勤め人にとって、40歳前後は就職活動当時と同じくらい重要な時期だ。大きな理由は2つある。
- 出世が可能かどうか、決定される。
ある程度大きな組織に在籍する勤め人にとって、出世できるかどうかは大きな関心事の一つだが、この時期に出世コース、つまり課長になっていなければ組織のトップに行くのは不可能である。
一橋大学の守島教授によれば、大企業において課長以上になれる人は全体の6%〜7%程度、全体でも3割程度(http://president.jp/articles/-/10328)というから、トップどころか、ヒラ社員のまま定年を迎える人のほうがはるかに多い。
40歳まではある程度平等に与えられてきたチャンスが、40歳以降は平等ではなくなる。「出来る人」とみなされていなければ、チャンスは後進の者達に譲らなければならない。
- 仕事に飽きてくる
どんな仕事であっても、40歳まで続ければ飽きもくる。一つのことに何十年も打ち込める人は少数派だ。ピーター・ドラッカーは著書「明日を支配するもの」の中でこう述べる。
今日、中年の危機がよく話題になる。45歳にもなれば全盛期に達したことを知る。同じ種類のことを20年も続けていれば、仕事はお手のものである。学ぶべきことは残っていない。仕事に心躍ることは殆ど無い。
どんな仕事であっても、「学ぶべきこと」がたくさん残っていればそこから向上心も得られるし、上達を感じることができる。上達すれば、やりがいを感じることもあるだろう。
しかし学ぶべきことが殆ど残されていない状態ではその仕事を続ける動機を持つことは極めて難しい。
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出世もできない、仕事も飽きてきた。それが多くの40歳が抱える現実的な悩みである。
だが、家庭においては子供がおり、家のローンも残されている人も多い。「これからまだまだお金がかかる」のが、40歳という年齢だ。これで不安になるな、という方が無理な話であることはだれにでもわかるだろう。
したがって、40歳前後においては就職活動当時と同じく、人生について深く考えなければならない。具体的には以下の3つについて考える必要がある。
・仕事以外にうちこめるもの
諸々の事情から転職できない人もいるだろう。だが仕事から得られる充実感は確実に減っていく。
そんな時に人生に張り合いを与えてくれるのはボランティア活動、地域への貢献、NPOとしての活動など、職場以外における活動かもしれない。あるいは、子どもと向き合う、まとまった時間をとることができるようになるかもしれない。
仕事だけが人生ではないし、出世できたかどうかと人生が楽しかったかどうかは、別のものである。仕事がうまくいかなかったことを恥じる必要は全くない。
・副収入の道
内閣府の発表する「賃金カーブ」を見れば、順調に給与が上がり続けてきた20代、30代と異なり40歳を超えると、一部の人以外、給料は殆ど上がらないと考えてよい。(http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je14/h05_hz020303.html)
年功序列はすでに崩れ、出世できなければ賃金は40代〜50代をピークとして緩やかに下がっていく。だが、お金は変わらずかかる。稼がなければならないのはこれからだ。
従って、これからは誰しも「副収入の道」を探らなければならない。webの発達のお陰で、いまは誰でも少額で商売を始めることができる。「会社以外からお金が入ってくる」ことがいかに精神的に安定をもたらすか、社外で稼いだことのある人は知っているはずである。
・転職することによる仕事の仕切り直し
中小企業は常に人材不足であり、その流動性は高い。だから、あなたがやる気になりさえすれば、常にその門戸は開かれている。人によっては独立を考える人もいるだろうが、そんなことをしなくても十分仕事を楽しむ道は残されている。
新卒の時の気持ちで転職活動をしてみるのも悪くない。今度は面接で自分のPRをすることもさして苦労しないだろうし、面接で話すことはたくさんあるだろう。
今の会社で悶々として過ごすより、多少リスクをとっても張り合いのある毎日を送るほうがトータルで人生を見た時に「良かった」といえるはずだ。
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