何かと人口減少が問題視されているが、個人的には、「結構どうでも良い部類の問題」としている。なぜなら、「人口が減少しても、特に困ったことが起きない」からだ。いや、それ以上に、「高齢者が「生産者」となる良い機会」になるのではないかと思っている。

実際、人口減少の何が問題なのか?に対して、きちんと回答できる人は少ないだろう。新聞やウェブの情報を見ても、「人口減少」の根本的な問題をきちんと検証した記事は極めて少ない。

 

殆どの記事が人口減少の問題点としているのは、以下の1点である。

「働く人が少なくなり、少ない若者で高齢者を支えなければいけなくなる」

要するに、人口減少≒高齢化社会、という構図である。しかし、これは本当なのだろうか。多分ウソだ。実際には、「高齢者が増えて、年金の受給額が減ると、高齢者も働くようになる」だろう。

 

NHKがこれについて番組で取り上げている。

“生活費が足りない” 仕事求める高齢者たち

「内閣府の調査ですが、60歳以上の男女に『いつまで働きたいか』と聞いたものです。
『70歳以降まで』または、『働けるうちはいつまでも』と答えた人が、71%。7割を超えています。

「働けるうちはいつまでも働きたい」という人が、既に7割以上となっているのである。この7割の人に働いてもらえば、「若者が高齢者を支える」という問題そのものが無くなる。

もっと言えば、「年金などに頼らず、働いて稼げば良い。そうすれば老後の不安も消える」と言えるだろう。健康上の不安を抱えたり、寝たきりになった時点で年金を受給すればよいのだ。

 

 

「高齢になると、健康不安を抱える人が増え、仕事どころではない」というご指摘もあるだろう。しかし、日本人は高齢まで健康な人が多い。

高齢社会白書によれば、75歳から84歳までのかなりのご高齢の方でも、健康な方が6割以上なのだ。

平成14年版 高齢社会白書

(出典:http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2002/zenbun/html/g1130000.html)

 

 

だが、このような話をすると、「高齢者に職がない」というご指摘をされる方もいる。確かにそのとおりだ。上のNHKの番組でも、「高齢者の再就職が難しい」という課題が取り上げられていた。

だが、考えてみて欲しい。「就職」だけが仕事をする唯一の道ではないのだ。

高齢者の新しい収入源として期待されるクラウドソーシング、クラウドワークスレポートより 【@maskin】

インターネットを活用して働く場所に依存せず終了できるクラウドソーング事業を展開する「クラウドワークス」は2013年6月25日、「シニアのクラウドソーシング利用(在宅ワーク)動向調査」の結果を公開した。

クラウドワークに登録して仕事を受けているシニア世代(50歳以上)の3分の1が、毎月20万円以上の収入を得るなど、クラウドソーシングが安定した収益源として着実に成長していることが垣間見られる内容となっている。

(中略)

収益の多さの上位12%は年間500万円以上の収入を得ており、全世代のサラリーマンの平均年収409万円を上回っている事実が明らかになった。

高齢者の新しい収入源として期待されるクラウドソーシング、クラウドワークスレポートより 【 maskin】 TechWave

(出典:http://techwave.jp/archives/newsource_income_elderly_crowdworks.html)

 

もちろん、現在クラウドソーシングを活用できている高齢者は、一部のスキルをもった人々である。しかし、高齢者の活躍できる場がそこにあるのは間違いない。

 

高齢者には時間がたっぷりある。スキルをもたない高齢者も、訓練次第では仕事ができるようになる可能性は高いし、国もそういった支援にこそ税金を投入すればいいのだ。「生きがいのある老後」と、「社会保障問題」が一気に解決できる。

 

ハフィントン・ポストにこのような記事があった。

日本の近未来像は人口問題抜きには語れない

75歳くらいまでは働くのが当たり前になる

国民皆年金制度ができたのは、1961年だが、その時点での平均寿命は、男65歳、女70歳で、支給開始年齢が60歳だから、5年~10年程度の受給が前提となっていた。現在では、男80歳、女86歳だから、その尺度でいえば、15歳程度繰り上げてもいいということになる。

また、年金扶養比率(年金をもらえる高齢者を何人の現役世代で支えているかを示す比率)で見ても、1970年度末には、高齢者1人あたり約42人だったのが、2015年には2人になる見通しだという。平均寿命は今後もっと伸びるといわれており、制度の維持には無理があるのは明白だ。

少なくとも個人の自覚としては、75歳くらいまで働くことを前提とした将来設計を考えておくことは不可避に思える。

「働く高齢者」抜きに、これからの社会を語ることは出来ない。

多くの高齢者は「隠居」したいわけでもないし、「若者に支えられたい」わけでもない。いきいきと働き、社会に参画したいのだ。その議論抜きにして、「社会保障の財源が足りない」など、思考停止もいいところだ。

 

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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)

 

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