5434408574_599677bf1a_z先日、ある研究者の方とお話をさせていただいた。その時話題となったのが「良いキャリア」についてだった。

その研究者の方はこう言った。

「安達さん、良いキャリアを積むには、いい人がいるところに行かないとダメですよね。」

その方が言うには、良い研究者になるためには、何よりもまず良い人のもとで研究することが必要だというのだ。

 

実は、似たような話を以前、別の方からされたことがある。数年前に私が訪問した、ある企業の経営者は、

「何をするかより、どれくらいもらえるかより、「誰と仕事をするか」がもっとも重要ですよ」

と述べた。

「仕事を選ぶよりも、誰の下で働くかを選ぶほうが、はるかに重要な選択です」

 

新人の成長のカギとなる要因は何か。という記事にも書いたが、この意見にはほぼ賛同する。「誰の下で働くか」は、成長やスキル、キャリアにかなり大きな影響がある。

むしろ、多くの方は意外に思うかもしれないが「やりたいことをやる」よりもはるかに重要かもしれない。

 

実際、多くの研究者や経営者に、

「なぜ、今の研究をしているのですか?」

「なぜ、今の事業になったのですか?」

という質問をすると、

「もともとこれがやりたかったわけではなかったけど、成り行きでこうなった」

「お客さんから依頼されていたことをやっていたら、今の事業になった」

という回答がほんとうに多い。感覚的には全体の7割から8割位の人がそういった回答をする。私にとっては非常に驚きであった。

そして、そう言った方々のほとんどが、「巡りあってよかった」という方の存在や「キャリアに影響を与えた場」を持っている。

 

仕事を選ぶ基準は、給与であったり、仕事の内容であったり、勤務地であったりと様々だ。だが

「どういった人々と働くのか」

のほうが実は重要だ。

可能であれば、転職や就職をするときには、可能な限り上司となる人や同僚となる人、あるいは人事や経営者がどのような人物なのかについて、情報を集めるべきだろう。

 

 

私のお世話になった人は、いつもキャリアについてこう言っていた。

「キャリアを形成しようとするな、自分で描くキャリアなど、犬に食わせてしまえ。そうではなく、「この人はちゃんとした人だ」と思える人のところへ行きなさい。そうすれば、自ずとキャリアは見えてくる。」

当時の私には意味がわからなかった。だが、多くの研究者や経営者と会い、あの頃よりは少し理解に近づいたのではと思っている。

 

 

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・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください

(2025/6/2更新)

 

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(Photo:Mays Business School at Texas A&M University)