「考え方を変えないと、成果がでないよ」と指導する方をそれなりの数見てきた。だが、これは本当なのだろうか。
自己啓発書の多くも「考え方が変われば、得たい成果、なりたい自分になれる」という。
例えば自己啓発書の大御所「7つの習慣」では、第一にやるべきこととして「主体性を発揮する」とある。
何の事はない、昔からよく言われることだ。
「他の人のせいにしない」
「自分で選択し、自分で責任を取る」
そういった考え方になれば人生が変わる、とこの本は主張する。
しかし、これを読んだだけで決意を新たにする人はどれほどいるだろうか。
恐らく、既にその考え方ができている人はますますそれが強化され、できていない人は、自分がその考え方をできていないことにすら気づかない。
実際、「私は人のせいにしている」と自分を振り返ることのできる人は数少ない。
「考え方」というのはそんなものだ。
私が「考え方を変えれば」という仮定に懐疑的な理由は、人間は「自分がなにを考えているのか」すら知ることが難しいからだ。
人間は本質的に経験によってしか学ぶことはできない。(経験して、ようやく理解できる。(Books&Apps))
上司に「考え方を変えろ」と言われて変える人はほとんどいない。
同僚に「お前の考え方はおかしい」と言われて、それを改めようという人もほとんどいない。
親が子に「考え方を改めろ」と言われてそれを改めるだろうか?私は寡聞にして知らない。
したがって、「考え方を改めろ」という上司があなたの身の回りにいたら、それは上司のマネジメントが拙いことの証だ。上司は部下の考え方など気にしてはいけない。
上司がやるべきは、とにかく部下に成果をあげさせることだけだ。成果を部下にあげさせれば、部下は上司の考え方に賛同するようになるだろう。
嘘だと思うなら、師匠と弟子が登場する物語を片端から思い返してみるといい。殆どの物語は、弟子は師匠の言っていることの意味を、「自分が成長して、成果を出してから」理解している。
もちろん、部下もまた、上司の考え方を理由にした言い訳をしてはいけない。上司の考え方がどうであれ、成果をあげるのは部下自身の責任だ。
相手の考え方に我慢がならない時もあるだろう。その時は一緒に働く必要はない。お互いが不幸なだけだ。
だが、一緒に働くという結論をだすならば、「相手の考え方が自分と違う」と、成果があがらない言い訳をすることは、恥だと考えなければならない。
成果をあげたいならば、考え方ではなく行動と分析に焦点を当てなければならない。
所詮本質は、「考え方を変えたら成果が出ました」ではなく、「成果が出たので、考え方を改めました」なのだ。
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