3793569956_6d1aa73e18_zリーダーは強くあらねばならない、少々のことに動じてはならない、リーダーに従う人は概ねそう思っている。

リーダーが公平で、毅然としており、厳しくあることで集団はまとまりを保つことができる。それは当たり前のことである、と言っても良いかもしれない。

 

 

しかし、私がお会いしてきた経営者、管理職の方々は、ほとんどの場合「強い人」ではなかったように感じる。もちろん、社員の前では「強くいてほしい」という社員の望み通りの姿を見せる。

しかし。

人事の決定について、内心は皆がどう思っているのかビクビクしている。

誰かが「辞める」と言おうものなら、自分のマネジメントに何か問題はなかったのかと反芻する。

新人が配属先で元気が無いように見えれば、何か職場に起きているのではないかと疑心暗鬼になる。

成果が出なければ胃が痛い。

「改善提案」すら、自分への批判に見えてしまう。

そんな、普通の人達がほとんどだった。偉大なわけでも、崇高な精神を持っているわけでもない。一人の弱い人間がそこにいる。

中には何がおきようが超然としている方もいたが、そう言った方々はむしろ例外に属し、ほとんどの経営者や管理職は、「我慢して」人の上に立っていた。

 

 

「やせ我慢」は、本来ならば必要のない我慢である。しかし、福沢諭吉は共同体を維持するために、やせ我慢はとても重要であると述べた。

瘠我慢の説 福沢諭吉

れば自国の衰頽すいたいに際し、敵に対してもとより勝算しょうさんなき場合にても、千辛万苦せんしんばんく、力のあらん限りをつくし、いよいよ勝敗のきょくに至りて始めて和を講ずるか、もしくは死を決するは立国の公道にして、国民が国に報ずるの義務と称すべきものなり。すなわち俗にいう瘠我慢やせがまんなれども、強弱相対あいたいしていやしくも弱者の地位を保つものは、ひとえにこの瘠我慢にらざるはなし。

無理して日本にしがみつく必要はない。日本がダメと見れば、すぐに海外に移住すればいいのだ、と言う方もいる。一方で、「それでも日本を何とかしたい」と、やせ我慢をする方もいる。

 

それと同じである。

無理をして会社で経営者や管理職をやる必要などない。「こんな社員、部下などどうにでもなってしまえ」と、マネジメントを放棄することもできる。

だが、そういった状況にあって「やせ我慢」して、皆を引っ張り、支えるリーダーこそ、真のリーダーであると言える。それは強さや崇高さといった立派なものではない。

弱い自分を必死に隠して耐える人の姿がそこにはある。

 

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