最近では「長時間労働は悪」と言う人が多く、「メチャメチャ働きたい」という人が発言しづらい雰囲気にある。
これが同調圧力、というやつなのだろうか。
しかし「長時間だろうがなんだろうがメチャメチャ働きたい」という人もいることは事実であり、否定できない。
例えば私の知人の一人は
「理想をいうと、めちゃ仕事したい。1日14時間くらいは当たり前。」と言って憚らない。
だが、ふつうの長時間労働ではない。
「へえ、じゃ毎日残業しているの?」と聞くと、
「残業なんてするわけないじゃない。」
と言う。
話の辻褄があわないようなので、話を聴く。
「要するに、時間の分散投資だよ」
と彼はいう。
「1日8時間は、今勤めている会社のために使う。でもその後の時間は自分の時間だから、会社のためには使わず自分のために使う。裁量があって、上司の評価を気にせず、好きなことをするために。将来の可能性を感じることをする。」
「なるほど、就業時間後に、別のことをすると。」
「そう。投資の格言に、卵は一つのカゴに盛るな、というのがあるけど、仕事も同じ。自分の時間を一つの会社のために使うな、だよ。一社にコミットするなんて危険すぎるよ。第一、退屈じゃない。」
「そうなんだ。」
「そうだよ、もし新しい上司と合わなくなったらどうする?社長が変わって、方針が変更されたら?会社が傾いたら?だれも助けてくれないよ?」
「まあ、そうかもしれない。」
「絶対にそうだって。集中投資に値するのは、会社やキャリアににすごい伸びしろがある時だけだよ。例えば役員になってストックオプションで数億手に入るとか。それなら残業嫌だとか言ってられないし。」
なるほど、たしかに合理的だ。
「で、定時後は何やってるの?」
「他の会社の仕事をしたり、英語の勉強したり、クラウドソーシングで仕事をうけてみたり、ブログ書いたり、資格取ったり。」
「残業しないと、出世できないんじゃない?」
「そうかもね。でも、もともと大企業では管理職になれる可能性も低いし。それで20年出世競争なんて、それこそ時間の無駄だろ。だいたい管理職になってもせいぜい年収1000万とか、1500万とかそんなもんでしょ。それって、会社に飼われる価値ある金額じゃないよ。」
「ふーん。」
「副業で月30万稼いだら、管理職手当なんてあっという間に超えるから。人脈もできるし、上司が無茶言っても「やれません」ってきっぱり言える。」
「なるほど」
「主導権は会社じゃなくて自分。出世を人質に取られることもないし、給料をガツガツ上げに行く必要まったくないし。逆にコツさえ掴めば、副業で月数十万稼ぐのは、結構簡単なんだよ。」
「辞めろ、とか言われない?」
「言われないよ。だって8時間はきちっと仕事してるし。いい会社あったら、ちょっと働いて見てよかったら転職すればいい。残業するなんて、リスクでしかないよ。さっきも言ったけど、組織の中でけちくさい出世を狙うなんて、アホくさくて仕方ない。」
「そうなんだ。」
そう言えば、中学高校の時の同級生の彼が、こんな記事を書いていた。
昔出世していた人と、最近出世する人の違いは何か?(YLOG走り書き)
とまあ、そんな話をしていて、最後にまた話題になったのが、社内外を還流するというキャリアの流れ。
(中略)代表的なのは、Googleでのキャリアパス。
まず最初にGoogleに入社した人は、その会社で働くことで、Googleの基本的な文化や考え方に馴染むようになる。
そして、Googleという会社が大好きな状態の中で、「今のGoogleではできないけれど、面白い、新しいテーマ」といったものを発見すると、独立・起業する。
このとき、Google側はそのメンバーを卒業生として丁重に接し、新しく設立された会社に対し、自社・自社VCを使って一部出資などを行ったり、Googleのリソースを使った事業展開の支援などを行う。
そして、その事業が形になり、実績が出ると、その会社ごとGoogle本体にM&Aをする。元々、Googleのことが好きであり、なおかつその社内での考え方などがよく分かっている経営者なので、Google社内に戻ると、その考え方、社外での新しいアプローチなどを、とても効率的にGoogle内部に浸透させていく。
(文中の図は略)
これを見ると、これからの「出世できる人」は、会社の本流で長年やってきた人ではなく、彼のような「異質な」人間だ。
確かに「生え抜き」が優遇される根拠は薄弱だ。
それはそれで面白い。
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「この話、ブログに書いていい?」と聞くと、
彼は「いいけど、名前とか仕事の内容は出すなよ。個人がバレるのは絶対NG」と言った。
「なんで?」と聞くと、
「ウチの会社、表向きは副業禁止なんだよ。まあ、オレが副業やってるのは周りの人は知ってるけどね。まあ、バレたところで8時間きちっと仕事してれば会社はクビにできないんだけど。」
と言った。
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