仕事の能率を上げるにはどうしたらよいか?という問いに対しては、様々な方法がある。
「時間の使い方である」
「集中できる環境を作ることである」
「完璧を目指さない」
など実に多くのことが紹介されている。
だが、能率を上げる事に最も重要なことは、無駄な仕事をおこなわないことであり、重要なことを先に片付けることである。つまり、成果につながる仕事をやれ、という誠にシンプルな話だ。
したがって、仕事をどのようにやるか(How)よりも、何をやるか(What)が、何よりも能率のためには重要である。
実際、マネジメントの始祖であるピーター・ドラッカーは、仕事のコツを「もっとも重要なことから初めて、しかも一度に一つのことしかしない。」※1と言った。
では、そのために我々は何をすべきだろうか。それは明白である。重要な事から取り掛かるためには、
「すべての仕事が成果につながる目的を持ち」
「すべての仕事の手続きを明確にし」
「すべての仕事の順番を決める」
ことが必要だ。そして、この3つを過不足なくできるようにするためのテクニックが、仕事の細分化である。
したがって、仕事においてもっとも重要なテクニックであり、社会人が最初に憶えなければならないのは、仕事の細分化である。
仕事の細分化は、能率向上のための要諦である。
だが、仕事の細分化をうまくできる人は少ない。それは多くの場合、仕事の細分化について実務的な教育を受ける機会がほとんどないからだ。
では、具体的にタスクの細分化はどのように行うべきなのだろうか。
実は、仕事の細分化の方法は2つのステップを踏むとやりやすい。
1.プロセスに分ける ⇒小さい動作に分ける。(≒作業手順を作ること)
2.成果を設定する ⇒プロセスに小さい成果を定義する(≒ゴール、仕事の質を決めること)
わかりにくいかもしれないので、例を上げてみよう。ここでは【ブログを書く】という行為を細分化してみることにする。
まずは、プロセスに分解する。
【ブログを書く プロセスに分解】
- ネタを考える
- 下書きをする
- 清書する
- 推敲する
- 公開する
これは作業手順である。もちろん作業手順がわからなければ、仕事にとりかかることができない。だから、多くの人は「仕事を細分化しなさい」と言われると、このプロセスへの分解を行う人が大多数だ。
だが、ここで止まる人も多い。「ネタを考える」ということだけでは、「結局、何も浮かばないよ」ということで、投げ出してしまう方や、先送りしてしまう方も多いからだ。
プロセスに分解しただけでは仕事を細分化したことにならないのである。
これをさらに進めるためには、一つ一つのプロセスに成果を設定していくことが重要である。
- ネタを考える
という仕事について、目的を考える。例えば
何のためにネタを考えるのか?
⇒書くため。
何のために書くのか?
⇒数多くの人に読まれるため?自分の思考のまとめのため?それとも上司のため? このように、何のため?を問い続けることで、「仕事の目的」が明確になる。
細分化した仕事を書きなおしてみよう。
- 皆に読まれる記事を作る、その記事の目的は◯◯である。そのためにネタを考える。
単に「ネタを考える」よりだいぶ良くなった。タスクの書き方を変えるだけで、仕事がとても進めやすくなり、能率が上がる。
次に
- 下書きをする
に取り掛かろう。これも同様に何のために下書きが必要かを考える。
例えば、ネタを一旦、一箇所に書き出して、頭の中を整理するために、などだ。実際、下がきは整理のためにはとてつもなく重要である。
- 頭の中を整理するために、一度ネタを一箇所に集約し、下書きをする。
とすると、単に下書きをする、よりも遥かに仕事が進めやすい。
次にいこう。
- 清書する
これも、何のための清書か?と同じように考える。ここでは、
- 断片的なネタからストーリーを作って、文章を構成するために清書する。
ストーリーを作るため、と定義できれば、「ストーリーの作り方」という形で検索し、テンプレートを集めることもできる。目的を書くことは、調べ物をするときにも有利である。
- 推敲する
何のための推敲か?を考えれば、目的はやさしい。
- 文章を読みやすく、筋肉質にするために、無駄なものを削ぎ落とす推敲をする
あまりひねりがないが、目的を添えることで、単に「推敲する」よりも多くの質の高いことができる。
- 公開する
何のため?それは、
- 広く読まれるため、、SNSなどを用いて、拡散してもらうため公開する。
自明であるが、自明であることも書いておくと後から見た時にアイデアが誘発される。
最後にまとめてみよう。仕事をプロセスに分解するだけでは
- ネタを考える
- 下書きをする
- 清書する
- 推敲する
- 公開する
だったものが、目的を与えることで下のようになる。これでもまだ大雑把で勧めにくいと思うなら、更に細分化すればよい。
【ブログを書く プロセス+成果に分解】
- 皆に読まれる記事を作る、その記事の目的は◯◯である。そのためにネタを考える。
- 頭の中を整理するために、一度ネタを一箇所に集約し、下書きをする。
- 断片的なネタからストーリーを作って、文章を構成するために清書する。
- 文章を読みやすく、筋肉質にするために、無駄なものを削ぎ落とす推敲をする
- 広く読まれるため、、SNSなどを用いて、拡散してもらうため公開する。
以上に示したように、細分化の本質は
作業を洗い出す+成果を定義する
ということであり、仕事を扱いやすい単位に小さくまとめていくためのものである。この方法は多くの仕事を抱える方には、とても有効である。
タスク管理に挫折した方などに、お試しいただきたいテクニックである。
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)
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※1 プロフェッショナルの条件(ダイヤモンド社)