こんにちは。「コンサルポータル」主宰、AscentBusinessConsulting代表の北村です。
暑い日が続きますね。
さて、つい先日、WeWorkの日本上陸に伴うパーティがありましたので行ってきました。日本ではソフトバンクと合弁会社を作って事業展開をすると報じられています。
知らない方のために補足しておくと、WeWorkとは、米国コワーキングスペース運営の大手です。
2兆円のコワーキングスペースWeWork。その価値は彼らが「テック」企業であることにある
2010年、アダム・ニューマンとミゲル・マケルヴィは、彼らが08年に立ち上げたWeWorkの前身となる企業・Green Deskの持ち株を売却し、この新事業に乗り出した。
マイクロソフトなどの大企業がパートナーシップを組み、「シェアオフィス会社」としては不可思議に思えるほどの期待を寄せられている米WeWork。
(Wired)
この協業はいよいよソフトバンクが不動産業に乗り出すということなのかもしれませんが、ソフトバンクがWeWorkと組みたいと思った理由の本質はそこではない 、と私は推測しています。
1.有能で将来性のある人々を囲い込める
スタートアップが米国のシリコンバレーに集まっているのは周知の事実です。ですが、「シリコンバレー」という土地そのものに惹かれて皆が集まっているわけではありません。
シリコンバレーにスタートアップが集まるのは、そこに「有能な人々」が集まってきているからです。
実際、今後のソフトバンクは新しいイノベーションの種を見つけなければ拡大できません。そしてイノベーションの種を持っているのは「有能な人」です。
ソフトバンクは彼ら囲い込めることに価値を感じたのだと思います。
2.「知識のネットワーク」が手に入る
有能な人の周りには、有能な人が集まります。
したがって、WeWorkを利用している有能な人々の外側にも、膨大な数の「知識を持つ人々」が存在しているはずです。
ソフトバンクはそれらの人々にもアクセスできるネットワークを手に入れることになります。
もちろん、この動きはWeWorkだけではありません。
米国でも、日本でもフリーランサーや起業家を対象としたサービスが増加傾向にあります。
もちろん弊社もWeWorkと同様に、コワーキングスペースのBasispointで場所を提供し、およびコンサルポータルでネットワークと案件を提供しています。
ではなぜ、フリーランスが増加傾向にあるのでしょう。これについては経済産業省が米国における状況を紹介しています。
1)インターネットによってフリーランスの価値が明確になった
オンラインサービスが仕事と人を素早く結びつけられるようになった。これによりビジネスのスピードが速くなる中で、企業にとってコストと時間をかけて、従来の様に従業員を採用するよりも、プロジェクト単位で、仕事する人を募ることの方がメリットがある。
2)技術の進歩により、どこででも仕事が出来るようになった
携帯電話、スマートフォンを持つ人が増え、コードを書く、デザインする、取引をするなど、場所を選ばず仕事が出来るようになった。
3)フリーランサーがフリーランサーを生み出すようになった
フリーランスという働き方で成功する人が生まれ、一人でスタートした人が新たな仕事を産みだし、新たなフリーランサーへの仕事を作る好循環が生じ始めた。
4)人々は自分の生活を、自分でコントロールしたい
今まで以上に複雑化、流動化する時代の中で、一つの会社に固執したキャリアよりも、今までの経験には無いキャリアチェンジをする必要が生じてきた。必要に応じて、自分のキャリアアップを図らなければならない。その様な時代においては、上司にコントロールされるよりも、フリーランスとして働くほうが、自分自身で時間をコントロールでき、何かのときに融通が利く。
5)大きな組織に所属しなくても、自分のブランディングが出来るようになった
ビジネスチャンスを拡大するための機会は大きな組織の属さなくても、オンラインマーケットを使えば簡単に出来るようになった。
(経済産業省:http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/employment/pdf/001_03_00.pdf)
とまあ、いろいろな理由が述べられていますが、私は結局のところ
「大企業でくすぶっている、腕に自信のある人にとって、フリーランスや起業はとても「コスパ」が良い。」から、フリーランスが増えているのだ、と強く感じます。
この「コスパが良い」とはもちろん、少ないリスクと労力でより多い報酬が得られる、という意味です。
一方で、「フリーランスは不安定で大変そう」という声もあります。
でも、本当にそうでしょうか?
イメージだけで語ってはいないでしょうか。
例えば、私は「トライアスロン」をプライベートでやっています。
トライアスロンは、水泳を1.5キロメートル、自転車を40キロメートル、マラソンを10キロメートル、順番に行う耐久競技です。合計の距離は51.5キロメートル。
そのようにお客様に申し上げると、「スゴい」という反応をいただくことがほとんどです。
でもトライアスロンをやっている方ならわかると思いますが、実は「フルマラソン」のほうが遥かにキツい種目です。
体感値では、2倍以上はシンドいと言っても良いです。
マラソンに比べてトライアスロンの40キロは自転車ですし、変化もあって飽きが来ないからです。
でも「イメージ」はそうではない。
同じように、フリーランスや起業は、イメージとしてはつらそうに見えますが、実はそうでもないのです。
逆に、「独立します」と言えば、それなりの扱いをしてくれる方がほとんどですし、仕事をください、と言えば、多くの企業は仕事を出してくれる。
適切な仲間と、きちんと仕事をしていれば、収入がゼロになることはまず、ありません。
ですから、有能な人であればあるほど、独立のコスパはよく、企業では月収が50万ほどだった人でも、独立して月収100万円を超えることはよくあります。
実際、私がIBMに在籍していた時のかなり多くの同僚が、フリーランスとなったりや起業したりして、成功しています。
したがって、私が今思う、理想のキャリアは次のとおりです。
まずは、新卒できちんとした商売をしている会社に入ります。
新卒でいきなり独立するのはおすすめできません。なぜなら、「社会の構造」や「体系的な仕事のやり方」を学ぶ機会を逸してしまうからです。
5年から10年、企業で仕事をひたすら学びます。また、今在籍している会社できちんと成果をあげて、教育を施してもらった恩返しをしてください。
受けた恩はきちんと返すことが、独立した後も非常に重要です。
そして、30代の何処かで独立する。
後は好きなことをしたら良いでしょう。稼ぐも良し、興味をどんどん深掘りするも良し、です。
複数の会社に在籍しても、自分で会社を作るのも良いでしょう。
「運命を切り開いている」という実感は、あなたの自信を深め、人生を輝かしいものにしてくれるはずです。
大企業に努めている人は、ストレスが多い、という調査結果もあります。
ストレスの要因について企業規模別にみると、「職場の人間関係」「社風や職場の雰囲気になじめないこと」「自分が希望する仕事ができないこと」「仕事の適正」「仕事の裁量権」「仕事量が多いこと」「異動や昇進」のいずれも、小規模企業の割合が最も低く、小規模企業の社員は大企業の社員に比べてストレス要因が少ないことがわかった
企業の中の出世競争を頑張り、割当の仕事を黙々とつづけるのも一つの道です。
ですが、フリーランスや起業で自らの力を試すのもまた、悪い選択肢ではないと思いますが、いかがでしょうか。
(Photo:Markus Spiske)