日本はちょうどお盆休みの時期だったが、みなさんはどうお過ごしだったろうか。

さて、今年もお盆休みに際し、「バイトでも仕事は仕事論」を目にした。

 

お盆は帰省する人が多いので、ふだんシフト制で働いているアルバイトがこぞって休みたがる。

それに対し、主にサービス業の店長が

「バイトも仕事です。店のことを考え、責任感を持って出勤しなさい」といったお触れを出すのだ。

 

真偽は定かではないものの、店長からの怒りの通達を写真に撮りSNSにアップしている人が複数いて、もはや大型連休のちょっとした恒例行事になっている。

それに対し、「バイトになに期待してんだよ」「連休に出勤してほしければ時給を上げればいいだろ」などという声が多数派のように思えるが、それでも「お盆を丸々休むならサービス業をするな」「雇ってもらってるんだから協力すべき」という意見もあった。

 

というわけで、一体どちらの言い分が”正当”なのか、考えてみよう。

 

「正社員とバイトは区別しない」は筋違いではないのか?

まず最初に、わたしの経験を紹介したい。

わたしは大学4年生の後期、販売員として週40時間、フルタイムでバイトをしていた。

 

その店は、半分が正社員、半分がフルタイムのバイト(非正規労働者)によって成り立っていた。両者の仕事内容に、たいした差はない。

あるとき、わたしは店の売り上げを大きく左右する大きな仕事を任された。「バイトはあくまでバイト」と考えていた大学生のわたしは、「そんな仕事任されても困ります!」と言った。

 

そうすると上司は、「俺は正社員とバイトを区別しない」という返事を返してきた。

わたしは、この発言にまったく納得がいかなかった。

 

企業がバイトを雇う理由は、単純に言えばコストカットだろう。

あえて正社員がやる必要のない、知識も経験もさして必要のない作業をバイトに任せ、正社員の雑務を減らす。そのためにバイトがいるのだ。

バイトはあくまで「単純労働の雑務」担当だから、能力評価によるボーナスはなく、知識や経験を積み重ねる年功序列の給与体系でもなく、時給で働く。要は、時間を売っているにすぎない。

 

バイトの時給なんて、上がったとしても数十円から数百円単位だ。売り上げに貢献してもそれしか給料が上がらないのに、必要以上にがんばる必要があるのだろうか。

当時のわたしは、そう思っていた。

 

正社員とバイトの間に待遇格差がある限り、アルバイトに正社員と同じ貢献度を求め、知識や経験を基にしたステップアップを期待するのはおかしい。

それがまかり通るならば、正社員を雇わず安く使えるバイトだけを採用したい運営したい企業が増え、非正規労働者がますます増えてしまう。

……と考えたところで、「もうすでにそういう状況だな」と思ってひとり納得してしまった。

 

「バイトも仕事は仕事論」も理解できるが……

この記事を書くにあたって少し調べてみたのだが、法的に「正社員とバイトに任せる仕事は区別する」という規定はないようだ。

また、「客からすればだれがバイトだろうが社員だろうが関係ない」という意見も理解できる。

 

だから、「バイトも仕事は仕事論」も一理あるだろう。

バイトであっても、給料をもらっている限り誠実に仕事をすべきだ。それに異論を唱えるつもりはない。

 

だが、「店のことを考えろ!」と言うのなら、雇用主はバイトとして働いている労働者の生活を保障する十分な待遇を用意するべきじゃないだろうか。

逆に、「安い労働力としてちょっとした作業を手伝ってもらいたい」とアルバイトを雇っているのなら、「アルバイトはあくまで臨時的な助っ人」と割り切り、多くのものを期待しないのが筋ではないだろうか。

 

正社員よりも圧倒的に不利な待遇でアルバイトを迎えておきながら、正社員と同じ仕事内容や貢献度、責任感を求めるのは、理不尽だ。

アルバイトが休むことで仕事がまわらなくなるくらいバイトに頼っているなら、社員と同じ待遇で雇って生活を保障した上で、店への貢献を期待すべきではないだろうか。

 

格差是正or待遇格差ありの単純作業

現在日本は、「同一労働同一賃金」導入に向けて動いている。同じ仕事をしている人には同じ給料を与え、非正規労働者が被っている不合理な格差をなくそうというのだ。

現行法では、正社員と非正規労働者の待遇格差が「合理的かどうか」の判断は、とてもあいまいになっている。

 

そのため、フルタイムで働き重要な仕事をしているのに、アルバイトという立場で不安定な生活を送っている人がいる。

逆に、大学に通いながらお小遣い稼ぎとしてバイトをしているだけにも関わらず、滅私奉公を求められる人もいる。

 

「バイトでも仕事は仕事」だ。だが、大事な仕事を任せたり、店の経営がバイトに依存しているのであれば、同一労働同一賃金のもと理不尽な格差は是正されるべきだろう。

逆に、「所詮バイト」として割り切って雇っている/雇われている人に対しては、単純作業だけを任せて、それに見合った安い賃金で働いてもらえばいい。

 

前者のように、バイトでも重要な役割を果たし、待遇での格差がないのであれば、「バイトでも店のことを考えて貢献しろ」が通用する。

一方で、単純な作業だけを安い賃金でこなしているバイトに対しては、「バイトに期待するな」という話になる。

アルバイトに正社員のような貢献を求めておきながら安い賃金しか払わないのは、ただの搾取だ。早いところ、理不尽に多くを求められるアルバイトの現状が変わってほしいものだ。

 

 

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(2026/8/17更新)

 

【プロフィール】

名前:雨宮紫苑

91年生まれ、ドイツ在住のフリーライター。小説執筆&写真撮影もやってます。

ハロプロとアニメが好きだけど、オタクっぽい呟きをするとフォロワーが減るのが最近の悩みです。

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(Photo:nelio filipe