世界中で「コスト圧縮」の流れ

コロナウイルス禍で経済活動がストップし、イベントの主催者が、世界中で「コスト圧縮」をしている。

まず「オリンピック」そして「F1」

延期の東京五輪・パラ 大会サービス厳しく見直しコスト削減へ(NHK)

F1、さらなるコスト削減のために予算上限の低減やPU開発制限を検討か(motorsport.com)

「シルク・ド・ソレイユ」は一時解雇(レイオフ)に踏み切り、話題となった。

シルク・ドゥ・ソレイユ、スタッフ95%を一時解雇 新型コロナで打撃(AFP通信)

もちろん、企業活動も同様だ。

「航空会社」「アパレル」「金融」「製造」いずれの業種にもコスト圧縮の動きがある。

ルフトハンザ、40機超を削減 コロナで需要低迷長期化(日本経済新聞)

アパレルブランドの悪循環の始まり? GAP、夏物と秋物の注文をキャンセル(Business insider)

アメックス、費用30億ドル削減目指す-新型コロナでカード利用額急減(Bloomberg)

日産1万人レイオフ コロナ禍でゴーン路線が重荷に(日本経済新聞)

もちろん、生き延びるための、必死のコスト削減もあるだろう。

関係者各位の努力には頭が下がる。

 

ただ、これらをすべて、ネガティブに捉える必要はない。

実際、こうした時期は景気が良い時に「高コスト状態」となってしまった企業体質を改めるのに、とても良い機会であることも多い。

 

例えばこの機会に「オフィスの解約」などを進めている企業を見かけるが、他にも「交際費」「会議費」「旅費交通費」「販促費」といった、社員への影響が小さい、減らしやすい部分への介入は

「なんとなく緩んでいた財布の紐」

をしっかり締め直す良いきっかけとなる。

 

「乾いた雑巾を絞るように」はトヨタのコスト意識の凄まじさを表す言葉だが、トヨタに至ってはこの時期においても、黒字を確保している。

【決算ウォッチ】「さすが」トヨタの決算発表だが…… コロナショックからの回生シナリオは思惑どおりに進むのか?

販売台数の減少により、営業利益が1兆5000億円減少すると予想しているが、記者会見で豊田社長は「リーマン時と比べて販売台数の減少は激しいが、企業体質を強化したことで黒字を確保できる」と述べている。

 

だがこのような時期にはもっと思い切ってやる事ができる。

例えば、費用の本丸である「人件費」だ。

 

だが、将来への投資である製品開発部門を止めたくはない。また、新しく仕事を取るための営業部門も同様だ。

要するに、「直接、収益に関わる部門」のコストにはできるだけ手を付けたくない。

不況時であっても、未来の仕事のために手を止めるわけには行かないからだ。

 

とすれば。

コスト圧縮の対象として、最後に残るのは「間接部門」。

つまり総務・経理・人事などのコストとなる。

 

この状況は「間接部門のコスト圧縮」を進める、またとないチャンス

「普段から間接部門のコストは抑制しているよ」という会社もある。

だが実は「間接部門」のコストに、本当に思い切って手を付けている会社は少ない。なぜか。

 

最も大きな理由は「リスク管理」の観点だろう。

間接部門には利益を生み出さないとはいえ、法律上の対応が絶対であり、ミスが許されない業務が数多く存在している。

また、経営の意思決定に重要なデータを作る部門であり、安易に削減すると長期的に痛い目にあう。

 

特にお金を扱う経理部門は安易なコスト削減が、不正や申告漏れなどに通じる部分もあり「リスクがあるから手を付けたくない」と、経営者が尻込みする領域でもある。

 

だから通常「間接部門のコスト圧縮に取り組みたい」との意識はあっても、本格的に手を付けることはむしろ少ない。

せいぜい「正社員をできる限り少なくする」くらいだろう。

 

ところがこの「コロナウイルス禍」下ではそんな悠長なことを言ってはいられない。

金融機関からカネを借りるにも、株主にも「コストを絞りましたよ」という何かしらの行動が必要だ。

つまり抜本的な見直しが必要とされている。

 

ただし、「ピンチはチャンス」でもある。

つまり裏を返せば、コロナウイルス禍は、今まで手を付けにくかった「間接部門のコスト圧縮」を積極的にすすめる、またとないチャンスだ。

 

リモート化、オンライン化で経理コストは半分に

これらの「経理部門のコスト圧縮」ニーズに対して、サービスを提供している企業の一つが、以前にも紹介した

「リモートワーク」

「アウトソーシング」

をキーワードとしたサービスを幅広く提供している、株式会社キャスターだ。

参考:

数百名の社員のリモートワークは、結果のみを評価する「社員に優しい仕組み」に支えられていた。

不況は採用のチャンスだが「勘」ではなく「データ」に基づく採用活動が着々と進んでいる。

この状況下において「経理業務のアウトソーシング」についても、利用企業が急増している。

 

経理アウトソーシングサービスを手掛ける

キャスタービズアカウンティング」の宮川さんは、「多くの会社が、経理にかけるコストを大きく削減できる」とする。

 

そこで、「どの程度コストを減らせるか」との目安を聞いた。

宮川さんによれば、

・50名から100名規模、2〜3部門あるような会社

の場合、経理部門の構成は、概ね

・経理の責任者1名

・正社員1名

・派遣社員を2〜3名

程度の構成が多いという。これは、派遣社員のコストだけで月に約70〜80万円かかる計算だ。

 

この状態から、抜本的に経理業務の

「リモート化」「オンライン化」

を進めれば、派遣社員をゼロにしたうえで「アウトソース費用」も含め、ランニングコストを月に25万円〜45万円程度に抑制することができる。

これは、年間トータルで500万円程度のコスト抑制になる計算だ。

 

リモート化、オンライン化は「属人化」「採用難」への対処も可能

また、リモート化・オンライン化は、「コスト圧縮」というメリットだけにとどまらない。

「経理の属人化」と「高スキル人材の採用難」への対処も可能だ。

 

例えば、ある観光・宿泊業の会社は、

・経理知識の深いメンバーが部長1人のみ

・知識がないメンバーはマニュアル通りの作業を行うが、例外事項も多く、ミスや漏れが多発

という状態に悩んでいた。

ここには、大きな課題が2つある。

 

一つは、部長しか経理の内容を知らないという大きなリスク。内部統制上の懸念だ。

そしてもう一つは、経理の実務経験を持つ人を採用しにくいというリスクだ。

 

そのためキャスター社は「業務の整理」を行うことを提案した。

具体的には以下のようなリモート化、オンライン化による、業務の標準化だ。

 

・クラウド会計・給与計算システムの利用

・販売管理システムの利用

・請求書発行システムの利用

・支払請求書受取の電子化

・経費精算システムの利用

・小口現金の廃止(経費精算へ統合)

 

最終的には、上述した観光・宿泊業の会社は

部長+正社員+派遣社員

の3人体制から、

部長+正社員+キャスター

という体制に移行し、経理のランニングコストを、月額にして50万円ほど削減するだけでなく、退職リスク、内部統制上の懸念を払拭した。

 

「経理社員のキャリア」もアウトソース化で改善される

ただ、このような話をすると「経理部門の社員の雇用はどうなる」という懸念を抱く方もいるだろう。

経理社員の雇用を守るのも、企業の役割ではないか、という話だ。

 

 

ただ、雇用云々の前に、現実的には「経理の正社員」は、クラウド会計ソフトの発達に伴い、ますます少ない人数で十分で回すことができるようになった。

そもそも、今後必要となる人員は、減りこそすれ、増えることはない。

そして、さらなる事実として「特定の1社で、ずっと経理として働く」というキャリアは、本人にとっても、かなりリスクのある選択だ。

 

ルーティンワークがどんどん減り、経理の仕事は高度になるばかりの状況で「うちの会社に特化したスキル」しかつかないのでは、どんどんスキルが陳腐化してしまう。

もしその会社が倒産したら?

もしその会社が合併・吸収されたら?

もし業績悪化で会社を縮小せざるを得なくなったら?

陳腐化したスキルしか持たない「経理部員」に、もはや行く場所はない。

 

そうなると、高度な経理スキルを持つ人物は、「経理業務のアウトソースを受ける」ほうが、遥かに合理的な選択ではないか、という仮説を私は持っている。

 

アウトソースを受ける側であれば、様々な会社の経理に携わることが出来る。

そして、様々な会社の経理業務の改善に携わり、業務設計を行い、最新のツールに精通する。

それは「汎用的なスキル」であり、貴重な人材となれる。

 

実際、キャスターアカウンティングのサービスを行っているメンバーは、全員、経理出身だという。

そう言う意味で「経理のアウトソース」は、出す側も受ける側もメリットがあるのではないか、と考えている。

 

 

キャスタービズアカウンティングに話を聞いてみる

 

 

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(2020/8/28更新)

 

 

 

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元Deloitteコンサルタント/現ビジネスメディアBooks&Apps管理人/オウンドメディア支援のティネクト創業者(tinect.jp)/ 能力、企業、組織、マーケティング、マネジメント、生産性、知識労働、格差について。

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