かつてピーター・ドラッカーは「生産性の向上が労働者を豊かにした」と述べ、生産性の向上が経済活動に極めて重要な役割を担っていることを指摘した。
実際、生産性の向上は、貧富の差を縮小し、生活水準を向上させ、自由時間の増大をもたらした。さらには医療と教育を労働者にもたらしたのである。*1
彼は著作の中でこのように述べた。*2
一定の業績を得るために投入した努力が少ないほど、良い仕事をしたことになる。市場が求める自動車や鉄鋼を生産するために、10万人が必要だということは、実のところ、エンジニアリング上の未熟を示すにすぎない
つまり「できるだけ小さな労力で、大きな成果を得る」ことはあらゆる意味で正解である。
*1
*2
では、生産性の向上をもたらすものは具体的には何か。「さらに小さな労力で、大きな成果を得る」ために必要なことは何だろうか。
それは、がんばり、集中力やモチベーションと言った曖昧なものではなく単に「コンセプト」によって得られるものである。
歴史的にも、産業革命以後の大きな生産性の向上は、「蒸気機関」「科学的管理手法」「教育訓練」などのコンセプトによるものであることがわかっている。
したがって知識労働者たる我々は「自分の仕事にどのようなコンセプトを持ち込めば、生産性が飛躍的に向上するのか?」を常に検討し、見極めなくてはならない。
具体的には以下のものだ。
1.ソフトウェアの利用
ソフトウェアとは、繰り返し発生する一連の手続きを自動化するために非常に有用である。ソフトウェア化することによるメリットは以下のとおりだ。
・処理能力に優れた計算機資源を利用することができる
・大量のデータを取り扱うことができる
日常でなにか繰り返し発生する手続きがあれば、まずは「ソフトウェアで取り扱うことができるだろうか?」と発想することが求められる。
2.マニュアル・教育訓練の利用
マニュアルとは、ソフトウェアの一種とみなすこともできるが、主に人間の暗黙知を形式知に置き換えたものである。暗黙知を形式知にすることで得られるメリットはいくつかある。例えば
・よりコストの安い労働力に仕事を任せることができ、能力に合わせた分業が可能になる
・形式知にすることで、皆で改善事項を挙げ、より効率の高いやり方を選択できる可能性が上がる
・技能の伝承スピードが上がる
マニュアル化されていないものはマニュアル化し、マニュアル化されたものはソフトウェア化を図る。それが生産性向上の初歩である。
3.職業・スキルにおける選択と集中
知識労働においては、肉体労働と異なり時間を投じれば成果が上がるとは限らない。むしろ、投じた労力がすべて徒労となることも非常に多い。
よって生産性向上のためには「何に時間を投じるか」を意思決定することが決定的に重要となり、それを行った知識労働者だけが成功できる。
必然的に「自らの時間資源の投資先の選択と集中」を行わなければ成果が出ない、という結論に達するだろう。
だから、すべての知識労働者は「自分がなにを職業として選び、何のスキルに集中するのか」を考えなければならない。すでに、会社の指示に従っていれば将来が保証される時代は終わっている。
4.長く働くのではなく、良いアイデアによって働く
より多く働いたとしても、より多くの成果が得られるわけではない。すでに現代は、長時間働くことは美徳でもなんでもなくなっている。
では、より多くの成果を生み出すものはなんだろうか。それは「より良いアイデア」である。
・こんなアイデアで改善できる
・こんなアイデアでラクができる
・こんなアイデアでロスが減る
そういった「より良いアイデアによって仕事をする」という習慣付けが、あなたの生産性を飛躍的に向上させる。
アイデアのない所には、徒労があるのみである。
5.ネットワークの活用
かつて、これほど多くの人間が即座にコミュニケーションをとれるようになった時代はなかった。現代はwebという超ネットワークを誰もが利用できる。
そんな世界ではすべてのアイデアを自ら生み出す必要はない。アイデアを持ち寄って、皆がネットワークに接続されている人を頼ればよい。ネットワークに接続されているノウハウを参照すれば良い。
「アイデアは、既存の要素の新しい組み合わせ」という言葉の通りである。
したがって、知識労働者は自分のアクセスできるネットワークを常に広げる努力をし続けるほど、新しいアイデアを入手できる可能性が高く、したがって生産性が向上するということである。
「頭の良さ」だけで勝負できる時代ではない。「頭の良さ」+「その人物が持つネットワークの広がり」が知識の源泉となる。
6.学びの場=職場、仕事=学習と考える
かつて「学習」とは学校で行うもの、師から学ぶものであった。現代は異なる。なぜならば、「学校」と「師」が持つ情報の陳腐化が早いからである。
知識労働においては5年という短い期間ですら、ほとんどの知識が陳腐化する。したがって「学んでから仕事に使う」「師から教えてもらってから仕事に適用する」では遅い。
現代の学習は学校ではなく職場で、師からではなく仕事から学ぶものとなった。そうすれば「学習するだけ」という生産性の低い期間を最小限にすることができる。
7.金だけではなく「知識」を得られる仕事をする
金だけが貰える仕事は、そこから得られるリターンはごく小さいものにすぎない。多少カネを犠牲にしてでも、「知識」を得られる仕事につくことが重要だ。
なぜなら、ある場所で得た知識は、別の仕事に適用されることで、生産性が飛躍的に向上するからだ。
例えば商社で得た知識を製造業に適用すれば、新しい調達の流れを作ることができるかもしれない。あるいは、ソフトウェアの知識を持って小売業界に望めば、在庫を最適水準に保つことができるかもしれない。
我々は常に「さらに小さな労力で、大きな成果を得る」ことを考えなければならない。
経済活動とは、本来そのようなものだ。
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奥田 真輔 氏
システム開発やITコンサルティングを経て、
外資系製薬企業で15年以上のITビジネスパートナーとして人事からコマーシャル、
メディカルなど製薬企業の様々な分野のプロジェクトに携わる。
現在はネクセラファーマ株式会社で、システムだけではなく、企業風土改革や業務改善をリードし、
日本発グローバルバイオ製薬企業にむけて、同社の成長基盤の構築に尽力している。
岡田 雄太(ワークワンダース株式会社 CTO)
野村総合研究所に新卒入社後、証券総合バックオフィスシステムやオンライントレードシステムなどの開発に従事。
その後、8 Securities(現SoFi Hong Kong)へ出向し、日本人唯一のエンジニアとして国際的なプロジェクトに携わる。
BOOSTRYでは信託銀行向けSaaSの立ち上げと成長を牽引。
WiseVineではCTOとして開発組織を30名規模に拡大し、プロダクト開発を推進。
2025年4月よりワークワンダース株式会社CTOに就任。AI活用を中心とした開発支援をリードする。
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