こんにちは、しんざきです。

今日書きたいことは、大体以下のようなことです。

 

・昔、「お前は部下を叱れない」と上司から何度も怒られました

・確かに「叱責」とか「注意」はとても苦手で、今でもあまりできません

・ただ、いつの間にか「ちゃんと叱れ」と言われることはなくなり、部下のケアや心理的安全性、他部署との調整が求められ、評価されるようになりました

・これは、「時代が変わって厳しい上司から優しい上司が求められるようになった」なんて単純な話ではなく、「単に部下を管理できるだけではなく、組織を機能させることが要求されるようになった」ということだと思います

・上司やマネージャーの仕事は、どんどん変化・増殖し続けているようで、適応するのも大変です

・これは単なる予想ですが、生成AIの台頭もあり、今後は「適切な評価をし、適切にフィードバックできる」能力が最重要視されていくようになっていくんじゃないかなーと思っています

・マネージャーの皆様、大変ですが頑張りましょう。私も頑張ります

 

よろしくお願いします。

さて、書きたいことは最初に全部書いてしまったので、後はざっくばらんにいきましょう。

 

「ちゃんと叱れ」と言われなくなってきた話

何度か書いていますが、しんざきはシステム開発の会社で働いているシステムエンジニアです。

元々はDB屋だったんですが、いつの間にかインフラ寄りの何でも屋になりまして、そのうち中間管理職になりました。

現在はそんなに大きくないチームでマネジメントの仕事をやりつつ、無茶な納期を提示してくる営業さんを威嚇したり、脆弱性パッチ当てを渋るメンテナンスチームと変顔にらめっこ大会をする仕事で主に生計を立てています。がんばって生きています。

 

で、中間管理職というのは、部下もいるけど上司もいる、という立場です。部下の人たちを管理し、評価しないといけないのと同時に、上司に評価され、叱られる立場にもあります。

昔所属していた会社で、「しんざきは叱るのが苦手過ぎる」「叱るべき時はちゃんと叱れ」と上司から怒られたことが何度かあります。

 

つまり、部下が何かミスをした時に、それが重大なミスなら、きちんと叱責しないといけない、と。

ある程度強い言葉で言わないと、相手は「何がダメだったのか」ということが分からない、と。

叱るべき時、きちんと叱ることは上司の仕事の一つだ、と。

 

それはそうかも知れないと思っていて、私、基本的に部下のミスに対して「整理」しか出来ないんですよね。

つまり、「今回のミスは多分これとこれが原因でしたね」「だから今後はこうするといいかも知れないですね」という程度で、まあミスによって発生した事態のフォローはしますが、部下に対してはそれ以上何も言わないんです。

 

とにかく「相手の責任を問う」って苦手なんですよ。大人なんだからそれくらい言わんでも分かるやろ、いちいち詰めるの面倒くせえ、となってしまう。

それが、当時の上司にとっては「ことなかれ主義」に見えたのだろうし、正直そう見られてもしょうがないな、と思う側面もあります。

 

で、その後1,2回転職をしたこともあるんですが、少なくともIT業界では、どの職場でも以前ほど「ちゃんと叱れ」とは言われなくなりました。

マネージャー研修でも、「叱り方」ということが議論されることはまずなくなり、「部下の心理的安全性」や「再発防止のためのコーチング」というような話が増えました。どちらかというと、私の以前からのやり方に寄ってきたような印象があります。

 

誤解を招かないように強調しておきたいんですが、「叱責」はそもそも不要だった、叱責なんてしない方がよかった、私のやり方が正しかった、という話では「ない」んです。

 

重要なのは「行動に対するフィードバックをどう受け入れ、改善してもらうべきか」ということであって、「叱責」も「整理と説明」も、そのための選択肢の一つに過ぎません。

選択肢は複数持っていた方がいいに決まっています。

 

もちろん、「叱責」を強め過ぎてしまうとパワハラに繋がってしまう可能性はあって、それが忌避されるようになった側面は会社によってはあるかも知れませんが、それは単なる程度問題であって、「叱責をしてはいけない」ということにはなりません。

 

多分、「叱責」が最適な場面も、叱責が最適な相手もいるだろうし、その「叱責」という選択を極めて苦手としているというのは、現時点でも私の弱点なのでしょう。

そして、私が「叱責」ができなかった為に改善に真剣に取り組むことが出来ず、結果的にもっと仕事が出来る筈だったのにその芽を摘んでしまった、というケースもおそらくあるのでしょう。それについては申し訳なく思っています。

 

とはいえ、

「行動に対するフィードバックの方法として、様々な他の手段が認知された」

「それ以外にも、上司のやるべきことが山ほどあることも一般的に認識された」

「そのため、「叱責が苦手」という弱点が昔ほどは目立たなくなった」

という要素はおそらくあるんだろうなーと。

 

そのひとつのエビデンスというか、象徴として、昔Googleがやっていた「Project Oxygen」があると思っています。

 

上司がやらないといけないことが時代と共に変化・多様化している

みなさん、「Project Oxygen」ってご存知でしょうか?

「マネージャーって本当に必要なのか?」

「優れたマネージャーは、どんな特性を持っているべきか?」

というようなことを、2008年くらいから整理していたプロジェクトのことなんですが。

 

確か、一回Googleが「マネージャー不要論」をぶち上げて、そのあと「やっぱりマネージャー必要だった」ということで実施された調査だったと思います。

 

この時Googleは、優れたマネージャーが持っているべき特性として、以下のような要素をあげていました。最初は8つでしたが、後から10に増えました。

・良いコーチであること
・マイクロマネジメントせずチームに権限を与えること
・誰もが尊重されるチーム環境を作ること
・生産性と成果に重点を置くこと
・効果的にコミュニケーションすること
・キャリア開発を支援し、業績についてしっかり話し合うこと
・明確なビジョンと戦略を実行すること
・重要な技術スキルを持つこと
・社内で連携・協力すること
・しっかりとした意思決定を行うこと

くらいなんですが、細かくはGoogle発表のこちらを読んでみてください

これ読んだ時、私正直「……多くね?」と思いました。

そりゃ重要な話ばっかりなんだろうけど、一人の人間ができることには限界があるし、私自身こんなの全部満たせって言われても無理だよな、と。いやー、「これ全部ちゃんとできてます」って自信をもって言える人、世の中に何人いるんでしょうね。

 

この「Project Oxygen」はひとつの象徴だと思うんですが、「マネージャーに求められる仕事って、昔よりずっと多様化してる」んですよ。

少なくともIT業界では、「部下と進捗をちゃんと管理しておけばいい」という仕事ではなくなりました。

 

いや、タスク管理やスケジュール管理は基本のキであって、それ自体は当然できないといけないんですが、それ以上に「組織を機能させる」ことが求められるようになってきた。

 

だから、「部下を叱るか叱らないか」なんてのは正直枝葉の話で、それより組織のバリューを高めることに時間を使え、という話になりつつある。

つまり、昔は「部下をうまく動かすこと」が優秀なマネージャーの条件だったのが、最近、少なくともこの10年くらいは「複数の部下が最大限動きやすい環境を整えること」が大事である、という認識に変わりつつある。

心理的安全性や失敗のケア、権限移譲なんかは、その過程で一般的な要素になってきたんだと思います。

 

まあ、人間にできることには限界があるので、私もこれらの要素を全て追い求めようなんて思ってもいませんし、できる範囲でできることをやります、というだけなんですが。

皆様にも、あんまりGoogleの言うことを真に受けず、できることをやっていくことをお勧めいたします。

 

じゃあ、今後「上司」「マネージャー」は何をしないといけなくなるのか

ともあれ、「時代と共にマネージャーに求められる役割が変わりつつある」「おそらく今後もマネージャーの役割は変わる」というのはおおかたの共通認識だろう、と思います。

 

これは単なる私の予想なんですが、これから先、「適切な評価をすること」「その評価を適切に言語化すること」が、マネージャーにとって重要な能力になっていくんじゃないかなあ、と思っています。

 

生成AIが一般に普及して、今後、仕事の場でも生成AIが大いに活用されていくだろう、ということは既に既定路線です。

恐らく、仕事の成果を出す際にも生成AIはある程度必須のものとなっていくでしょうし、生成AIを上手く使いこなすのは必須のテクニックとなっていくでしょう。

つまり、単純なタスク消化の速度や成果物の質で人を測ることはできなくなっていく。一方で、すべてをAI任せにできるわけでもなく、成果物に責任をもち、成果物の方向性を定める人間の役割は残る。

 

するとマネージャーにとって何が難しくなるかというと、「適切に評価をして、そのフィードバックに納得してモチベーションを高めてもらうこと」がめちゃくちゃ難しくなるんですよね。

 

評価って、単に「この人はどれくらい能力をもっているか」を測る行為じゃなくって、

「あなたは組織にとってどれくらい重要だよ」

「あなたの優れた部分はここで、苦手な部分はここだよ」

ということを伝えて、モチベーションにしてもらうためのツールでもあります。

 

人間が仕事をする以上、そういう評価をきちんと文脈を踏まえた上で納得してもらうという仕事は、まだ人間にしかできません。それを、「成果物の質、進捗具合」という分かりやすい指標とは別にやらないといけない。

 

それをできるのはマネージャーしかいない、というわけで、今後は「適切な評価をする能力」「その評価を言語化する能力」というのが無茶苦茶重要になっていくんじゃないかなあ、と私は考える、というわけなのです。

 

特に「評価の言語化」というのは、個人的には一番アツいテーマでして、「何が良いと思ったか」「それを他人に説明できるか」って普遍的な能力だと思うんですよね。

つまり、仕事ばかりではなく、日常生活とも、趣味の世界とも通底している。

 

私、「このコンテンツは何が良かったのか」ということを言語化するのがとても好きだし、それを仕事に応用できないか、応用していこうって試みはずーっと続けているんですよね。

その辺が今後広まっていくと楽しいなあと思いますし、皆様にも「何がよかったかの言語化」はガンガン試みていって欲しいなあ、と考えるばかりなのです。

 

取り急ぎは、最近超面白そうだと思ったSF小説、「マイボディ・オン・ザ・ムーン」を二冊セットで買ってきたので、徹夜で読んで感想を言語化していきたいと、そう決意していく次第なわけです。

 

今日書きたいことはそれくらいです。

 

 

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(2026/6/26更新)

 

 

 

【著者プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城

photo:Michael Pointner