539869668_dfdf758ff6_z先日お会いしたある上場企業の部長さんは「部下のやる気をあげる上司なんて、必要ない」といった。いつぞやの経営者と全く同じである。

(参考:「社員のモチベーションなど気にする必要は全くない。管理職研修など不要」と言った経営者の話。

書店に行けば、「部下の心に火をつけよ」や「チームのビジョンを示し、皆を率いるべし」と言った書籍はうんざりするほど存在しているにも関わらずだ。

 

「なぜですか?」とお聞きすると、部長さんはこちらに質問してきた。

「安達さん、やる気って、他の人に上げてもらうものだと思う?」

私は無難に答えた。

「どうでしょう。「皆をやる気にさせる人」というのは、確かに存在すると思いますが…」

部長さんは私の心を見透かしたように言った。

「つまんない答えだね。」

私はぎくりとした。

「結局、上に立つ人にやる気を左右させられる人物なんて、大したこと無い人なんだよ。」

私は反論した。

「しかし、人のやる気を削ぐダメな上司がいるのも確かです。」

「ああ、安達さんはブログにそう書いてたね。いや、そりゃダメ上司も多いよ。でもね、オレが見てきた中でほんとうにできる人たちは、上司がクズだろうと、できるやつだろうと、パフォーマンスは関係なく出していたね。」

 

 

本当にそうだろうか。

確かにそうかもしれない。私はいわゆる「出来る人たち」を思い出した。たしかに彼らは、上司にかかわらず、一定の成果をきっちり上げてくる。そして言い訳はしない。それは、先日の経営者が言っていた「プロ意識」に通じるものがある。

彼らはダメ上司がいつか自分の上から消えることを知っている。こういった時代はごまかしが効かず、本物しか生き残れない。

だから焦らず自分の成果に集中する。仮に「この会社は変わらない」と思った時には、さっさと見切りをつけて転職する。

 

 

「それはそうですが…」

「だろ、そうなんだよ。だから、上司がやる気を出させなきゃいけない奴らは、まあいいとこ「凡人」だな。」

はっきり言う方である。

「今、会社が勝っていくためには、「凡人」は本当に必要ないんだ。だから上司がやる気を高めてくれ、なんて言ってる奴らに耳を貸す必要はない。その代わり、やる気を自分で出せる奴はとことん優遇する。

だから肝心なのは採用だ。今は、会社も採用のやり方をすっかり改めて、テストと面接で「自分でやる気を出せる人」を精度高くより分けられるように変えている。もう、従順でおとなしい人は要らないんだよ。

お陰で、今期の業績はかなり良かった。社員のやる気を気にして社内なんか見てたら、会社の未来はないよ。ひたすら社外を見なきゃ、ダメなんだ。」

 

 

私は、部長さんと話をしていくうちに、ひとつの疑問が浮かんだ。

「ちょっとお聞きしていいですか?」

「何?」

「「自分でやる気を出せる人」には、だれでもなれると思いますか?」

部長さんははっきりと言った。

「当たり前だ。こんなもん、心がけ一つだ。人ってのは、みんなそれができる素質はあるんだよ。」

 

 

【お知らせ(PR)】

東京都産業労働局 からのご案内です。

東京都の公的サービス「デジナビ」が都内の中小・零細企業や個人事業主に対してIT導入補助金、デジタルツール導入助成金のご提案をお手伝いします


【都内中小企業向けデジタル技術導入促進ナビゲーター事業】
都内中小企業に対し1社につき1人専任の「ナビゲーター」がデジタル化のアドバイスを行い、経営課題の解決に向けた最大5回のサポートを無料でおこなうものです。


業種別デジタル化成功事例を公開中
<医療業>  クラウドストレージを導入し、業務に必要な情報を共有化
<運輸業>  デジタルとアナログの両輪体制による健康経営への道
<卸売業>  クラウドサービスの活用で全国の情報交換が円滑に
<建設業(建築)>  システム導入で本来の仕事に専念
<建設業(設備)>  ICTの活用で残業のない働き方を実現
<建設業(土木)> 設計から施工まで一気通貫でICTを導入
<製造業> デジタルサイネージで従業員との熱意をつなぐ
<不動産業> 効果的なICTを実現し、顧客視点の全員参加経営へ
<福祉業> 医療連携と最新のICTで利用者の健康を守る
<飲食業> POSレジとキャッシュレスツールで作業負担を軽減


詳細は東京都産業労働局サイト都内中小企業向けデジタル技術導入促進ナビゲーター事業をご覧ください。
お申込みフォーム→ 都内中小企業向けデジタル技術導入促進ナビゲーター事業 参加申込ページ

(2024/1/22更新)

 

・筆者Facebookアカウント https://www.facebook.com/yuya.adachi.58 (フォローしていただければ、最新の記事をタイムラインにお届けします)

・【大学探訪記】を始めました。

「研究が楽しい」「研究成果を知ってほしい」「スタートアップを立ち上げた」

という学部生、大学院生、研究者、スタートアップの方は、ぜひ blogあっとtinect.jp までご連絡下さい。卒論、修論も歓迎です。ご希望があれば、当ブログでも紹介したいと思います。

【大学探訪記 Vol.12】R社に就職が決まってしまう大学生とは

【大学探訪記 Vol.11】監視カメラの画像から、街における「人の挙動」を人工知能で明らかにする

【大学探訪記 Vol.10】池の水を少し汲めば、その池に住む生物がわかる。そんな魔法のような話、あるんでしょうか?

・ブログが本になりました。

 

(Photo:Michel Filion)