仕事で、「すぐに身を守るクセ」がついてしまっている人とよく出会う。

「すぐ身を守るクセ」とは何のことか。

例えば、チーム内で何か問題が起きたり、仕事の質が今ひとつだったりすると、何より先に「私は悪くないですよ」と主張するタイプの人だ。思い当たる人が何人かいるのではないだろうか。

 

例えばこんな人がいた。

その方はデザイナーだった。腕は悪くない、きれいなものを作るのだが、1つこまったことがあった。

 

出してきたデザイン案に、ちょっと意見を加えると、

「ご指示通りにやったのですが、ここは変えたほうが良いということですね。」

と返してくるのだ。

 

あるいは、締め切りの当日になって

「一昨日急な仕事を部長から頼まれたので、間に合いませんでした」

と言ってくる。

 

こんなこともあった。

「一回、デザイン案を見せてくれ。それを基に皆で議論しよう」と上司が言ったところ、

「ちゃんと方針を決めてからにしていただけないですか、あとからいろいろ言われて修正するのは無理なので」

という。

部長が「気持ちはわかるが、それだとデザイナーを雇っている意味がないだろう」と言うと、

「先に決めてくれないから、いつも私が苦労するんです」と反抗した。

 

これらに共通するのは、「指示通りやりました」「仕事を頼まれたので」「先に決めてくれないから」と、私は悪くない。他が悪いという考え方が全面にでてしまっていることだ。

 

 

だが、「すぐに身を守るクセ」がある人の、上のような仕事の仕方はどこで身にについたのだろうか。彼らの身の上に思いを馳せる。

前職「こんなことは指示した覚えはない、お前が間違ったのだから、もう一度やりなおせ」と言われつづけてきたのだろうか。

それとも「絶対自分の非を認めるな」という指導を受け続けてきたのだろうか。

 

場合によっては、この人も被害者なのかもしれない。

が、本人の責任ではないにしても、周りはもはやこの人に安心して仕事を頼めなくなっていることがほとんどだ。

 

上の部長さんは、「どんなやり取りであっても「あなたのせいです」「私は悪くないです」と言い続ける人とは、気持ちよく仕事できない。」と言う。

彼らは、今ではこの人に仕事を頼む時、「あなたのせいではないですが」と、気を遣って必ずつけているそうだ。

 

だが、その方は30すぎで、もうすでに四回ほど転職していると聞く。

部長は「面接ではわからなかったよ」とため息をついている。

 

残念ながらその方は今も職場で孤立しつつある。

部長は「はやく悪いクセを改めてくれることを期待するのみ」と言った。

 

 

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Nicola Jones