スタートアップの経営者の方々と話すと、現在はやはり「知識集約型」の企業が調子が良いようだ。

他社にはない「知識」が差別化の源泉であるため、商品が陳腐化しても問題ないからだろう。

 

社員が生み出す新しい知識が別の商品・サービスに適用され、会社は競争力を持つ。現在は商品の陳腐化のスピードが極めて早いが、先鋭化された知識は、簡単には陳腐化しない。

デザイン、メディア、ソフトウェア、製薬、広告など、「知識」を持つ会社は少ない人数で大きな利益をあげる。

 

彼らはあらゆる意味で、「人材」を最高の経営資源であると考えている。彼らをつなぎ留めておけなければ、会社はたやすく競争力を失ってしまうからだ。

 

当たり前だが、そのような会社では「どうやって人を安く使うか」は論外の考え方である。彼らは常に「最高の人はどこにいるか」を考え、彼を雇うことにカネを惜しまない。

事実、20代半ばであっても年俸1千万、2千万を平気でだす。

彼らは、そういった頭脳が普通の人の100倍以上の価値を持っていることを知っている。実際、Googleの上級副社長は「優秀なエンジニアは平均的なエンジニアの300倍の価値がある」※1としており、ビル・ゲイツは1万倍と述べている。

 

彼らは言う。「我々は、労働力を雇っているのではなく、知識と、それを使いこなす頭脳を雇っているのである」と。

従って、今後の企業経営は「どうやって人を安く使うか」から「どうやって高い人を集めるか」へ確実にシフトしていく。「高い人」でなければ、社員にする理由がないのだ。

 

あるソフトウェア企業のトップはこう言った。

「「知識を持つ」とは、「頭が良い」とは全くちがいます。知識を持つ人は、自分の持つ知識がどのように役立つのかを熟知し、他の知識を持つ人々との協業がとても上手です。

また、世の中のニーズを察知することにも長けており、知識を商品・サービスに落としこむ行動力もあります。そのような社員は、平凡な社員の10倍、100倍の価値があるのです。年収1千万円では安すぎる。」

 

またあるデザイン会社のトップは言った。

「いわゆる旧来の「できる人」は、会社の要求を忠実にこなし、時に「少々逸脱」する人々でした。

しかし、今ではそんな人は優秀であるとはいえない。今は「知識を牽引する人」が欲しい。新しいコンセプトを生み出し、それを実験し、発信し、マネタイズできる人物です。

そう言った人々は少ないですが、かといって希少、というわけでもない。他社がうまく使いこなせず、くすぶっている人もいます。そういった人をヘッドハントし、ウチで活躍できるようにしてあげることが、採用と、マネジメントの役割です。」

 

ある大企業の研究開発部門から、スタートアップに入った技術者は言った。

「もともと在籍していた会社では、私は歯車の一部で、新しい知識を試す機会は殆どありませんでした。せいぜい会社の商品を改良する、という程度です。報酬も人並みでした。

いまは違います。いまは知識を試す場が与えられ、そして大きな報酬をもらうことができる。そして何より面白いのは、「業務に関係なさそうなこと」にも、資源を与えてもらえることです。」

 

 

仕事の主戦場は、ブルーカラーから、ホワイトカラーへ。そしてホワイトカラーから、知識労働者へ移った。すでに「何が価値であるか」は、大きく変わり始めている。

「知識」と「高い人」を使いこなせない会社は、淘汰されていくのだろう。

 

 

 

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※1 ワーク・ルールズ!(東洋経済新報社)

(Photo:Edward Bilodeau