2754716707_b34c6aaf25_z何かの失敗について振り返るときに、2種類の人間を見かける。

「犯人探し」をする人間と、

「原因探し」をする人間

の2種類だ。

彼らは似たことをしているようだが、その実は全く異なる。

 

「犯人探し」を主に据える方の発言は以下のとおりだ。

「誰に責任があるのだ」

「こんなことになってしまって、どうしてくれるのだ」

「謝罪せよ」

「担当者を変えろ」

「あいつが悪い」

「やる気が無い」

彼らの頭の中にあることは、「この事態を招いた人間を糾弾し、責任を取らせ、意識改革を促すこと」だ。したがって、彼らは失態を犯した人を糾弾しなければならないと考える。

 

代わって、「原因探し」を主に据える方の発言は以下のとおりだ。

「何がこの事態を引き起こしたのだ」

「どのような方法がまずかったのか」

「何が原因なのか」

「やり方を変えよう」

「仕組みを変えなければ」

彼らは「人」の責任も考えるが、むしろ「システム」「仕組み」の何に欠陥があるのかを考える。「有能な人がいなければ回らない仕組みは、欠陥がある仕組みだ」という。

 

もちろんどちらが正しいと断言できることではない。

だが、企業において継続性のある成功を求めるのであれば、後者のほうが格段に優れている。

 

ピーター・ドラッカーは著作※1の中で、次のように述べた

前職において十分な仕事ぶりを示してきた人を二人、三人と挫折させる仕事は、そもそも人の仕事ではないものと考えなければならない

勘違いされやすいが、「卓越した人でなければ成功できない仕事」はそもそも会社にとっては敵である。

 

もちろん有能な人に任せるのと、無能に任せるのとでは成功の確率は天と地ほども違う。

しかし、無能に大きな仕事を任せる人はほとんどいない。どんな企業でもそれなりの仕事にはそれなりの実績を持つ人を充てるはずである。

したがって、仕事における失敗の原因はほとんどの場合

「仕組み」

「制度」

「環境」

にあると考えるほうが遥かに妥当だ。

 

 

コーネル大学で食品・ブランド研究所を運営するブライアン・ワンシンクはこんな実験を行った。※2

 

映画館の観客に、ソフトドリンクとポップコーンを無料で渡した。一方のグループにはMサイズの容器に入ったものを、もう一方のグループにはLサイズの容器に入ったものを。どちらの容器も大きく、食べきれないほどの量のポップコーンが入っている。そしてポップコーンは「湿気っているマズイもの」を入れた。

 

一見何の実験かわからないが、真の目的は「大きい容器を渡された人ほど、多く食べるか?」を測定することにあった。

結果は意外なことに、たとえマズいポップコーンでも、Lサイズの容器を渡された方の人々はMサイズの人々よりも53%も多く食べていた。しかもこの実験は再現性があった。つまり、「ダイエットをしたければ、小さな皿に盛れ」ということがわかった。

これは、人間の意識の問題に見えても実は環境の問題であることが多くある事を示している。「大食いに気をつけろ」と人に意識改革を促すよりも、皿の大きさを変えるほうが遥かに簡単だ。

 

 

パフォーマンス改善を意識改革に求めることは「頭の悪い行為」である。ほんとうにパフォーマンス改善をするために人の行動をを変えたいなら、「環境を変える」のが最も効果的だ。

 

 

トヨタはトラブルの真の原因を分析するために「なぜそれが起きたのか」を5回繰り返して問うという。だが「頭の悪い会社」にはそれを使いこなすことはできない。

なぜならば「なぜ」を5回繰り返すと、大抵「担当者の不注意」や「担当者のスキル不足」など、安易に人の責任にしてしまう誘惑が働くからだ。

そこにはたいてい、喜々として「犯人探し」をする人間がいる。

 

だが、そんなことをしているヒマがあったら、「どのように環境を変えればパフォーマンスが上がるか」に頭をつかうほうが遥かに建設的であることは言うまでもない。

 

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