4627936161_39df5d616a_z「興味がない」という言葉を口にしないほうがよい、と昔ある先生から教わった。今になって思うと、非常に重要な指摘だったと感じる。

私が理由を尋ねると、「「興味が無い」という言葉は、自らを狭い世界に押し込めるからです」と先生は言った。

 

先生は、こうも言った。

「その学生さんが社会に出て成功するかどうか、大体その発言でわかります。「興味が無い」とすぐに言ってしまう人は、大抵成功できません。たまたま良い会社に入ったとしても、研究者になることができても、途中で成長が止まります。」

 

先生は、ある一人の学生の例をあげた。

「その学生は、「そっちには興味が無いので、重要な事だけ教えて下さい」というのが口癖でした。彼は明晰で、自分の興味のあることには非常に積極的でしたが、それ以外はサッパリ、と言った具合です。」

どこかで聞いたような話だ。

 

「彼は結局どうなったか?というと、20代後半から全く伸びなくなりました。あとから入ってくる若手にもどんどん抜かれてしまいました。」

先生は周りの学生たちを見渡した。

「なぜだと思いますか?」

 

学生たちが発言する。

「新しい知識を拒んだからです」

「好奇心がなかったからです」

「閉鎖的だからです」

 

先生は、皆に言った。

「どれも正解です。ですが、本質的には「興味が無い」という発言は、2つのことを示しています。知識を扱う仕事につきたいなら、これは覚えておいたほうが良いでしょう。」

 

我々は身を乗り出した。先生は言った。

「1つ、「興味が無い」と自分で線引をすることは、自分の枠組みを知識に押し付けてしまっています。これは柔軟な発想ができなくなる行為です。

知識はどこで繋がるか予想ができない。「興味が無い」と発言することで、真理に至る道を自分で閉ざしている可能性が高い。

大きな発見は、しばしばその道数十年、といった専門家でなく、他の道から新規参入した人が成し遂げることがありますが、知識の繋がりは予想できないのです」

 

「2つ、「興味が無い」という発言は、周りの人にとても攻撃的な印象を与えます。よく言うでしょう。「嫌い」よりも「無関心」のほうが人を傷つける、と。

協力者を失うことは、大きな損失です」

 

 

私はその日以来、

「興味が無い」

という言葉を決して使うまいと決めた。

 

【安達が東京都主催のイベントに登壇します】

ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。


ウェビナーバナー

▶ お申し込みはこちら(東京都サイト)


こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい

<2025年7月14日実施予定>

投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは

借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。

【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである

2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる

3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう

【登壇者紹介】

安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00

参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください

(2025/6/2更新)

 

・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします))

・筆者Twitterアカウントhttps://twitter.com/Books_Apps

・大学・研究の楽しさを伝える、【大学探訪記】をはじめました。

【大学探訪記 Vol.21】人間は、なぜ1種しか地球上に存在しないのか?という疑問に迫る。

【大学探訪記 Vol.20】地球に隕石が飛んできているからそれ調べてるんですけど何か?

【大学探訪記 Vol.19】伊勢神宮のネットワークを駆使し、地域おこしを実現する。

・仕事の楽しさを伝える、【仕事のチカラ】をはじめました。

【仕事のチカラ Vol.5】データサイエンティストって、どんな人?どうやったらなれるの? という疑問に答えてもらいました。

【仕事のチカラ Vol.4】何をやるかを決めずに、気の合う仲間と起業する。そんな人生もいいじゃない。

【仕事のチカラ Vol.3】プログラミングを独習し、その勢いで独立した、28歳の凄腕プログラマーの話。

・ブログが本になりました。

「仕事ができるやつ」になる最短の道

「仕事ができるやつ」になる最短の道

  • 安達 裕哉
  • 日本実業出版社
  • 価格¥452(2025/06/21 13:56時点)
  • 発売日2015/07/30
  • 商品ランキング80,021位

(Photo:Doug)