人材育成が重要であると考える経営者は多いが、一方で育成がいつまでたっても進まない、という状況もまた多い。

なぜだろう、と原因を調べると、何の事はない、「人材育成」と矛盾した文化や制度を持つことが人材育成を妨げているというケースがよく見受けられる。

 

単純に言えば、

「後輩が無能な方が良い」

「新人が無能な方が良い」

「育てていると、自分の仕事ができなくなる」

「育てても評価されない」

「ノウハウを共有すると不利になる」

という会社である。要は、古株や先輩にとって後輩を育てることが脅威になってしまう、という状況だ。

 

このような会社では部門長は「人材育成」の目標を持たされているが、実際に現場で教育を担当する古株や先輩は、

「人材育成なんてバカバカしい」

「まあ、聞かれたら教えてやるかな」

「なんでオレが育成なんかやらなくてはいけないのか」

「見て盗め」

などと考えていることも多い。部門長はそれに対して不満を持っており、熱心に教育をしようとするが、うまくいかない。なぜなら現場を離れた部門長が教えるより、古株や先輩が熱心に教えるかどうかのほうが遥かに重要だからだ。

 

そして、それらを助長するのが、人材育成を妨げる企業の文化と制度である。具体的には以下のものがそれに該当する。 

 

・成績順位表

特に営業会社で多い制度だが、教えて新人が育つと、自分の順位が下になるので、教えない。衆人に晒して発破をかけるよりも、個別に指導するほうが教育的効果もあり良い。

 

・相対評価

自分が相対的に不利になるので、教えない。育成を重視するならば相対評価ではなく、会社への貢献度を絶対評価しなければならない。

 

・頻繁な抜擢人事

下が脅威となるので、育てない。抜擢人事は劇薬と心得る。一時に大きな成果を出せても、これを継続できるとは限らない。抜擢は頻度が少ないからこそ、効果があるのだ。

 

・短期志向

急かす会社においては、皆、教育のようにすぐに結果に繋がらないようなことはしない。教育を重視するのであれば、1年以内の結果だけを追求しない。人材育成のような長期の活動を評価する。

 

・離職率の高さ

あたりまえだが、教えても直ぐにやめてしまう状況では人は教えない。

離職率はあらゆる要因が絡んでいるが、基本的に給与、労働時間などの衛生要因から会社を辞めていく人が多い状況は会社の恥と心得よ。

 

・礼儀に対する配慮がない

古株や先輩は敬意を持って自分たちに接して欲しいと思っている。教育が当然のことであっても、教育してくれることに対して感謝しない人たちには教えたくない。

ちなみに礼儀はトップから末端に伝播する。若手の礼儀がなっていないのは、トップや幹部に原因がある。

 

 

 

 

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(Photo:Ken)