、本当にそれを実践している方がいた。
任天堂の宮本茂氏だ。
彼はドンキーコング、マリオやゼルダを生み出したクリエイターであり、TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた人物でもある。
彼のゲーム作成の哲学は以下の様なものである。
”宮本が目指しているゲーム作りの姿勢として「万人向け」というものがある。
これは今ゲーム業界で広義的に認識されている「万人向け=ファミリー向け」とは異なり、文字通りの「万人」を指す。すなわち、初心者、ライトユーザー、コアユーザー、幅広い年齢層や性差も越えて、購入してくれた消費者全てに満足してもらえる、極めて高い顧客満足度を満たすゲームを作りたいという意味である。(Wikipedia)”
かれの考え方は現状のターゲティング中心のマーケティング理論を否定する。
また、宮本氏は開発途上のゲームに対して仕様を白紙に戻す「ちゃぶ台返し」をすることでも有名である。
”1本のゲームソフト開発に注力する立場から、任天堂関連ソフトを全体的に監修する立場となった現在、駄目出しの結果「面白くない」と強権を発動してほぼ白紙に戻す「ちゃぶ台返し」を行うことが多々あるという。
それは、個別に仕様を変更した結果、全体が変わっていたものから、初めから作り直しになるものまである。このことから情報開発本部や関連取引会社からは「宮本チェック(ミヤホンチェック)」として大いに恐れられているという。”
結局、ターゲティング云々よりも、「面白くない」の一言で十分なのだ。
多くの会社では商品開発やマーケティングを「理論」として捕らえ、再現性のあるやり方で商品を生み出そうとする。たしかにそれはそれで良い。
しかし、それは「マーケティングを理論として捕らえなければいけない」ということではない。
「これは万人向けか?」と問うことによるマーケティングも成り立つし、クリエイターの感性、「面白い」「面白くない」によるマーケティングも成り立つのだ。それは時に、「すべてを白紙に戻す」という選択肢を取る勇気も必要とされるだろう。
「理論に従う」よりも、「自分たちの感性を信じる」という選択肢もまた、合理的なのだ。
「小さくまとまるな」という先人の教えは、マーケティングにも言えるのではないだろうか。
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