15416025241_67f6f675b4_z大企業でもないのに売上を目標にしている会社は、今すぐにそれをやめたほうが良いと、私は思っている。それは以下の理由によるものだ。

 

1.売上は、単なる「結果」である。

売上は単なる数字だ。自分たちの行動の正しさを測る指標の1つではあるが、それが目標となることはない。企業の目標・目的は何かの使命を果たす事である。

「美味しい食べ物を届けること」

「良い服を着てもらうこと」

「素晴らしいサービスを使ってもらうこと」

が使命なのだから、あとはそれを定量化すればよいのだ。

売上そのものが目標になると「売上をどうやって作るか」という間違った思想が会社に浸透してしまう。多くの場合それは、顧客に押し売りをしたり、商品の改良を怠ったりするなどの負の影響が大きくなるばかりである。

 

 

2.予想通りの売上になった時、既にその会社は「死んでいる」

例えば年間の売上目標を作ったとする。では、その売上目標にどれだけの意味があるのだろうか?

・もしそれを達成できたならば、「目標が低すぎた」ということか、もしくは「期首に予想できるようなことしかしていない」ということである。中小企業とスタートアップがそんなことをしていたら、遅かれ早かれその会社は潰れる。

・もしそれが達成できなかったのであれば「努力が足りない」ということにされがちだが、本来企業は、「正しい市場に正しい商品を提供することで、努力をしなくても伸びる」のが正しい姿だ。

売上目標に達するために努力をする、というのは本末転倒であり、努力は本来、その企業が持つ使命に対してなされるものである。

 

 

では、売上の数字の活用の仕方はどのようにすべきか。個人的に売上は、「予想」に留めることが良いと考える。「売上予想」は、自分たちがやるべき事業からつくり上げる。

 

・今期は◯◯を◯◯の規模で行う

・今期は◯◯の活動を行う。

・今期は◯◯の地域の人々に◯◯を届ける。

 

その結果、事業規模は◯◯になるのだから、売上予想は◯◯になるはずだ。という具合だ。

この場合、活動そのものが目標となるから、数字は「その活動が正しかったか、期待通りだったか」の判断の基準として使われる。もちろん売上以外にも利益やシェア、ブランド認知などの数字も活動の正しさの判断基準となる。

 

予想に反して売上が伸びていない場合、「商品の限界」か「市場がない」のか、「販促に問題がある」のか、総合的に検討すべきだが、売上が目標になっていると「なんとか売れ」が、原理となる。これは危うい。

 

 

40年前の世界であれば、ある程度「売上」を目標にし、オペレーションを必死にやることで会社は間違いなく反映することができた。

だが、近年では売上目標の賞味期限が切れている。2年後、3年後の状態はおろか、1年後の状況を予想することすら困難だ。そんな時に売上目標に何の意味があろう。

売上目標は「古いツール」であり、あまり成長が見込めない一部の大企業でしか機能していないものなのだ。

 

 

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【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
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(2025/6/2更新)

 

 

(Photo:57Andrew)

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