東京大学の先生にお会いする用事があったので、つくばエクスプレスに乗って、柏の葉キャンパスに訪問した。このキャンパスは平成12年に建設されたもので、本郷、駒場に続く第三のキャンパスだという。

塀がなく、非常に開放的なキャンパスだ。

そしてこれは本郷のキャンパスと随分様子が異なる。本郷のキャンパスはまわりに高い塀を巡らせ、中に入る敷居は高い。

 

そこでふと「キャンパスの形は、それが建設された時代の思想を反映しているのだろうか」と思った。

 

その一端が表されているのが、現在東大で行われているフォトコンテストの学内ポスターだ。

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(画像出典:http://www.u-tokyo.ac.jp/res02/contest.html)

フォトコンテストの内容が気になったのではない。気になったのはフォトコンテストのキャッチフレーズだ。「卓越性」、「流動性」、「多様性」を表す写真を募集中、とある。

 

この3つにとって、高い塀は障害になる。「卓越性」は比較して初めて目に見える。狭い世界に閉じこもっていては卓越性があるのかどうか判断ができない。

また、「流動性」や「多様性」も塀は不要だ。外部とのインターフェイスを多くしなければ流動性も多様性も生まれない。

 

本郷キャンパスが建設されたのは戦前である。当時の大学は「エリート養成所」としての機能が中心であり、一般民と彼らを隔てる壁をつくることが大学の権威につながったのではないかと推測する。

 

 

だが「エリート養成所」は現代には不要である。

人間の知識と技能が生み出すイノベーションが競争力の源泉となった時代においては、できるだけ多くの人間に高等教育を受けさせることが合理的な行動だ。逆にイノベーションを「一部の天才」に頼ることは合理的ではない。

イノベーションとは確率であり、多様性の中から生まれるからだ。

 

かつて産業革命の時代、ニューイングランド地方の紡績工場の経営者は、全国的な義務教育を提唱することで、できるだけ多くの労働者に教育を受けさせた。

その結果、経営者たちのみならず、労働者たちも非常に大きなリターンを得ることができたのである。※1

 

 

したがって「一部の天才を強化しよう」とするよりも「どのようにしたら、できるだけ多くの人が高度な教育を受けられるか」と考えなければならない。

教育をエリート階層や金持ちの特権にしてしまっては、国が立ち行かないことは明らかである。「閉鎖的であること」が致命的な時代となったのだ。

 

 

これは企業にも言える。これからは「卓越性」「流動性」「多様性」の高い組織を持つ企業のみが成功できる。

「中途」と「新卒」を区別したり、「契約社員」と「正社員」を区別したりする合理的な理由は今や殆ど無い。それは誰かの既得権を守るためだけの制度であり、イノベーションとは対立するものだ。

 

 

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※1レスター・C・サロー 「資本主義の未来」(阪急コミュニケーションズ)