よく言われる話であるが、有能な人だけを集めても良いチームになるわけではない。実績のあった人たちを集めて「オールスター」のチームを作ったとしても、実績につながらないことも多い。
これは、チームを組むときのの本質、組織の本質が潜んでいる。
なぜ、有能な人だけを集めてもチームとしてうまく機能しないか。私の観察では、以下の6つの理由による。
1.「分業」がうまく機能しない。
チームを組む目的は、本質的に分業である。しかし、分業には2種類あり「一人の頭脳が手足をつかう」分業と「全員が同等の責任のもとで役割を果たす」分業がある。
前者の頭脳に当たる人は、他にスターがいるチームではうまく働けないことが多く、オールスターチームを崩壊させる。
2.「ノウハウ蓄積・改善」がうまくいかない
有能な人は、その人の中にある程度完結したノウハウを持っている。だが、「教える相手」の居ないチームではそのノウハウは外に出てきづらい。
個人個人の力量が高過ぎるチームでは、それををアウトプットして人に伝える必要がないからである。それは同時に、ノウハウが改善されにくいということも示す。
3.意思決定が遅い
有能な人同士では、意見の衝突も多い。もちろん本当に有能な人は人の話を真摯に聞くのだが、「船頭多くして船山に登る」という言葉通り、悪い方にそれが出てしまうとまとまるものもまとまらない。
結果として意思決定は遅れ、チームは何もすることができない。
4.「地味な作業」「裏方の作業」が遅れがちになる
有能な人が有能な人として存在できる理由は、裏方がいるからである。
「周りとの摩擦を減らす」「時間のかかる地味な作業をやってくれる」「雑務を片付けてくれる」など、有能な人がもっとも重要な課題に時間を使えるように気を回してくれている人が必ず回りにいる。
有能な人だけで固められたチームでは、その存在がなく、「地味な作業」も自分でやらなければならないため、どうしてもそう言った作業が遅れがちになる。
結果として、つまらないことがプロジェクトのボトルネックになっていることも多い。
5.チームの構成員たちが張り合ってしまう
負けん気が強いことは悪いことではないのだが、「有能な人」が集まるとどうしてもその中に対抗意識が生まれる。
それが悪い方向に向かうと、「顧客を満足させること」よりも、「チーム内で発言力を増すこと」に力が使われてしまうことが多々ある。
6.「失敗できない」という雰囲気が生まれやすい
ある意味、いちばん問題かもしれないのがこれである。いわゆる「有能な人」は、失敗を恐れることは無いし、失敗してこそ、と思っている人も多い。
だが、有能な人たちだけが集められた空間では、「失敗できない」という雰囲気が生まれやすいのも確かである。
例えばある商社の新規事業立ち上げプロジェクトには、各部署からエースが集められたが、結果として「無難な仕上がり」になったが期待ほどではなかった。
彼らに話を聞くと、「確実に結果が出るような方向に持っていかなければならない雰囲気があった」という。期待されすぎると、無難なことしかできなくなるのである。
「4番バッターだけではダメ」「チームは多様性が必要」と言われるが、現実的には「有能な人が多様」という意味ではない。チーム作りはもう少し深い。
「教えられる人」「地味な作業を忠実に実行する人」など、スター選手以外の要素も重要なのである。
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奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、
メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。
岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。
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(Photo:Tom Leuntjens)














