またひとつのツイートが炎上しているようだ。
さっきコンビニにて
私「アイブラ8ミリカートン」
大学生ぐらいの店員「????少々お待ちください(煙草キョロキョロ」
私「(イライラ)」
店員「番号で言ってもらってもいいですかね?」
私「見えねぇよ」
店員「….これですか(っ5mアイブラ)」
カートンですらねぇしブチギレそうだった
— 海野seri@パチンコで5万2200円溶かしメス化したマゾ赤ちゃん (@pinball_love) 2019年5月28日
このツイートに関して「番号を言うべき」という反応が多かったようで、こんなツイートが続く。
https://t.co/yXBgIgafwl
なんでこの話、私が悪いみたいになってるの。
いろんな奴に引用RTされて「おかしい」みたいなこと言われてるし
だって考えてみ?商品名言う
↓
店員が分からない
↓
「番号で言ってください」と言われる
↓
煙草に番号なんてねぇだろ。商品名ぐらい覚えとけってなるでしょ
— 海野seri@パチンコで5万2200円溶かしメス化したマゾ赤ちゃん (@pinball_love) 2019年5月28日
個人的には「番号言ったほうが早いし親切なんじゃ」とは思うが、それはおいといて。
「効率的に働くためには相手の協力が不可欠なんだな」と痛感したので、それに関して記事を書きたい。
効率的に買い物すればWin-Winなのに
「アイブラ」と言われて「アイスブラストだ」と認識し、それがどんな見た目でどこに陳列されているかわかるコンビニ店員であれば、番号で注文しようがツイート主のように注文しようが、作業効率は変わらない。
居酒屋で「生ビールをジョッキで一杯ください」と言わずとも、「生」で事足りるのと同じだ。
ただ、居酒屋の「生」とはちがい、タバコにはいろんな種類がある。
コンビニの店員全員がすべてのタバコの銘柄と略称、陳列場所を把握していると想定するのは無理があるし、未成年や外国人の店員からすればなおさらハードルが高い。
店員としても、番号で注文されたほうが早く見つけられるだろう。
だから、ちゃちゃっと買い物を済ませるために、番号で注文するほうが、互いに「効率的」なのだ。
もし、たとえば視力の問題で番号が見えないなら、正式名称を言って空き箱を見せるくらいの協力はあってしかるべきだと思う。
でもツイート主の様子を見る限り、そういう協力をするつもりはまったくなく、「店員ならタバコをすべて把握していて当然」という姿勢のようだ。
それはまぁ個人の自由なのでどうこういうつもりはないが
「いいサービスを求めるのに非効率な作業求める人っているよね〜」と苦笑いしてしまう。
他人の仕事を増やしておきながら「効率」を求める矛盾
わたしは学生時代、全国チェーンの大衆居酒屋で働いていた。
GWや三連休前の金曜日、年末などは目が回るような忙しさで、店はパニック状態になる。
そんなとき、何度も何度も料理を催促してくる人や、「酒が遅い。店長を呼べ」と騒ぐ人、「待たされたんだから割引しろ」とレジでごねる人を何度も見た。
いや、忙しいって、見ればわかるじゃないですか。あんたが呼び止めてるいまこの時間に、こっちはほかのお客様の料理を運べるんですよ。わかります?
だったらせめて、空いた皿をよけて置いといてくれるとか、飲み物をまとめて注文するとか、ちょっとは協力してくれませんかね?
と、ずっと思っていた(早く飲みたい、食べたい気持ちはわかるけども)。
いろんな要求をしてくる人にかぎって、2分おきにバラバラで飲み物を注文したり、テーブルを散らかして後片付けの手間を増やしたりするのである。
いいサービスを要求するくせに、自分自身が相手に非効率な作業を強いている矛盾にまったく気づかない。
協力的なお客様は、飲み物をつくるのに時間がかかることを見越して早めにまとめて注文したり、お皿を重ねてよけておいてくれたりする。
デキる幹事様だと、各テーブルごとに注文を聞き、紙に書いてそれをわたしてくれる(本当にありがたい)。
そういうお客様ばかりであれば、こっちは可能なかぎり効率的に働ける。
お客様が協力的でいてくだされば、仕事というのはずいぶん快適に、効率的にこなせるのだ。
でも上限なく「サービス」を求めることが許されてしまう現状、多くの人は、「自分が相手の仕事の能率を下げている」という自覚がない。
そして同じ口で、「効率的に働くべきだ」なんて言うわけである。
なんだそれ。
ムダな作業を増やす人が多ければ仕事ははかどらない
半年前に公開されたものだが、とても印象に残っている記事がある。
それが、『ごみ収集の現場から眺めた日本社会』だ。
大東文化大学法学部准教授である藤井誠一郎氏が、9ヶ月ものあいだごみ収集作業員として働いた経験をつづっている。
質の高いごみ処理によって、清潔度の高い生活が保証される。それなのに、協力しない人は多い。
自分勝手なごみ出しをされると、道路を清掃するために通行人や車両を待たせざるをえなかったり、清掃車が燃えて廃車になり税金が投入されたり、なんてことが起こるそうだ。
水分が切られていないごみや、ごみ袋がしっかり結ばれていないごみなどは、とくに迷惑らしい。
住民がこうしたいい加減なごみ出しをしても、清掃職員はそれを寛大に受け止め黙々と作業を行っている。
しかしその結果、余計な手間暇や人員、機材が必要となってくる。
結局そのツケは住民が負担することに気づくべきである。
この負担とはおもに税金の話だろうが、コンビニでも居酒屋でも、基本は同じだ。
協力的じゃない人が余計な手間を増やせば、仕事の能率が下がり、いいサービスを受けることができなくなる。
ポジティブに言い換えれば、「顧客や利用者、関係者が協力的になることで、仕事の効率化を実現できる」のだ。
効率的な働き方実現には協力者が不可欠
「効率的に働く」という話になると、だいたいが「労働者目線」で語られる。
ミーティングの時間短縮、ほうれんそうのシステム化、裁量権の明示……などなど。
でも仕事は基本的に顧客ありきだから、効率化を語るのであれば、協力的な顧客もまた必要不可欠だ。
「相手に余計な作業をさせないで済むようにしよう」と、仕事の効率化に手を貸してくれる人がいなければ、どうにもならない。
作業を減らすためにコンビニのタバコに番号をふっても、客が「アイブラ8ミリカートン」と注文すれば水の泡。
最新鋭のごみ焼却場をつくっても、だれも分別しなければ効果は限定的。
いくら社内の働き方を見直したところで、納期の無茶振りをしたり、支払いをごねたりする客ばかりであれば、効率化もなにもない。
労働者視点からの「効率化」だけでなく、顧客視点からの「効率化への協力」もまた、浸透していってほしいと思う。
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。

<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>
第6回 地方創生×事業再生
再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。
【今回のトーク概要】
- 0. オープニング(5分)
自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」 - 1. 事業再生の現場から(20分)
保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例 - 2. 地方創生と事業再生(10分)
再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む - 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説 - 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論 - 5. 経営企画の三原則(5分)
数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する - 6. まとめ(5分)
経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”
【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。
【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)
【著者プロフィール】
名前:雨宮紫苑
91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&
ハロプロとアニメが好きだけど、
著書:『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)
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ブログ:『雨宮の迷走ニュース』
Twitter:amamiya9901
(Photo:Chris Lott)