webの記事でも、本であっても、「成功者の語ること」を皆は知りたがる。
もちろん、「成功の秘訣」を知るためだ。
「自分がやっていない、なにかすごい秘密があるのではないか?」
「まだ知らない、やらなければならないことがあるのではないか?」
そういったものを求めて、「成功者の語ること」を聴きたがる人は多い。
だが、冷静になって考えればすぐに分かる通り、もちろんそれは「成功の秘訣」ではない。
たしかにそれは「成功者がやっていたこと」ではあるが、「秘訣」と呼ぶほど一般化されたものではないことは、「生存バイアス」という言葉があることからもわかる。
これは、脱落あるいは淘汰されていったサンプルが存在することを忘れてしまい、一部の「成功者」のサンプルのみに着目して間違った判断をしてしまうというものです。
(ダイヤモンド・オンライン)
法則を導くには、サンプルを広く無作為に抽出し、「それを行ったグループ」と「それを行わなかったグループ」にわけ、効果を測定し、その差が有意であるかを検証しなければならない。
これは、「小学生の自由研究」であったとしても求められる手続きだ。
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例えば故スティーブ・ジョブスが、「アップルにおけるマネジメント」というタイトルのセミナーを開くことが出来たとしよう。
おそらく、セミナーは一瞬で満員となる。数千人の会場がすぐに埋まるだろう。
だが、セミナーの内容をどの程度自社の経営に生かすかは、一考の余地がある。なぜなら、「今、めちゃくちゃ儲かっている」という事象そのものが、いろいろなマネジメント上の軋轢をなくしてしまうからだ。
「儲かっている会社」のマネジメントは、「儲かっていない会社」のそれよりもはるかに問題は少ない。
当たり前だが、彼が行ったことについて、「成功した企業がやっていたことだから」という理由で自社へ適用するのは危険だ。
同じように、「成功者が行っていた◯◯の法則」と言った類の記事も、単なる「意見」である。それ以上の意味は無い。それを試すかどうかは、「信念」の領域の話なのだ。
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昔、ある経営者がいた。彼は様々なセミナーで熱心に勉強し、得られた知識を自社に適用していた。
だが、彼の経営する会社の業績は、お世辞にも芳しいといえる状態ではなかった。そして、ある時を境にその経営者は、「成功事例」を追い求めることをとめた。
そして、彼は私にこう言った。
「いままで、成功者の企業の話ばかり聞いてきたが、正直それを試してみて、本当にうまく行ったことはありませんでした。」
「そうですか…。」
「でも、一つだけ役に立ったことがありました。」
「なんでしょう?」
「「成功している人」に学ぶことは、「成功していない人」に学ぶよりもずっと難しい、とわかったことです。正直、私の知り合いの経営者のナマの話のほうが、私達の会社には合っていた気がします。」
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企業においても、「儲かっている時」には、人間関係もよく、経営者はあらゆることが賞賛される。自身のやっていることの正当性は、結果が保証してくれる。
だが、「儲かっていない時」はそうではない。
真の「学び」は、平凡なことの中に存在するのかもしれない。
(2025/7/14更新)
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。
<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは
【ご視聴方法】
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当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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