仕事関係の割とステレオタイプな寓話として、「Excelでマクロを組んで業務効率化したのに何故か怒られた」というものがあります。
皆さん、そういう話読んだことありますか?
webでパッと検索してみると、幾つか類型的なものが引っかかります。これなんか結構昔からあるヤツですね。タイムスタンプは2009年になっています。
K谷「ああ、自動で計算するプログラムを組んだんですよ、マクロって言います。
こっちでやった方が作業効率も上がるしミスも減ると思いまして、何か問題だったでしょうか?」
・・・・・・・・・・はぁ!?会社舐めるのもいい加減にしろよ、
仕事が早いというのは同じ環境でどれだけ間違いがなく効率よく作業ができるかということ、
そんなの社会人としてというか人として当たり前のことです。
マラソン大会で一人だけ車を使って優勝してもそんなの評価されていいわけがない。
「yahoo釣り袋」などと揶揄されることも多い、明石港かってくらいの釣りの名所でもある知恵袋なので、このエピソードが釣りでないという保証は正直どこにもないのですが。
ただまあ、
・新人がマクロで業務の効率改善
・何故か旧態依然のやり方に不合理にこだわる先輩、ないし上司
・評価されるどころかマクロを作ったことを怒られる、ないし責められる
といった類型的なパターンは、既にこの時点で出来上がっていることが分かります。実際のところ、マクロで仕事をしたからといって「ズル」とか言われるのは「アホですか」という程度には意味不明な状態ですよね。
もう一つ、これは割と最近のtogetterまとめなのですが、
みたいなものもあるようです。「マクロによる業務効率化が、何故か評価されない」という案件は、もしかすると割と一般的にあるのかも知れません。まあ、都市伝説みたいなエピソードも混じってるのかも知れませんが。
ところでしんざきはシステム関係の業務をやっておりまして、上司の立ち位置だったり、時にはシステム管理者の立ち位置だったりします。
で、かなり昔、以前勤めていた会社で一度実際にあったことなのですが、「マクロによる作業自動化の試みによってシステムを一つ落っことされた」ことがありました。
どんな業務だったかというと、単純に言うと「顧客に関する情報を、とある管理システムからcsv形式でダウンロードして、それを整形した上で別のシステムに入力する」というような内容でした。
作業自体は、システム部署ではない、営業部署で実施するタスクです。
単なる定型作業なので、アプリで自動化しましょうか?と提案したこともあったんですが、それ程の量でもないしその内新システムに置き換えるから、ということで手付かずになっていました。
管理システム自体かなりレガシーなシステムで、インフラ的にも正直相当無理がきていたところ、リプレースが近いこともあって費用が割かれず、だましだまし使っているという感じでした。私がその現場に来る前、また別の業者さんが開発したシステムです。
そこに、新しく入ってきた人が、ある程度マクロやらVBAが分かる人で、その手作業を簡略化する為に、自前でマクロを組んだらしいんです。
「らしい」というのは、当時その人、周囲に無断でそれをやってたからなんですが。
ある時管理システムが落っこちました。正確に言うと、CPUが全部100%に張り付いて、ロードアベレージが40とかになって、アプリの応答が軒並み戻ってこなくなりました。
レガシーなシステムの常で、基盤がぜい弱な割に様々な業務がそのシステムに乗っかって動いているので、当然業務は大混乱になりました。
仕方ないんで色々プロセスkillしたり、走ってる処理止めてDB再起動したり、まあてんやわんやしつつなんとか回復させたんですが。
後から判明したことですが、落ちたこと自体はそのマクロが主因、管理システムの作りの悪さが副因でした。
具体的に説明するのはちょっと色々アレなんですが、たとえて言うと
「検索範囲を広げてCSVを取得しようとする時、データをまとめてとってくるのではなく、何度も処理をループさせてとってくるような作りになっていた」
というような話です。更に、マクロ自体も、短い単位でループを繰り返すような変な作りになってたみたいなんです。
画面から手作業で処理をする分には、限定された範囲でしかデータを取らないので問題なかったが、VBAでデータ取る時にがーっと回っちゃってサーバ陥落、という状況でした。いやまあ、その程度で落ちて困るようなシステムを業務で使うなよって話なんですが、そこを後回しにするのは会社の予算的な方針だったのだからしょうがありません。
で、まあ、「いやいやマクロ作って自動化するなら事前に相談くらいしてくださいよ」って話じゃないですか。
上記のようなリスクは、システム部門では事前に把握していましたし、話を通してもらえれば事前になにかしら対処も出来ましたし、そもそも自動化をするならするでシステム側でなんとでも対応出来ました。
せめて、きちんとテスト環境を整えてテストくらいしていれば、障害も発生しなかった筈なんです。
ただ、ちょっと面倒くさかったのが、そのマクロ組んだ人が「業務改善をマクロでやって、周囲に理解されないで責められる」みたいな話を、凄く正直に真に受けちゃってた人だった、ということなんです。
彼からしてみれば、ブラウザの画面でポチポチファイルをダウンロードして手作業をしている人たちはどうしようもなく不効率、不合理で時代遅れな人たちであって、マクロの意味や意義なんて理解も出来ないだろうし、そんな連中に事前調整なんてとんでもない、ズルをするなと止められるかも、みたいな意識だったらしいんですよ。
そういう意味では、多分私も、当初の彼の中では「不合理なやり方にこだわっている守旧派」だったのかも知れません。
いや、正直「VBAくらいでそんな「周囲に理解されない出来るヤツ」みたいな自己認識されても…」とは思わないでもなかったんですが。
他部署の人とはいえこれはほっといたらアカンわと思いまして、
・業務改善は良いことだしマクロを使うなら使うでも良いが、事前に調整はして欲しい
・通常と異なるやり方で業務システムにアクセスする以上、動作検証は必須
・不合理な手作業をやっているように見えても、事情がある場合もある
・マクロに理解がない人ばかりではない、というかマクロの意義くらい理解出来る人の方が多分多い
・事情が分からない内は先入観で考えないでちゃんと上に確認しましょう
というようなことをツラツラとお話しました。色々認識を改めてもらえたかどうかは、その後私が現場変わっちゃったんで確認出来てないんですが。
勿論、業務を効率的に片づける為に作業を自動化することはじゃんじゃんやっていいと思いますし、やるべきだと思います。
ただ、システム全般が把握出来ていない場合には、ちょっと一言上席の了解はとった方がいいと思いますよ、と。
単に無理解で古いやり方を維持している職場ばかりじゃないと思いますよ、と。
了解をとらないで色々やると、何かあった時に自分の責任になっちゃいますよ、と。
これくらいのことは一般的に言えるんじゃないかなあ、と考えた次第なのです。
今日書きたいことはそれくらい。
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【登壇者】
奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、
メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。
岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。
【お申込み・詳細】
こちらのウェビナー申込ページをご覧ください。
【プロフィール】
著者名:しんざき
SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。
レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。
ブログ:不倒城
(Photo:Erik Eckel)













