育児に関して極論を噴き上げちゃう人に、三つだけ言いたいことがあります。

 

・子どもはひとりひとり全く違うし、家庭の事情も家庭ごとに全く違います」

・それへの理解無しに、ファウルライン付近で「○○するべき!!」「××するなどもっての他!」「△△してはいけない!」と吹き上がっても、単に親(特に母親)が疲弊するだけで誰も幸せになりません」

・育児論は、「私はこうやって、割と上手くいっている」とか、「こういうやり方お勧め」くらいのニュアンスに留めておいた方が平和なのではないでしょうか。

 

以上三点です。

なんというか、育児や教育に関する議論って、webにおいてはもの凄く先鋭化し勝ちであるように思います。極端な仮想敵を設定して、その仮想敵を相手に、更に極端な攻撃をしかける、みたいな議論を観測する機会が多いんですね。

こういう文脈で取り上げるのはちょっと申し訳ないんですが、ちょっと前、こんな記事を見かけたんです。

 

大人は子どもに絶対に怒りをぶつけてはいけない(リンク先はこちら

そういうわかりやすいものだけではなくて、「なんでそんなこともできないの!!」「泣くんじゃない!!」「他の人に迷惑でしょ!静かにしなさい!!」と暴力的な言葉で、子どもを脅している場面にも何度も遭遇したことがあります。

けれどもそれは「虐待をしている」とまでは言えないと思います。だけど、問題なのは、そういう親たちは感情のままに「怒り」をぶちまけているだけにしか見えないということです。

それに、本当の意味できちんと子どもと信頼関係を築けていれば、子どもはちゃんと親(大人)の言うことを聞いてくれるはずです。それができてないということは、やはり何か原因があるということなんじゃないですかねぇ。

「子どもに対して、正当な叱責ではなく、理不尽な怒りをぶつけてしまう未熟な親」が仮想敵になっている議論ですよね。

 

えーとですね。これ、極論であることを除くと、おっしゃってることに論理的な間違いはないんです。

確かに、理想を言えば、親は感情抜きで冷静に、子どもが良くないことをしてしまったら整然とそれを叱るべきなんでしょうし、子どもは感情をぶつけられれば理不尽な思いをして、大人に対する信頼を毀損してしまうのかも知れません。怒りの表出を避けることが、もしかすると「親のあるべき姿」なのかもしれません。

私だって、道端で大声で子供を怒鳴りつけてる親御さん見れば、「まあまあ、そこまで激しく怒らなくってもええやないですか」と思うことありますよ。それは確かです。

 

ただ、三点指摘するとすれば、

・親も子どもと同様生き物であって、表に出ないよう感情を完全に抑え込めるわけではない

・子育てはただでさえ大変なのに、たまたま感情を抑えられなかった時に、「ああ、また子どもを怒ってしまった」なんて自分を追い詰めてしまうようなことがあれば、子どもも親も幸せになれない

・家庭の事情、親の事情、子どもの事情はどこまでいっても「人それぞれ」であって、一言でまとめられるようなものではない

 

端的に言ってしまえば、「絶対に怒りをぶつけてはいけない」という言葉はハードルのガン上げ過ぎます。人間は感情の生き物なのであって、感情を完全にコントロールできる人はそうそういません。たとえ普段「なるべく抑えよう」と努力していたって、時には感情が表に出てしまうことだってあるでしょう。

 

それに対して、「親が子どもに怒りをぶつけるなんてもっての他!」という言葉をぶつけていては、子育てという行為自体のハードルが上がって、「私には子育てなんて無理だ」って思う人も増えれば、「怒りをぶつけてしまった」と自分を責める人だって増えると思われませんか。

それ、結局誰も幸せになれてないと思うんですよ。育児なんてただでさえ疲弊する場面が多いのに、よりいっそう疲弊する要因を増やしてどうするのかな、と。

 

怒りのやり取りに限った話であれば、家庭ごとの事情もあれば、親の事情、子どもの事情もあります。多少強く言われないと全く耳に入らずケロっとしている子どもだって中にはいるでしょうし、子どもは案外柔軟なもので、後からフォローすればちゃんと親の事情を理解してくれる子だっているでしょう。

ひとことで「××は絶対ダメ」って断言してしまうことって、特に子育てにおいては凄く危険な行為だと思うんですよ。

 

別に上の記事、上の話題に限った話ではありません。というか、上のような論調は氷山の一角であって、Web上に同じようなニュアンスの記事は山のようにあります。

「育児においては○○するべき」「教育は××であるべき」という意識が一人ひとりあまりにも強くって、その「強い意見」が適当な仮想敵に対して具現化して、あんまり関係ない人を傷つけまくる、というような構図はかなり多いように思います。育児論って、仮想敵に対する敵対心がやたら高い議論が多いなあ、と。

 

分かる部分も、そりゃあります。

「子育て」という言葉と全くかかわったことがない人はいません。多かれ少なかれ、だれもが「育てられた経験」を持っているものですし、人によっては「育てた経験」ももっているものです。それだけに、育児にまつわるエピソードにはみんな感情移入しがちになりますし、「一家言もっている人」も増える。

確かに、育児において、はっきりとした「アウト」のラインというのもあるのだろうと思います。虐待やネグレクト、暴力がアウトだなんてことは、もういちいち言う必要もない当たり前のことです。

 

ただ、それにしたって、そんな「アウト」のラインを気にしなくちゃいけない親なんてごくごく一部でして、大部分の親御さんはファールラインのだいぶ手前で、頑張ってバランスを取ろうとしていると思うんです。

そこを無理やり一般化しようとするのは、ちょっと危険過ぎやしないかな、と。

親としての視点で言えば、子育てに全力を尽くすのは当たり前のことだけど、当事者でもない周囲が子育てのハードル上げまくるのはちょっとどうなのかな、と。

 

育児なんて子供によって何が適しているか変わってくるんだから、一言で「何が正しい」「何が間違ってる」なんて言えるわけないんだし、極論投げつけあうのやめましょうよ誰も幸せになりませんよ、と。

 

しんざきはちょこちょこ育児についての話を書きますが、出来る限り、「ほかのご家庭の育て方の否定」は避けるようにしています。

「こういうやり方をやってるよ、それで今のところは上手くいってるよ」「こういうケースもあるよ、こういうのお勧めかもよ」というくらいの方が、育児論ってのは平和ですし、そういう「お勧めエピソード」こそ「子育ての楽しさ、子育ての幸せ」を伝えるのにもっとも適しているのではないかなあ、と考えてもおります。

そんな中、皆さまの育児にも何か役に立つ話、皆さまの心を軽く出来る言葉を、ちょっとでも届けられれば幸いなことこの上ないなあ、と、そんな風に考える次第なわけです。

今日書きたいことはそれくらいです。

 

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(2020/2/17更新)

 

【プロフィール】

著者名:しんざき

SE、ケーナ奏者、キャベツ太郎ソムリエ。三児の父。

レトロゲームブログ「不倒城」を2004年に開設。以下、レトロゲーム、漫画、駄菓子、育児、ダライアス外伝などについて書き綴る日々を送る。好きな敵ボスはシャコ。

ブログ:不倒城