最近お会いした若手の会社員の方から「給料を上げるにはどうしたら良いですか?」という質問を頂いた。「今いる会社で、給与の増加を期待できないから」という理由だった。
同様の悩みを抱える方も数多くいらっしゃるのだろうと察する。
一般的には「頑張って出世しなさい」か「もっと給与の良い会社に転職しなさい」というアドバイスが与えられるだろう。だが実際にはそれだけでは不十分である。
実は、やらなければならないのは「マーケティング」だ。
「マーケティング」というと、ものを売るための技術と捉えている人も多いだろう。給与を上げることと何の関係があるのか、と思うかもしれない。
だが、広義ではマーケティングとは自分を必要としてくれている市場、会社に自分を移動させる最適化のことと言っても良い。要するに「あれこれ努力する前に、儲かる場所に行きなさい」という、至極当たり前の話だ。
終身雇用が大勢を占めていた時代、個人は社内だけを見てマーケティングすればよかった。「自分を高く買ってくれる上司や部署」にアプローチすればよかったのだ。
だが今後は「人材市場全体を見る人間」が、高い給与を得ることができる。どんなにスキルがあり、高い知能を持っていてもマーケティングができない人物は高い報酬を得ることはできない。
では、どのように「マーケティング」するのか。
まずは、儲かっている業界を探すこと。業界全体が成長している場所では、給料も上がりやすい。逆に業界が衰退している場合は、力がある人しか給料があがらない。必然である。業界全体の売上高や利益率は本でも買って調べること。
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マイナーな会社に就職しても、業界が良ければそれだけ給与が上る可能性が高い。逆に有名な会社であっても業界を間違えると悲惨だ。
例えば原価が高くつく商売は儲からない。正確に言えば、オーナーしか儲からない。外食産業など原価が高く、かつ在庫が劣化しやすい産業に従業員として在籍していると、給料は上がりにくいと覚悟すること。
また、労働集約的ではない業界を選ぶことも重要だ。運輸、介護、建設、受託開発ITなど、労働集約的な仕事は、人を増やさないと売上が伸びないため、給与が上がりにくい。人を増やさなくても売上を伸ばせる業界に在籍すること。
また寡占状態の業界に在籍するのも、給料という観点からは合理的だ。いくら業界全体が成長しているからといって、新規参入が激しい業界にいては企業が疲弊する。
できるだけ寡占状態の業界に在籍すること。製薬業界などは在籍するのに良い業界であり、しかも世界規模では毎年10%程度の成長を遂げている。(出典:厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/shinkou/dl/vision_2013b.pdf)
つぎに、業界の中で儲かっている会社を知ること。給与がどこから出ているかを考えれば、必然的にもっとも重要なのは「儲かっている会社にいるか」である。
儲かっていない会社の定義は様々だが、少なくとも経常利益率が10%以上、欲を言えば30%以上の会社に在籍したい。(日本の会社の平均は1%〜5%程度 出典:財務省https://www.mof.go.jp/pri/research/special_report/f01_2015_12.pdf)
儲かっている会社に人が移動することは、世の中全体の労働力の最適化という面からも望ましい。
そのために、出来るだけストックビジネスを行っている会社を探すこと。ストックビジネス、すなわち「定期的に収入がある会員ビジネス」は、強靭である。例えば携帯電話キャリアであり、保険会社である。彼らは景気の変動に非常に強い。
よく見ると、大小様々な会員ビジネスが数多く世の中には存在しているので、マイナーな会社でも良い会社はたくさんある。
もし、あなたが「給与が上がらない」と悩んでいるであれば、それはあなたのスキルが低いのではなく、あなたが頑張っていないのでもない。単純に言えば「儲からない会社と業界」にいる可能性が最も高い。
同じくらいのスキルや能力であっても、業界が違えば給与が倍程度違う、ということは普通だ。
要するに「個人の力」は給与に与える影響は小さいのだ。いくら頑張っても、自分が在籍している業界がダメであれば、給与は増えない。
マーケティングの常識「顧客がいない所でいくらがんばって商売をしても売上が伸びない」ということである。つまり給料をふやすには、「業界の目利き」「会社の目利き」が重要なのだ。
それを知って初めて「良い業界で働くためスキル」が必要になってくる。
だから「スキルを身につける」というのは漫然とやるのではなく、「儲かっている業界が欲しがるスキル」を持たなければダメなのである。英語を学んでも、給与が上がらないのは、そのためだ。
だから、最も簡単に給与を上げる方法は知り合いに頼んで「儲かっている業界」の転職先を紹介してもらうことだ。
そして、一通り仕事してそこでスキルと経験を身につける。スキルが身につけば、後は儲かっている業界で給与の比較的良い会社を渡り歩くだけだ。
1つ最後に注意点がある。
そこには「やりたい仕事」という価値観はみじんもない。「やりたい」という価値観は、「これを売りたい」という経営者と同じでマーケティングの発想が抜け落ちている。
「やりたい」ではなく「やると儲かる」を志向しなければ、給与は安いままだ。
私の中高生の時の同級生で金融機関に就職した人間がいる。新卒時代に、なぜ金融機関に?と彼に聞いたら、彼は一言
「給料が良いから」
と答えた。彼はマーケティングを理解していた。
だが「好きなことをしたいんです」という人を止めるつもりはない。何を取るか、それはその人の考え方次第である。
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(2025/4/2更新)
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