例えば、ビジネスセミナーに、「満足度100%」であったり、「9割以上の参加者が「大変満足」」といった売り文句を掲げるものが結構ある。
私も前職でセミナーを行っていたのだが、そこでも「満足度9割以上」という基準があり、講師たちはその基準をクリアすべく、日夜努力していた。
しかしである。
自分が実際参加したセミナーで、「これは良かったな」と思えるセミナーの満足度を他の人に尋ねると、意外にに他の人が満足していなかったりする。逆に、「うーむ」と思ってしまったセミナーであっても、「すごく良かった」という人が結構いるセミナーもあった。
例えば、先日私が参加した無印良品の会長が行ったセミナーは、個人的には10指に入るほどの良いセミナーであったと思うのだが、実際に主催者の方々にアンケートの結果を聞くと、「難しかった」という感想を結構いただいたということだ。
参考:38億円の赤字だった無印良品がなぜ、6年で売上が1.5倍、利益を72億円と、V字回復できたのか。その秘密を聞いた。
では、これは「よくないセミナー」だったのだろうか?もっと情報を簡単にしたほうが良かったのだろうか?
そんなことは断じて無い。あのセミナーを「もっとわかりやすく、簡単に」したら、私はおそらく参加者として、満足出来なかったと思う。
「参加者に「簡単で、すぐ使える手法」を教えるセミナー」は、たしかに口当たりもよく、セミナーの満足度も高いだろう。しかし、それは「口当たりがよく、加工された離乳食のような情報を与えられているだけ」とも言える。
私は、「生の情報」で、「自分を考えさせる情報」が欲しいのだ。離乳食は欲しくない。
村上春樹氏が、自身のサイトでこんなことを言っていた。
僕が「これは純文学だ」と意識して小説を書いているかというと、とくにそんなことはありません。
でも心の底で「これは娯楽小説ではない」という意識はいくらかあります。娯楽小説ではないというのは、言い換えれば、作者が読者に対してある種の、ある程度の努力を要求することだろうと僕は考えています。言うなれば、咀嚼力を要求するということです。「ここから先は自分の歯で噛んでくださいね」ということです。
ときどきそのことで怒ったり、不満を寄せられたりする読者がいます。僕はそういうとき「申し訳ありませんが、こういうものなので」と言うしかありません。逆に「もっとしっかり噛ませろ」と文句を言う読者もいます。そういうときにも僕は「申し訳ありませんが、こういうものなので」と言うしかありません。むずかしいものですね。
(村上さんのところ)
この話は、恐ろしくセミナーやブログと共通点がある。
セミナーも、参加者に口当たりの良い情報だけを与えるようなセミナーは、満足度は高いかもしれないが、それは単なる娯楽である。
ブログも同じである。読者に口当たりの良い情報だけを与えるようなブログは、読者の層は大きいかもしれないが、私は「よくあるライフハックブログ」と思っている。そして、そんなものはいくらでもある。
できるだけたくさんの人を満足させたい、あるいは、多くのアクセスを集めたい、ということそのものが目的になると、主張はますます一般化し、平均化し、無難なことを口当たりよく、単なるまとめのようなものにならざるを得ない。
それを良しとする人も多いのだろうが、個人的には深みがなく、つまらないと思う。このブログは娯楽ではなく、読者の方々にもっと考えていただきたい、もっと知的好奇心を刺激したい、そう考えて書くわけである。
コメントやメールで、このブログの内容を「難しい」と言われる方もいる。が、申し訳ないが、上のような理由でご期待には添えないのである。
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