8609900510_9689d87941_z「なぜ、努力をしなくてはいけないのか?」と、ある中学生が大人たちに聞いていた。

大人相手であれば適当な答えも許されるのだろうが、中学生相手では軽はずみなことも言えない。どう答えるべきなのだろうか?いや、そもそも努力が必要だというべきだろうか。

 

そこである年配の方が会話に入った。中学生は

「なぜ、努力をしなくてはいけないの?」と、年配の方に聞く。

その方は優しく答えた。

 

「努力がイヤなのかい?」

「イヤじゃないけど……」

「なんでそんなことを聞くんだい?」

「もっと勉強しないとダメだ、努力しないとダメだ、って、いつも父と母に言われるから。」

「なんで努力しないとダメなのか、疑問に思ったということかな?」

「そう。」

「お父さん、お母さんはなんて言ってる?」

「努力しないと、自分のなりたい職業につけないぞ、って。」

「そうか、お父さんお母さんは正しいね。」

「でも僕、勉強はあまり好きじゃないよ。それに才能のある人にはいくら努力しても勝てないでしょ。」

「なんでそう思ったの?」

「うーん、友達とかみんなそう言ってる。マンガとかも、結局才能がある人が勝ってる話ばかり。」

「そうなんだ。」

「うん、結局才能のあるなしで決まるなら、勉強しても、努力してもあまり意味がないんじゃないかって。」

「キミは、自分に何かの才能があると思う?」

「わかんない。多分、そんなに勉強もスポーツもできる方じゃないから、才能はないんだと思う。」

その子はなんとなくしょんぼりしている。

 

年配の方は言った。

「そうか、それじゃ私から幾つかいいことを教えてあげよう。一つ目、学校では才能はわからない。」

「どういうこと?」

「学校で教えてくれることは、所詮「時間さえかければだれでもできること」を教えてくれているだけ。そんなものでは才能はわからない。」

「そうなの?」

「そう。才能のあるなしは、学校を卒業して、社会に出て、オリジナリティの求められる仕事をしてようやくわかる。今やっているのは、学校の与えた課題をうまくこなせるかどうかということだけ。」

「ふーん。」

「今の時点で与えられている課題なんて、才能のあるなしのモノサシとしてはつかえない。今成績が良い子たちだって、大学に行って、会社に入ったら、ほとんど普通の人たちだよ。そんなものは、才能ではない。」

「そうかあ、そうだよね。」

 

「二つ目、キミが努力をやめたら、まわりはキミを助けない。キミが努力するなら、まわりはキミを助けるだろう。」

「どういうことですか?」

「要するに、みんな怠け者を見るよりも、頑張っている人を見るのが好きだってことだよ。」

「結果が出なくても?」

「結果が出なくてもだ。「頑張ったけど結果が出なかった」っていう物語は死ぬほどある。才能があっても、頑張らなくちゃならないライバルの存在が、物語を面白くするんだよ。」

「うん。わかる。」

「お父さん、お母さんはキミががんばっていなくても、愛情で助けてくれるかもしれない。でも、他人は違うんだ。」

「そりゃそうだよね、僕だって頑張っている人のほうを応援してくなるよ」

 

「三つ目、「逃げグセ」は、一度つくと治りにくい。」

「逃げグセ……」

「キミは、努力以前に勉強から逃げている。そうじゃないかい?」

「そんなことは…ないと思う…」

「本当?それならいうことはないけど。勉強くらいで逃げてたら、なりたい職業はおろか、何もできないで終わってしまうよ。

大人になればもっと大変なことがたくさんある。勉強くらいで逃げたら、なんでも一生逃げ続けることになる。そんな情けない人生をおくりたいのかい?

もちろん、逃げて構わない時もある。逃げたほうがいいこともある。でも、学校の勉強程度で逃げるなら、もうどうしようもない。」

 

中学生の子は、疑問を持ちつつも、なんとなく当を得たようだった。

彼は言った。

「でも、勉強しても成績が上がらなかったら…?」

「約束しよう。逃げずに勉強しただけで、人生には大きなプラスだ。まあ、勉強ごときだ。成績は絶対に上がるけどね。」

「じゃあ、うまく勉強をするやり方を教えて下さい」

「いいとも、何の教科かな?」

 

 

「努力以前に、逃げている」という言葉が、妙に記憶に残った。

 

【お知らせ】
生成AIを活用したビジネス文書作成の最前線を学べるウェビナー開催!



トップコピーライター直伝!「使えるビジネス文書」を出力するプロンプト講座
・生産性を爆上げするプロンプティングの技術
・ビジネス文書の多様な活用例(コピーライティング・記事・提案書など)
・ビジネス文書AIライティングツール「AUTOMAGIC」の活用事例とデモ

<2025年4月4日実施予定>

トップコピーライターが教える!生成AIで「使える」ビジネス文書を作る技術

生成AIは単なる補助ツールではなく、適切な指示(プロンプティング)次第で生産性を大幅に向上させる強力なツールとなります。
本セミナーでは、コピーライターとして数々のヒットコピーを生み出した梅田悟司が、プロンプト作成の基礎と実践例を解説します。

【内容】
1. 生産性を爆上げするプロンプティングの技術
2. ビジネス文書の多様な活用例(コピーライティング・記事制作・提案書・メールなど)
3. ビジネス文書AIライティングツール「AUTOMAGIC」の活用事例と操作デモンストレーション
4. まとめ & Q&A

【登壇者】
梅田悟司
コピーライター / ワークワンダース株式会社 取締役CPO(Chief Prompt Officer)
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授
代表作:ジョージア「世界は誰かの仕事でできている。」、タウンワーク「バイトするなら、タウンワーク。」ほか
著書『「言葉にできる」は武器になる。』(シリーズ累計35万部)


日時:
2025/4/4(金) 14:00-15:00

参加費:無料  
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細 こちらウェビナーお申込みページをご覧ください

(2025/3/18更新)

 

・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします))

・筆者Twitterアカウントhttps://twitter.com/Books_Apps

・大学・研究の楽しさを伝える、【大学探訪記】をはじめました。

【大学探訪記 Vol.23】恐竜「トリケラトプス」の本当の姿を追求する先生がいた。

【大学探訪記 Vol.22】コスプレの研究をする大学の先生がいた。

【大学探訪記 Vol.21】人間は、なぜ1種しか地球上に存在しないのか?という疑問に迫る。

・仕事の楽しさを伝える、【仕事のチカラ】をはじめました。

【仕事のチカラ Vol.7】月間170万PVのオウンドメディアを1年で作り上げた人はどんな人?

【仕事のチカラ Vol.6】27歳にして3社を渡り歩き、起業した人の話。

【仕事のチカラ Vol.5】データサイエンティストって、どんな人?どうやったらなれるの? という疑問に答えてもらいました。

・ブログが本になりました。

「仕事ができるやつ」になる最短の道

「仕事ができるやつ」になる最短の道

  • 安達 裕哉
  • 日本実業出版社
  • 価格¥1,455(2025/03/28 12:22時点)
  • 発売日2015/07/30
  • 商品ランキング77,694位

 

(Photo:Joao Santos)