最近、子育てについての学術書を読み込んでいた。

アメリカではイノベーションと科学が国としての大きな成長産業となっており、どのようにしたら天才児を上手く生み出せるのかについての研究が非常に熱心に行われている。そのいくつかは僕達も翻訳で読むことができる。

それらを読み込んでいったところ、ほぼ全ての本で幼少時教育の重要事項としてあげられていた点が1つだけあった。今日はその事について書いていこうと思う。

 

自由の使い方

「明日から3日の間、自由にしていいよ」と人に言われたとして、あなたは何をするだろうか。好きなだけ寝る?映画を見に行く?漫画を読む?

 

たぶんほとんどの人がこういった消費的な娯楽を選択するんじゃないかと思う。「よーし明日から前からやりたかった研究テーマについて徹底的に取り組むぞ」なんていう人は非常に稀だろう。

改めて自らを省みて欲しいのだけど、僕を含めて多くの人は「本当にやりたくてやりたくて仕方がない事」なんてほとんど持っていないのではないだろうか。 

幼少時教育の大家は、優秀なサラリーマンと起業家や研究者の違いはここにあると指摘している。つまり余暇を消費的な行動で消耗するのではなく、生産的な活動が行える人こそが、極めて優れた成功者へとなれるのだという。

 

義務教育の本質とその代償

私たちの多くは10年以上もの間、学校に通わされる。

義務教育の目標は基礎学力を身につける事だと思っている人も多いだろうが、その本質は「規則正しい生活の習得、ならびに人から与えられた仕事ができるようになる事」にある。 

これは良きサラリーマンの非常に大切な資質である。定時に来れて、与えられた指示をキチンとこなすことができる人は、企業では非常に重宝される。大企業が高学歴を集中的に採用したくなる理由の多くが、結局のところ高学歴≒サラリーマン耐性が高いという事に集約されるだろう。

 

かつてはサラリーマンの需要の方が圧倒的に高かったので、このような詰め込み型の教育は非常に重宝された。ただ現在では、アメリカの成長産業がイノベーションと最先端科学にある事からわかるように、先進国ではこのような「人から言われたことだけができる指示待ち人間」の需要がどんどん下がってきている。

では「人から言われたことだけができる指示待ち人間」から脱却する為にはどうすればいいのだろうか?それが「好きな事を好きなだけ掘り下げる事」を幼少期に学ぶことだというのが最新の見解だ。

 

10代で原子炉を作った子供

”理系の子”という本がある。内容はアメリカにおける高校生科学オリンピック出場者1人1人に焦点を当てて、果たして何故その子が科学に熱中するようになったのかについてをみていくドキュメンタリーなのだけど、その中でもひときわ目立つ出場者の1人が第一章にでてくるテイラー・ウイルスンである。 

この少年、もともと頭脳明晰だという事もあるのだろうけど、ある出来事をきっかけに核融合炉への興味を強く持ち、そしてその強い興味に突き動かされる事で実際に核融合炉を作ってしまうのである。それも10代の若さで。

 

詳しいことは実際に本を読んで欲しいのだけど、この少年の勉強方法は非常に興味深いものがある。自分で抱いた原子炉への憧れを、周囲の適切な手助けを借りつつ実現させるその姿勢は、受験勉強で机に座らされて物理に取り組む学生と無限の開きがある。 

受験勉強で物理を頑張った学生は、受験が終わったら物理なんてやりもしないだろうけど、この本に出てくる核融合炉を作ったテイラー・ウイルスンは誰にいわれなくてもその後も物理学を突き詰めていくだろう。

 

もちろんというか、世の中はこんなに頭がいい子供だけじゃないので、全員が全員この方法で物理を学ぶべきだとは僕は思わないけど、このエピソードには非常に興味深い点がいくつもある。人は、自ら自発的に好きになったものを掘り下げていく事を学ぶことができると、誰から言われずとも生産的な活動を自分で行えるようになるのである。

大切なのは、学び方の姿勢なのだ。自発的に好きなことを好きなだけ徹底的に掘り下げていくその姿勢さえ習得できれば、分野なんて関係なくその後の人生はひときわ輝くものになるだろう。

 

結論

人には適性がある。サラリーマンが合ってる人もいれば、芸術家とか起業家のようなスタイルがあっている人もいる。

 

結局、大切なことはその人の適性にあった教育がキチンとなされる事だろう。だからあなたの子供がほんの少しでも、自分の好きを徹底的に追求するのが合っていそうな性格だったのならば、それを後押ししてあげて欲しいなと思う。きっと将来、それは物凄く価値のあるものになるだろうから。

そしてこれを読んでいる僕を含めたやりたい事がない大人の人々も、まだ諦めるのには早いだろう。カーネル・サンダースは65歳でケンタッキーフライドチキンを立ち上げた。人は、いつだって始めるのに遅すぎるという事はない。

自分の人生をちゃんと生きたいものですね。

 

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プロフィール

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高須賀

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