6804736825_7a17f962a4_zお金とやりがい、どちらを取りますか?という質問をする方がいる。しかし、この問いは、残念ながら的を外しているかもしれない。

ある製造業の会社に訪問した時の話だ。経営者と採用について話をしていたとき、私は一つの考えさせられる意見を聞いた。

 

 

「金もやりがいも欲しい人しか、採用したくないですよ。」

と、その経営者は言った。

「お金なんかいらない、なんて嘘じゃないですか。私は嘘は嫌いです。あるいは、やりがいなんていらない。お金だけください、なんて、そんな面白くない人物と仕事はしたくないです。だから、私は「お金もやりがいも欲しい」っていう人しか、採用しません。」

 

私は意図を図りかねていた。 「欲張りな方のほうがよい、ということでしょうか?」

 

「いえ、もう少し現実的な話です。実際、この世にあるのは「やりがいがあって、金がそれなりに貰える仕事」と、「やりがいもなければ、給料も安い」という仕事がほとんどでは無いですか?私は、やりがいもお金も得られる仕事を提供したいだけです。

そうでなければ、会社をうまく経営できません。だいたい良い人が集まりませんよ。」

 

なるほど、そういう意味か、と思う。「まあ、そうかもしれません」私はお茶を濁した。

 

「いや、そうでしょう。百歩譲って、やりがいがあるけど給料が安い仕事を社員に提供したとします。でも、こんなことは長続きしません。いつか仕事には飽きがくるし、搾取に気づいた人も次々辞めていきます。そんな業界が長持ちするとは思えません。

良い人材が流入してこない業界は、すぐに衰退しますよ。人は、お金が必要です。人生においてお金で解決できることはたくさんあります。」

 

私は、もう少し意見を聞いてみたかったので、「やりがいはないけど、給与が高い、という仕事はどうでしょう?」と聞いた。

 

「やりがいはないが、給料が高い仕事ですか?そんな仕事あるんでしょうか?私は聞いたことがありません。それに、そんな仕事を提供しても会社にとって百害あって一利なしですよ。」

 

 

では、「お金」も「やりがい」も欲しいという人が、仕事において優先すべきは何か。個人的には、恐らくその解答は、「経験」ではないかと思う。

「得難い経験ができるのか」

「自分の今後に活かせる経験が積めそうか」

「今まで経験したことのないことが起きるか」

仕事の技術は、本質的にはそういった「経験」を通じてのみ得られる。

 

もちろん、完全にムダな経験などない。どんなことからも学びは得られる。だが心も躍らず、漫然と繰り返す毎日から得るものは少ない。

お金とやりがい、両方を獲得したいなら、目の前のくだらないことは捨てて、良い経験をつもう。

 

【お知らせ】
弊社ティネクト(Books&Apps運営会社)が2024年3月18日に実施したウェビナー動画を配信中です
<ティネクトウェビナー>

【アーカイブ動画】ChatGPTを経営課題解決に活用した最新実践例をご紹介します

2024年3月18日実施したウェビナーのアーカイブ動画です(配信期限:2024年4月30日まで)

<セミナー内容>
1.ChatGPTって何に使えるの?
2.経営者から見たChatGPTの活用方法
3.CharGPTが変えたマーケティング現場の生々しい実例
4.ティネクトからのプレゼント
5.Q&A

【講師紹介】
楢原一雅(ティネクト取締役)
安達裕哉(同代表取締役)
倉増京平(同取締役)



ご希望の方は下記ページ内ウェビナーお申込みフォーム内で「YouTube動画視聴」をお選び頂きお申込みください。お申込み者にウェビナーを収録したYoutube限定動画URLをお送りいたします。
お申込み・詳細 こちらティネクウェビナーお申込みページをご覧ください

(2024/3/26更新)

 

・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (スパムアカウント以外であれば、どなたでも友達承認いたします)

【大学探訪記】を始めました。

「研究が楽しい」「研究成果を知ってほしい」「スタートアップを立ち上げた」

という学部生、大学院生、研究者、スタートアップの方は、ぜひ blogあっとtinect.jp 安達までご連絡下さい。卒論、修論も歓迎です。ご希望があれば、当ブログでも紹介したいと思います。

・農家の支援を始めました。農業にご興味あればぜひ!⇒【第一回】日本の農業の実態を知るため、高知県の農家の支援を始めます。

 

 

 

(Photo:Rafael Rijo)