本校での「学び」を端的に表す言葉として、私が好んで使っているのが「Real Life and Street Smart」というフレーズです。

その意味を簡単にまとめると

 

(1)学校での学びは、教科書の内容を覚えるとか、テストなどで良い点数を取るといった、単に教室内だけで磨かれる表面的な知識の習得をさしているのではない。

(2)学びの目的は、生活に即した、より良く生きることへの追求《Real Life》であり、そういった学びは教室や教科書の中にとどまらず、街中でさまざまな人たちと関わり、生きていくことを通してこそ身につくもの《Street Smart》である。

(3)さまざまな体験や幅広い経験を通して《生きた学び》を積み重ね、《街中で賢い人》になっていく。滋賀学園の3年間で、人生をいきいきと過ごしていける、聡明で逞しい人に育ってほしい。

 

もちろん、これを生徒に求める以上、私たち教員(大人)も同様の学びを積み重ねていかなければなりません。では、果たして、自分はそうしているだろうか?

それを振り返らせてくれる、こんな出来事がありました。

 

 

30年来の知り合いであるF商事のNさんから、ある会合で講演の依頼をいただき、打ち合わせをしました。その後、こんなメッセージをいただきました。

「私の友人のIさんは、30年前からすごい人でした。安居先生は30年かけて、すごい人になられました。」

確かに、図星です。

同年代のIさんは関西の雄、国立K大学を卒業後、若くしてご自身の会社を立ち上げられ、3年前には日本e-Learning大賞を受賞されました。マルチメディア学習システムのパイオニアです。

 

それに引き替え、私は・・・

30年前といえば、教員になってまだ日が浅い頃。頑張れば認めてもらえるとか、一生懸命にやれば報われるだろうとか、あくまでも自分中心に物事を考えていたように思います。

できることは何かを考え、持てる力を出し切って仕事をし、それなりに充実していたことは確かですが、いま思えば、思考の原点や判断の出発点が「自分」でした。それを指して、Nさんは「ごくフツーの先生っていう感じだった」と言い放ちました。

至極当然、そのとおりだと思います。

 

決して、先生という立場で物事を考えていたわけではありませんが、そこにいた私は、たくさんのしがらみや鎧を身につけながら、知らず知らずのうちに本音を隠していた臆病者です。

そんな状態では、いくら「とことんやっている」と言ったところで、それは嘘になります。あくまで鎧を身につけた自分がしている判断や行動なので、どこか「他人事」のような感覚が拭いきれません。

それが「フツーの先生」という印象として、Nさんに伝わっていたと思うのです。

その後、幾多の苦労や人生の転機を経て私が学んだことは、「起こることは必然」「すべてがリアル」「素の自分が判断根拠」「やりたいことをやりたいと言う」「人の縁がすべて」「本年で生きる」・・・ということでした。

 

まさに、これこそStreet Smartに他なりません。

「カッコつけたって無駄」「鎧をどれだけ脱げるか」ということこそ、相手の信頼を得るために必要なことであり、それが「人の縁」の出発点だということです。

鎧を脱ぐと、肩の荷が下ります。物事への対処が、自然体になります。どういう結果になろうが、すべてを受け入れられるようになります。

結果、生きることが楽になります。楽になると、とことん打ち込めます。一生懸命さがストレートに伝わり、相手の心にダイレクトに響きます。そこに信頼感が生まれ、この人の言うことなら聞いてみよう、この人と一緒に仕事をしよう・・・という感情を呼び起こします。

なんて、クリアなんでしょう。

そんな振り返りをFacebookに書いたところ、Nさんから、こんな言葉が届きました。

 

———-

失礼なことを申し上げました。お許し下さい。普通の先生でも、とても「いい人」だと感じていました。今も「いい人」であることはお変わりありません。いい人が一生懸命だから伝わるのだと思います。優しく、人なつっこい語り口は30年前と変わりません。

しかし、発せられる言葉は変わりました。「いい人」が発するから、尖った言葉も伝わるのだろうと思います。それに比べて30年間、私は鎧を着たままだなあと思います。ひょっとしたらもう1枚着込んだかもしれません。

———-

 

 

いま、私は多くの人に支えられ、やりたいことを一緒にやってくれる人と巡り会い、試行錯誤しながらも前向きに生きつつ、喜怒哀楽をリアルに感じられる日々を送っています。

ほんとうにありがたいことです。

まだまだ、スゴイ人になれたわけではありませんが、自分自身が成長できたのは物事の視点を「自分」ではなく「相手」や「みんな」に置いたからだと、つくづく感じます。

相手あっての自分

人の縁あっての人生

もっともっと「素の自分」で生きていきたいと思います。

 

☆☆☆

 

【お知らせ】
「記憶に残る企業」になるには?“第一想起”を勝ち取るBtoBマーケ戦略を徹底解説!
BtoBにおいて、真に強いリストとは何か?情報資産の本質とは?
Books&Appsの立ち上げ・運用を通じて“記憶されるコンテンツ戦略”を築いてきたティネクトが、
自社のリアルな事例と戦略を3人のキーマン登壇で語ります。



お申し込みはこちら


こんな方におすすめ
・“記憶に残る”リスト運用や情報発信を実現したいマーケティング担当者
・リスト施策の限界を感じている事業責任者・営業マネージャー
・コンテンツ設計やナーチャリングに課題感を持っている方

<2025年5月21日実施予定>

DXも定着、生成AIも使える現在でもなぜBtoBリードの獲得は依然として難しいのか?

第一想起”される企業になるためのBtoBリスト戦略

【内容】
第1部:「なぜ“良質なリスト”が必要なのか?」
登壇:倉増京平(ティネクト取締役 マーケティングディレクター)
・「第一想起」の重要性と記憶メカニズム
・リストの“量”と“質”がもたらす3つの誤解
・感情の記憶を蓄積するリスト設計
・情報資産としてのリストの定義と価値

第2部:「“第一想起”を実現するコンテンツと接点設計」
登壇:安達裕哉(Books&Apps編集長)
・Books&Apps立ち上げと読者獲得ストーリー
・SNS・ダイレクト重視のリスト形成手法
・記憶に残る記事の3条件(実体験/共感/独自視点)
・ナーチャリングと問い合わせの“見えない線”の可視化

第3部:「リストを“資産”として運用する日常業務」
登壇:楢原 一雅(リスト運用責任者)
・ティネクトにおけるリストの定義と分類
・配信頻度・中身の決め方と反応重視の運用スタイル
・「記憶に残る情報」を継続提供する工夫

【このセミナーだからこそ学べる5つのポイント】
・“第一想起”の仕組みと戦略が明確になる
・リスト運用の「本質」が言語化される
・リアルな成功事例に基づいた講義
・“思い出されない理由”に気づけるコンテンツ設計法
・施策を“仕組み”として回す具体的なヒントが得られる


日時:
2025/5/21(水) 16:00-17:30

参加費:無料  定員:200名
Zoomビデオ会議(ログイン不要)を介してストリーミング配信となります。


お申込み・詳細
こちらウェビナーお申込みページをご覧ください

(2025/5/12更新)

 

<プロフィール>

安居長敏(Nagatoshi Yasui)←名前をクリックすると今までの記事一覧が表示されます
私立中高校長。

高校で20年間教員をした後、コミュニティFMの世界へ飛び込む。県内で2局を運営、同時にPCオンサイトサポートを個人起業。11年前、再び教育現場に戻り、「生徒が自ら学ぶ学校へ」改革を推進。4年前から現職。

・Facebook →12799032_966933036675803_8989260437419551489_n facebook.com/yasuis
・Twitter →1YB44m9q_400x400 twitter.com/yasuis
・校長Blog → YASUI’s web diary