少し前に「学習能力の高い人が最強」という文章を書いた。

やる気も好き嫌いも、とにかくいったん脇において、あらゆる場面において

買う。

試す。

やってみる。

聞いてみる。

読んでみる。

このような行動をとる能力こそ、学習能力の高さの現れだ。

 

最近これについて意見をいただいた。

「どのような人が学習能力が高いか、見分ける方法はありますか?採用に活かしたいのです」と。

 

そこで今回は「学習能力の高さ」=「優秀さ」を、もう少し深堀りしてみる。

 

どのような人が学習能力が高いか

確かに、様々な場所に顔を出していると、「能力の高い人たち」に遭遇することがあった。

 

学校の同級生。

新人時代の同期。

大手金融機関の管理職。

スタートアップのボードメンバー。

外資テクノロジー企業の上級エンジニア。

 

彼らの経歴や背景は様々だが、一緒に過ごすと、そんな肩書とか実績とかは見なくても、「この人たちは優秀だ」と感じることができた。

ではどのようなところに、彼らの優秀さを感じるのか。

 

結果への貪欲さが生み出す「学習モンスター」

実は、「学習能力が高い人々」は「優秀さ」に付いての共通したイメージを持っているように見える。

 

といっても、難しい話ではない。

具体的には、「優秀さ」とは能力の話ではなく、結果の話だと考えている人が圧倒的に多いのだ。

 

言われてみれば、それはそうだ、と言えるのだが。

「能力」を重視する人たちは、学歴、地位、あるいは肩書、そして「やりたいこと」にこだわりが強い一方で、「結果」を重視する人たちは、それと正反対である。

つまり、学歴も地位も肩書も、「やりたいこと」もどうでもよく、「結果のためにやるべきこと」だけを考えている

 

言うなれば、「優秀な人間とは、継続して、結果に貪欲であり続けている人たち」

だと言える。

結果を残していなければ、優秀とは言えない、というのが、彼らの人間観だ。「ただ結果のみが真実」。

 

だから、むかし「仕事やっているフリばかりしている人」の話を書いたことがあるが、彼らから最も遠いのが、このような人々だ。

コンサルタントをやっていて、驚いたことの一つは、上のように、「仕事やってるフリ」をしている人が、かなりいる、という事実だった。

 

もちろん、「成果」が定義しにくく、「ひとまずやってみよう」という活動があることは理解できる。

しかし、成果を熟考する取り組みさえ行っていない方も多く、「なんのための仕事?」と首をかしげることも多々あった。

 

学習能力が高くなくては、結果を出し続けることはできない。

だから彼らは、現代社会の超優秀層というのは、必然的に「学習モンスター」となる。

 

「社会人になってからが「勉強」の本番です。息を吸うように学んでください。

と、新人研修の講師は言っていたが、それを地で行くような人たちが「超優秀層」の特長だ。

 

では、採用では具体的にどのようなポイントで、彼らを見分ければよいのか?

 

「超優秀層」の特性

具体的には

・好奇心が強く

・オープンマインドで、

・行動力が高い。

この3つの特性が、「学習モンスター」、つまり彼らの存在そのものを定義している、と言える。

 

彼らは、様々な趣味に対して「興味がない」といわない。

自分の知らないことに対して異常な関心を示す。

「この人は一体、これの何をオモシロイと思っているのか?」に興味がある。

勧められた本もすぐに買う。行動力と好奇心を運用した結果、ものすごく多趣味になるか、異常なまでに突き詰めた趣味を持つに至る。

 

一方で、人の趣味や特性については、とやかく言わない。

人の意見を否定しない。

なぜかといえば、「なぜ私と彼らでは見方が異なるのだろう?」に興味があるから。

 

難解な問題にあたっても、「自分はいったい、何をわかっていないのか?」を突き詰めるので、「わかりません」で終わらない。

代わりに「◯◯だと思いますが、これで大丈夫でしょうか?」と、意見を持って、周囲から吸収しようとする。

 

「自分の弱点」に対してすら興味があるので、耳の痛い話をされても怒らない。むしろ聞きたがる。

むしろ、「知らなかったこと」を教えてくれて、ありがとう、と言うまである。

 

味方が多い。

自分と成果にとても厳格なので、冷たい人であると誤解される時もある。

が、話せば基本的には「この人は相手を尊重する」と感じることができるので、能力のあまり高くない人からも人気があったりする。

無論、超優秀層同士は、「同類だ」とすぐに分かるので、仲間は多い。

 

一方で、失敗もする。

ピーター・ドラッカーの以下の金言を体現している。

成果とは何かを理解しなければならない。成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸である。成果とは長期のものである。

すなわち、まちがいや失敗をしない者を信用してはならないということである。

それは、見せかけか、無難なこと、下らないことにしか手をつけない者である。成果とは打率である。

だから、「失敗談」がとても面白い。

 

 

学習モンスターを見分ける方法

趣味の話を聞こう。独自の切り口を教えてくれるはずだ。

新しいことの「教わり方」を聞こう。モンスターは教わり方がうまい。

「自分の欠点を指摘された話」を聞こう。素直さがわかる。

人と意見が異なったときのエピソードを聞こう。絶対に具体的で、面白い話が出てくる。

今まで挙げてきた成果を聞こう。それだけで1時間語ってくれるはずだ。また、それ以上にうまくいかなかった、失敗したときの話は無数にあるはずだ。

 

彼らを見分けるのは、実は難しくない。

 

 

 

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・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください

(2025/6/2更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

安達裕哉

生成AI活用支援のワークワンダースCEO(https://workwonders.jp)|元Deloitteのコンサルタント|オウンドメディア支援のティネクト代表(http://tinect.jp)|著書「頭のいい人が話す前に考えていること」82万部(https://amzn.to/49Tivyi)|

◯Twitter:安達裕哉

◯Facebook:安達裕哉

◯note:(生成AI時代の「ライターとマーケティング」の、実践的教科書

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Photo:Denis Agati