最近は副業を解禁する会社もかなり増えていると感じる。一時前までは副業に慎重な会社が多かったが、現在ではむしろ逆の風潮がある。
特に知識労働を主体とする企業の経営者は、「副業を認めない合理的な理由は、あまりない」という方が多い。
「機密が〜」「社員の引き抜きが〜」といった副業にネガティブな要因を挙げる会社ももちろんあるが、副業を容認する会社から見れば、「時代遅れもいいところ」となってきている。
また、ある経営者は「副業させると、本業の成績も上がる」と言う。彼は理由を次のように述べた。
「まずですね、会社の外部の人脈を持っていない人間は、今ひとつ使えないですよ。社員にしたくないです。」
「なぜですか?」
「今は、必要な知識をすべて社内で賄うのは不可能な時代です。先端の知識は常に社外にあると考えたほうが良い。だから、「自分が知っています」だけでなく「社外の◯◯さんが知っています」といえる社員がほしいんですよ。
もちろん、副業をしていなくても、人脈豊富な人はいますが、経験的に副業をしている人のほうが圧倒的に人脈が多いですね。」
「たしかにそうですね……副業したほうが良い理由は他にもありますか?」
「ふたつめの理由はですね、イエスマンがいなくなる、ということです。副業すると、収入の口が他にもあるので、評価に拘泥しなくなるんですよ。」
「それはメリットなのですか?」
「経営者によってはイエスマンが好きなのかもしれないですが、はっきり言って、イエスマンは役に立たないですね。おまえは、何のために給料をもらっているのか、社長のご機嫌取りじゃなく、成果をあげるためだろう、といいたくなります。」
「社長の言うことを聞かなくなるのでは?」
「どうせ、「給料を減らすぞ」と脅してやる気が変わるような社員は要らないですから。」
「なるほど…他にもありますか?」
「三番目はですね、経営者視点が持てるということです。副業すると「稼ぐ」という事の本質がわかりますから、みな経営者の気持ちがわかるようになるんです。
すごいですよ。ウチの新規事業や新商品の会議は、みな自分がオーナーのつもりで吟味しますから、真剣です。技術者やデザイナーでも、費用対効果やマーケティングの視点を持っていますから。まあ、本来は持っていて当たり前なのですが。」
「面白いですね。」
「そうです。で、最後のメリットが「価値観」についてです」
「価値観?」
「いや、会社なんでどうしても同質性が出てきてしまうんですよ。お互いに影響を与え合うと、皆考え方が似てくる。」
「悪いことではないと思いますが……」
「もちろんそうなんですが、ぬるい社内の馴れ合い、とも取れます。私は常に緊張感のある状態にしたいのです。根本的な部分で相違があって会社がバラバラになってしまうことは避けなければならないですが、同質性が高過ぎるのも問題です。
皆には、社外の価値観を見聞きして、常に自分をバージョンアップして欲しいのですよ。」
「そういうことですか。」
「いまでは面接の時に必ず「副業したことがありますか?」と聞いています。副業をしたことある人は、ほとんどハズレが無いですね。ウチの幹部はそんな人ばかりですよ。」
【安達が東京都主催のイベントに登壇します】
ティネクト代表・安達裕哉が、“成長企業がなぜ投資を避けないのか”をテーマに東京都中小企業サイバーセキュリティ啓発事業のイベントに登壇します。借金=仕入れという視点、そしてセキュリティやDXを“利益を生む投資”とする考え方が学べます。

こんな方におすすめ
・無借金経営を続けているが、事業成長が鈍化している
・DXやサイバーセキュリティに本腰を入れたい経営者
・「投資」が経営にどう役立つかを体系的に学びたい
<2025年7月14日実施予定>
投資と会社の成長を考えよう|成長企業が“投資”を避けない理由とは
借金はコストではなく、未来への仕入れ—— 「直接利益を生まない」とされがちな分野にも、真の成長要素が潜んでいます。【セミナー内容】
1. 投資しなければ成長できない
・借金(金利)は無意味なコストではなく、仕入れである
2. 無借金経営は安全ではなく危険 機会損失と同義
・商売の基本は、「見返りのある経営資源に投資」すること
・1%の金利でお金を仕入れ、5%の利益を上げるのが成長戦略の基本
・金利を無意味なコストと考えるのは「直接利益を生まない」と誤解されているため
・同様の理由で、DXやサイバーセキュリティは後回しにされる
3. サイバーセキュリティは「利益を生む投資」である
・直接利益を生まないと誤解されがちだが、売上に貢献する要素は多数(例:広告、ブランディング)
・大企業・行政との取引には「セキュリティ対策」が必須
・リスク管理の観点からも、「保険」よりも遥かにコストパフォーマンスが良い
・経営者のマインドセットとして、投資=成長のための手段
・サイバーセキュリティ対策は攻守ともに利益を生む手段と考えよう
【登壇者紹介】
安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
著書『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)は累計82万部突破。2023年・2024年と2年連続で“日本一売れたビジネス書”に(トーハン/日販調べ)。
日時:
2025/7/14(月) 16:30-18:00
参加費:無料
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。
お申込み・詳細
お申し込みはこちら東京都令和7年度中小企業サイバーセキュリティ啓発事業「経営者向け特別セミナー兼事業説明会フォーム」よりお申込みください
(2025/6/2更新)
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(Photo:Stefan Lins)