知人の一人が、就職カウンセラーを大学でやっている。聞くところによればその中で多い質問の一つが、「好きなことを仕事にするには、どうしたらいいですか?」だそうだ。
「何が好きなの?」と彼女が聞くと、「旅が好きなので、旅関係の仕事か、ゲーム関係の仕事がよいとおもっているんですが…。」といった回答がある。
彼女はいつもこう答える。
「なるほど。じゃ、旅関係やゲーム関係の就職をすればいいと思いますよ。」
すると学生は「そう思うんですが…」といった不安な面持ちになる。
そこで彼女はこう聴く。
「何か、迷っているんですか?相談したいことがあるのですか?」
すると、ほとんどの学生の反応は以下のようなものだ。
「好きなことを仕事にすると、給料が安くて暮らせない、っていう話を聞きます。本当にこれでいいのか不安です。」
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「みんな迷っています。」
と彼女は言う。「どんな業界であっても「新卒」というだけで入れる貴重な機会、皆、ムダにしたくないと思っているんです。」
私は彼女に「どんなアドバイスがいいのでしょう」と聞いてみた。
彼女は、ある例え話をしてくれた。
「学生さんに好きな、やりたい事を聞いた時、不安になるのは当然なんです。なぜかといえば、それは小学生低学年の子に、「どんな食べ物が好き?」と聴くのと同じだからです。」
「…?」
「つまり、限られた選択肢しか知らないということです。小学校低学年の子は、まだ複雑な味は理解できない。おそらく、大半の子はハンバーグや、カレーといったメニューしか出てこないでしょう。」
「なるほど」
「世の中には、今の自分には知らない味がある。経験したことのない味がある。それはいろいろな食物を経験し、少しずつわかっていくことです。」
「…。」
「学生さんの就職希望は、一部の大手の人気企業や食品業界など、身近な会社に集中するそうです。それはまさに小学生が「カレーが好き」と言うのと全く同じなのです。」
「業界研究を一生懸命したり、会社説明会などに足繁く通う学生さんもいるのでは?」
「そうです。でも、それは食べ物で例えればメニューを見ているのようなものです。実際の味はわからないでしょう。本当に仕事のことを知るには実際に働く、つまり実際に食べてみる必要がある。雲丹の味がわからない子供に、雲丹の味をメニューを見せて説明するようなものです。」
「そうかもしれません」
「だから、カウンセラーとしては結局のところ、「働いてみないとわからない」と学生さんに言います。」
「でも、率直に言わせていただければ、それはアドバイスになっていないのでは?」
「そうですね。ですから迷っている学生さんには2つのことを申し上げています。」
「2つ?」
「はい。一つ目の条件は、業績の良い会社に入ること。大手であっても業績が悪い会社に新卒が入る理由はどこにもありません。逆に小さくても伸びている会社にはチャンスがたくさんあります。」
「二つ目の条件は?」
「アドバイスにはなっていないかもしれませんが、「殆どの人は、好きなことを仕事にするのではなく、一生懸命やった仕事を好きになるんですよ」と言っています。」
「…」
「私も、そうでしたから。」
彼女は本当に仕事を楽しんでいるようだった。
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