書店は冬の時代を迎えている。
記事によれば、
”海文堂は延べ面積730平方メートルの中規模書店。文芸書や児童書に加え、海事書の在庫が豊富なのが特徴で、最盛期の1996年ごろには売り上げが一日100万円もあった。ところが2000年ごろから低迷し、昨年は最盛期の約6割まで落ち込んだ。福岡宏泰店長(55)は「雑誌が売れなくなったことや全国チェーンの大型書店の影響もあるが、大きいのはネット書店の影響だ」と振り返った。”
店長がAmazonや楽天との競争に敗れたと述べているが、その主な理由は
”海文堂の福岡店長は「お客さんが待ってくれなくなった」と話す。書店が卸業者に注文しても、本が店に届くには1週間前後かかる。それに対し、独自の物流基地を整備したアマゾンや楽天は翌日配達も可能で、地域によっては当日に本が届く。「『1週間もかかるのだったらいらんわ』となる。かなわない」”
更に、「出版社」もまた、冬の時代を迎える。
帝国データバンクの調査によれば、大手出版社、10 社中 7 社が減収という。
ただし、出版社の苦境は本が売れていないわけではなく、主な原因は雑誌が売れなくなったことにある。
本はネットで買い、ちょっとした情報はネットで調べる。
結果的に書店と雑誌は消え、Amazonとニュースサイトが人を集める。
しかし、そういった状況にもかかわらず、本には大きなイノベーションの可能性を感じる。
電子書籍の出現。Kindleを使っていると、iPodが初めて世に出た時のことを思い出す。
当時音楽はせいぜい20曲程度した携帯できなかった。しかし、iPodの出現により、一度に3000曲以上の音楽を携帯することができ、音楽の聞き方が根本的に変わった。「気分に合わせて適当に音楽を聴く」ということが可能になった。
現在、紙の書籍にも全く同じことが言える。いままでは外に本を持って行けても2~3冊だった。ところがKindleとなり、外に本をいくらでも持っていける。
本の読み方が変わりつつある。
適当につまみ食いをしながら読むもよし。気分に合わせてライブラリの中から選ぶもよし。根本的に本の楽しみ方が変わってきた。
次に起きる変化は、なんだろうか。
iTunesは音楽で言う「アルバム」を衰退させた。それと同じく、すでにKindleでは80円から100円で、本が章別に細切れに売られている。
小さい単位で本が売られる。ちょっとした暇つぶしのために。
さらに、マルチデバイス化した音楽プレーヤーは、あらゆる場面で「音楽」に触れる機会を増やしたように、あらゆる場面で「本」に触れる機会が増える。
音楽業界ではCDの購入は減ったが、レンタルが増えた。それと同じように、本の「レンタル」が増えるかもしれない。
書店、出版社はその状況に対応していけるのだろうか。
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(文責-ティネクト株式会社 取締役 倉増京平)
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