ae9a4ced3f6bba52660407d7c6210148_swebの記事でも、本であっても、「成功者の語ること」を皆は知りたがる。

もちろん、「成功の秘訣」を知るためだ。

 

「自分がやっていない、なにかすごい秘密があるのではないか?」

「まだ知らない、やらなければならないことがあるのではないか?」

 

そういったものを求めて、「成功者の語ること」を聴きたがる人は多い。

 

 

だが、冷静になって考えればすぐに分かる通り、もちろんそれは「成功の秘訣」ではない。

たしかにそれは「成功者がやっていたこと」ではあるが、「秘訣」と呼ぶほど一般化されたものではないことは、「生存バイアス」という言葉があることからもわかる。

ホントにそんなにうまくいく?――生存バイアスの罠

これは、脱落あるいは淘汰されていったサンプルが存在することを忘れてしまい、一部の「成功者」のサンプルのみに着目して間違った判断をしてしまうというものです。

(ダイヤモンド・オンライン)

法則を導くには、サンプルを広く無作為に抽出し、「それを行ったグループ」と「それを行わなかったグループ」にわけ、効果を測定し、その差が有意であるかを検証しなければならない。

これは、「小学生の自由研究」であったとしても求められる手続きだ。

 

 

例えば故スティーブ・ジョブスが、「アップルにおけるマネジメント」というタイトルのセミナーを開くことが出来たとしよう。

おそらく、セミナーは一瞬で満員となる。数千人の会場がすぐに埋まるだろう。

 

だが、セミナーの内容をどの程度自社の経営に生かすかは、一考の余地がある。なぜなら、「今、めちゃくちゃ儲かっている」という事象そのものが、いろいろなマネジメント上の軋轢をなくしてしまうからだ。

「儲かっている会社」のマネジメントは、「儲かっていない会社」のそれよりもはるかに問題は少ない。

当たり前だが、彼が行ったことについて、「成功した企業がやっていたことだから」という理由で自社へ適用するのは危険だ。

 

同じように、「成功者が行っていた◯◯の法則」と言った類の記事も、単なる「意見」である。それ以上の意味は無い。それを試すかどうかは、「信念」の領域の話なのだ。

 

昔、ある経営者がいた。彼は様々なセミナーで熱心に勉強し、得られた知識を自社に適用していた。

だが、彼の経営する会社の業績は、お世辞にも芳しいといえる状態ではなかった。そして、ある時を境にその経営者は、「成功事例」を追い求めることをとめた。

そして、彼は私にこう言った。

「いままで、成功者の企業の話ばかり聞いてきたが、正直それを試してみて、本当にうまく行ったことはありませんでした。」

「そうですか…。」

「でも、一つだけ役に立ったことがありました。」

「なんでしょう?」

「「成功している人」に学ぶことは、「成功していない人」に学ぶよりもずっと難しい、とわかったことです。正直、私の知り合いの経営者のナマの話のほうが、私達の会社には合っていた気がします。」

企業においても、「儲かっている時」には、人間関係もよく、経営者はあらゆることが賞賛される。自身のやっていることの正当性は、結果が保証してくれる。

だが、「儲かっていない時」はそうではない。

真の「学び」は、平凡なことの中に存在するのかもしれない。

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(2024/3/26更新)

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