「副業禁止の会社ってブラックですよね」と、彼は言った。
私は「またか」と思い、彼に理由を尋ねた。最近は副業禁止が不満、という話がやたらと多い。
「だって、管理職のポストはどんどん減っていて、もっと言えば正社員も減っていて、で給料は上がらなくなっているわけでしょう。それで副業禁止、ってあり得なく無いですか。なんですか、滅私奉公しろってことですかね。」
私は「そうだね」と言った。
このような話を頻繁に耳にする用になったのはいつごろからだろう。
かつて「副業禁止」は日本のほぼすべての会社の就業規則に書かれていた。しかし、最近では事情が異なる。
副業はすでに若手サラリーマンの5人に1名が行っている。また、会社側も副業を容認、もしくはリクルートなど先進的な会社は「副業推奨」となっているそうだ。
参考:サラリーマンは少額でもいいから、「副業」をしたほうが良い。そのたった一つの理由。
最近まわりで、「給料以外の稼ぎ」を得ている人が増えてきているように感じる。インテリジェンス社の調べによれば、若手社員の5人に1人は副業をしている、という。
副業は「稼ぐチカラ」をつけるためにも、老後の年金が心配な人にも、そして勤め先の会社の業績が思わしくなく、給与が伸びない人にも、全ての人に必要なことである。
マイナンバー制度の導入により、「副業が会社にバレる」と、心配している人がいるそうだ。
京都・祇園のクラブの男性経営者は「昼間の仕事をしながらうちのクラブでバイトをしている女性たちが『副業がばれてしまう』とみんな戦々恐々としている」と打ち明ける。
(朝日新聞)
副業を禁止している会社が多いことから、「会社にバレたくない」という人が多いのだろうが、公務員以外は副業をすることに法的には全く問題がない。
むしろ、就業規則で「副業禁止」を謳うことのほうが法的に問題が有る可能性がある。勤務時間外に従業員を縛ることはできないからだ。
ある大手企業に務める30代後半の男性は、転職を模索していたところ、人材紹介会社から
「副業くらいしておいたほうがいいですよ。最近伸び盛りの優良企業は、一つのところで10年、みたいなキャリアをあまり重視しません。それよりも「いろいろ自分でやって稼いでました」という人を欲しがります」
と言われたという。時代も変わったものである。
「なんか、休日出勤を命じられて、「その日は別の仕事があるんで無理です」って言ったら、怒られた友人がいるんです。そんな会社、おかしくないですか?ブラックですよ、ブラック」
と冒頭の彼は言った。
「その友人ですが、副業が結構うまくいって、月に20万から30万くらい副収入があるらしいんです。本業で20万給料を上げるのに、5年、10年かかる今は、副業のほうがずっと合理的ですよね。」
したたかな若手が、着々と増えているようだ。
もっとも、「稼ぐ力のある人」が増えるのは、社会保障費用の抑制対策としても良いと、個人的には思うのだが。
(2024/3/26更新)
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