「39歳」という歳は立派に「中年」と言ってもいいだろう。40代手前、「若者」と呼ばれる10代、20代からはすでに遠くはなれている。

日本人の平均寿命から考えても、「人生の折り返し地点」と呼ぶのにふさわしい。この歳になると肉体的には衰えるばかりであり、「人生は短い」という容赦無い現実と向き合うことになる。

 

そして、その現実は「人生に対する考え方」を変化させる。

「このままでいいんだろうか」

「今までの人生は正しかったのだろうか」

そういった、一種の「振り返り」をするようになるのが「中年」である。

 

しかし、「中年」にもなると、人生を変化させるのは非常に難しい。

「仕事変えればいいじゃない」

「始めてみればいいじゃない」

「行けばいいじゃない」

そういった「役に立つアドバイス」も、中年にとってはむしろ重たい。

彼には家族も、責任も、地位もあり、家のローンもたくさん残っている。そういったものに対する責任を果たすため、毎日面白くもない仕事に従事し、「出世の限界」が見えた会社に残る。そして、それは彼の「プライド」でもある。

試練に耐えること、面白くはないが責任のある立場でする仕事、そういったものが彼のプライドをますます増幅させる。

それを否定することは、彼の今までの人生を否定することになる。それはできない。

私の経験では、40代は「変化」に対して頑強に抵抗する人も少なくない。自分の価値観を否定するような考え方を頑なに拒むのだ。

 

しかし、私はそういった人々を頭から否定する気にはとてもなれない。

彼もかつては希望を持ち、夢を抱いて仕事をしていたのだ。

現場を変えようと努力し、人に情熱を持って説明し、自分のやりたいことに対して努力をしようと考えてきたはずである。

 

最近、年功序列を崩す会社が増えているという。

グローバル化が崩す年功制 

日立製作所が国内の管理職約1万1千人について、賃金から年功要素をなくす改革に踏み切った。仕事の役割と成果をもとに、世界共通の評価基準で報酬を決める方式に改めた。代表的な日本企業の年功廃止は日本型雇用が抜本的な見直しを迫られている表れだ。

賃金を若手や中堅のときには抑え、その後手厚くする年功制は日本の長期雇用慣行を支え、社員の会社への帰属意識を高めてきた。半面、報酬が勤続年数に応じて決まる仕組みでは、外部から優秀な人材を採ろうとしても敬遠されがちだ。生え抜きで固めた同質で硬直的な組織になりやすい。

グローバル化や技術革新が進む中で企業が競争力を高めるには、異質な経験や斬新な発想を持った多様な人材を取り込む必要がある。年功制の見直しは避けて通れない。日立の賃金改革の主眼も専門性を備えた中途入社者や外国人を採りやすくすることにある。

「中年」は否が応でも変化を迫られる。プライドを深く傷つけられる人も多いだろう。

 

ある一部上場企業の42歳の管理職の方がこう言った。

「今更年功序列をやめる、っていうのはあまりにも卑怯だ。若いころ頑張れたのは、年功序列が我々を報いてくれる時がきっとくると信じていたからだ。ひどい会社だよ。」

 

「会社」は所詮、社会の一組織にすぎない。生活の保障をしてくれわけでもなければ、一生にわたって生きがいをあたえてくれるわけでもない。その事実に気づいた「中年」は何をすればいいのだろう。

いきなりはしごを外された「中年」の怒りの矛先は、どこに向くのだろうか。

私達がそれを、「自己責任」と切って捨てることは正しいことなのだろうか。

 

それを解決するには、もう少し時間がかかりそうである。

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
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(2025/6/2更新)