4990590934_fd18e91db5_z昨日お会いした方から、とても興味深い話を聞いた。勤め先が経営者向けのセミナーを行っているのだが、「同じ経営者が何度も同じ話を聞きに来る」という。

とても不思議な話だ。なぜなら、セミナーへの不満としてかなり一般的なものが、「すでに知っているものだった」と言う感想だからだ。

その経営者たちは、新しい知識を求めてくるわけではなかった。

 

ただ、よく考えると人は必ずしも新しいものが好きというわけではない。むしろ、新しいものよりも馴染みのあるもののほうが遥かに好きだ。

・行きつけのお店が好き

・自分の書棚には似たような本が並ぶ

・シリーズ物ばかり買ってしまう

・似たような色の服ばかりクローゼットにある

もちろんこれは、大人だけではない。子供でも同じである。例えば幼児は、同じ本を何度も読んでくれるようにせがむ。すべてのページの文言まで暗記しているはずなのに、それでもその本を読んで欲しいと言う。

上の経営者の話も同じだ、さしずめ「行きつけのセミナーがある」といったところだろうか。

 

しかし、なぜ人は馴染みのものに惹かれるのだろうか。

知人は、

「人は常に新しい環境にさらされると大きなストレスを受けるので、ブレないものがほしいのでは?」

と分析する。

特に経営者は常に「変わらなければいけない」というストレスに曝される。

「このやり方でいいのか?」

「もっと簡単に成功するやり方があるのでは?」

というストレスにさらされると、何が正しいのか徐々にわからなくなる。だから、いつもの安心感のある体験を求める。

思い通りにならない世の中で、ソーシャルゲームの生み出す「予定通りの快感」を求めて課金する人は後を絶たない。人はそれほど強いものではない。「自分は間違っていない。自分は正しい、これは間違いない、と思わせてくれるもの」が必要だ。

 

 

一般的に新しいものよりも馴染みのあるもののほうが好き、というのはビジネスにおいてはあまり良く思われない。

「変わろうとしない」 「頭が硬い」と言われたり、「保守的すぎる」であったりと、批判を受けることも多い。だから、「経営者がいつも同じ話を聞きに来る」という行動は一種の弱さであるとみなす人もいるのではないだろうか。

 

だが、見方を変えてみれば「同じことをやり続けられる」という強さとも取れる。習慣化の本質は、「いつも同じことをして、安心感を得る」ことだからだ。

馴染みのお店に通うことは、良く言えば「意図しない習慣化」と言える。

 

「長くブログを続けるには、どうしたら良いでしょう?」と聞かれることがある。そういえば、私も同じような疑問を持っていた。

 

そして、私のその疑問に対してあるブロガーの方はこう答えてくれた。

「半年毎日続けると、書かないと不安になります。だから、とりあえず半年続けることです。あとは2年、5年、10年続けられますよ。」

要するに、「馴染みの行動」にしてしまうことが習慣化の秘訣なのだ。

 

そういえば、確かにブログを書かない日は不安だ。書くのが習慣になってきたということか。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)

 

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(Photo:EdTech Stanford University School of Medicine)