どの企業にも、必ず何名かは「人格に問題のあるビジネスパーソン」が存在していた。

 

人格に問題があるのなら、干されたり、追い出されたりするのだろう、と想像する方もいるだろうが、実はそうでもない。

彼らは様々な理由で存在を許されており、例えば、

 

・経営陣である

・カネを稼げる

・上には従順である

・解雇規制の観点から追い出せない

 

といった理由から、企業の中に生息している。

 

とはいえ、弊害も大きく、他の社員はいい迷惑をしており、

「そういう連中と共存するにはどうしたらよいのか」

という悩みを日々抱えながら、働くことになる。

 

プロジェクトに入ってくる「問題児」

当然、コンサルティング会社も、プロジェクトに配置されているこのような人物を問題視していた。

というのも、「人格に問題がある人」が一人入ってくるだけでも、会議を妨害されたり、スケジュールに遅れが生じたり、他のメンバーの作業に支障が出るからだ。

 

例えば、役員が「問題児」だったケースだ。

マーケティングの強化のプロジェクトにおいて、現状やっていることについて、部署ごとに発表をお願いしたところ、一人の役員が突如、メンバーに向けて

「当然3Cは知ってるよな?」

と、クイズを始めてしまった。

 

当然、社員たちはマーケティングの専門家ではない。

「いえ……」などと言って、モゴモゴしていたところ、役員はニヤニヤしながら

「その程度の言葉なんて、勉強してなきゃだめだよなあ」

と言い出した。

 

そして、「コトラーの本は当然読んでるよな?」などと聞き出す。

当然、誰も読んでいない。

役員の独演会が始まる、という具合だ。

 

別に3Cなんて知らなくてもマーケティングはできるし、今は勉強会の場ではない。

その役員は、単に「オレの知識」をひけらかすために、社員を貶めていた

 

このように、息を吸うように人を馬鹿にする人間が、どうしても一定数存在する。

 

しかし、彼らを放置するわけにはいかなかった。

メンバーの士気に重大な影響を与え、時にはそれが原因で、プロジェクトが動かなくなるからだ。

 

だから「そういう人間をどう扱うのか」は、重要なノウハウの一つだった。

 

人格に問題のあるビジネスパーソンを隔離する

残念ながら、多くのケースで、我々の権限では、彼らを根本的に排除することはできない。

そういう権限を経営者に訴えるケースもあるが、通常は「与えられたメンバー」でプロジェクトを遂行せねばならない。

 

そこで、使われたのが次善策としての「封じこめ」だ。

当然、限界はあるが、人格に問題がある人間の悪影響をできるだけ小さくし、時には隔離する。

 

例えば、以下のような具合だ。

 

1.人を貶めようとする人間は、発言させない

人格に問題があり、すぐに人を貶めようとする人物には、

『極力、皆の前で発言させない』という手段がとられた。

 

当てない、振らない。そして、彼の独演会が始まろうする前に、「ありがとうございます、後ほどお願いします!」と言って、話を切る。

 

本当は、会議に出席させないのが最も良いのだが、あからさまにやると、どうしても角が立つ。

なので、基本的には事前に

「この程度の会議であれば、出席していただく必要はないと思います。個別にお話しさせていただきます」

というVIP待遇と見せかけた、個別の隔離対応をしていた。

 

 

2.承認欲求の強いタイプは、最初に喋らせる

厄介なのは、目立つことを好む、承認欲求が強いタイプで、すぐに出しゃばりたがる。

こういう人は、会議に出席しなくてよいのに出席してくるし、人が話している途中でも、話を取ってしまうことがある。

 

このようなケースでは、独演会を防ぐために、「その人だけが話せる時間」を、会議の冒頭に10分程度あらかじめ設定しておく。

「最初に喋らせる」のがポイントで、ひとしきり話したいことを話した後は、帰ってしまう人もいた。

 

要するに、彼らは他の人の話には興味がないのだ。

先に帰らせてしまえば、こっちのものである。

 

 

3.パワハラタイプの問題人格は、先んじて「代弁」する

独演会をカマしたり、承認欲求の強いタイプは、上に書いたように、隔離してしまうのが最も良い。

 

だが、「成果」に忠実で、パワハラタイプの「すぐに詰めてくる」人間を隔離したり、黙らせるのは難しい。

「目標必達って言っただろ」

「甘く考えているんじゃねえよ」

「これからどうすんだよ」

「緩んでねえか?」

成果に対して厳しく、「無礼な」タイプの人間は、チームをぶっ壊す。

 

こういう人間にたいしては、

詰められる対象となる人に対して、

「目標の達成状況について、お話を聞かせてください」

「今後の対策について、お聞かせいただけますか」

「ディスカッションしましょう」

と、先んじてこちらが代弁すれば、ある程度、パワハラタイプに喋らせないことができる。

あくまで冷静に。気をつかいながら。

 

なお、あとで個別にパワハラタイプの愚痴を聞いて、発散させること。

「あいつら甘いんだよ」

といった言葉はこちらで引き受ける。

 

 

4.斜に構えるタイプには、最初に意見を言わせる

冷笑的で、人の意見にすぐにケチをつけるタイプの人間も、パワハラタイプに負けず劣らず厄介だ。

このタイプは、チャレンジするタイプの人間にすぐにケチをつけてくる。

 

新しいことをやろうとすると、前例がないとケチをつける。

営業を頑張ると、余計な仕事をとるなと、ケチをつける。

採用に力を入れようとすると、「どうせうちには、ろくな人が入ってこないですよ」という。

 

まあ、邪魔である。

いる意味がない。

 

だが、こういう人間への対処は実は簡単だ。

彼らはケチをつけることには慣れているが、「最初に意見を言わせる」と、弱い。

したがって、このようなタイプを黙らせるには、先に意見を言わせて、それをみんなで議論する形にする。

 

最初に意見を言わせることを繰り返すと、そのうち会議に理由をつけて出席しなくなる。

 

 

5.モラルの低いタイプにはプライベートで近づく

すぐにセクハラまがいの発言をしたり、若いころにワルをやっていたこと、「夜の街で暴れたこと」を誇らしげに語る、武勇伝を語りたがるタイプがいる。

彼らのような気質を、「ヤンキー気質」と呼べばよいのだろうか。

いや、ヤンキーに失礼か。

 

悪い人たちではないが、幼児性が目立つ場合、プロジェクトに入ってくると全体の雰囲気を悪化させることがある。

「昔は、これぐらいは当然やってたよな!」

みたいな発言を繰り返されると困る。

 

彼らへの対処は、オフィシャルな場でやってはいけない。

「今はもう、そういう時代ではないです」「コンプライアンス」というルールや説教に対して、最もあからさまな拒否反応を示すのが、彼らだからだ。

 

ではどうするかというと、これはプライベートに持ち込むのが良い。

つまり、夜一緒に飲みに行ったり、趣味を等しくして、遊びに行くと、反応が変わる。

 

彼らへの頼み事は、プライベートで仲良くなってから。

逆に、彼らの信頼を得てしまえば、他の問題児の抑制に一役買ってくれることもある。

敵にも味方にもなりやすい彼らへは、変な小細工や説得ではなく、遊びで関係を作ろう

 

 

 

以上のような問題児への対処法は、ロールプレイや勉強会などにおける題材となっていた。

もちろん、マニュアル通りにやればなんとかなる、というほど人間は簡単ではないので、過信してはいけない。

 

しかし、「どのタイプなのか」という見極めは、初期対応に役立つことは間違いない。

 

 

 

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【著者プロフィール】

安達裕哉

生成AI活用支援のワークワンダースCEO(https://workwonders.jp)|元Deloitteのコンサルタント|オウンドメディア支援のティネクト代表(http://tinect.jp)|著書「頭のいい人が話す前に考えていること」88万部(https://amzn.to/49Tivyi)|

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Photo:Aiony Haust