就活真っ只中のこの時期、「大企業と、ベンチャー・スタートアップ、どちらに行ったほうが良いか」という質問が少なくない。

 一昔前の終身雇用の時代ほど「最初の一社」が持つ意味合いは大きくないが、それでも就職先は専門性やキャリアの方向性を大きく決めるのだから、悩むのも当然といえば当然だろう。

 

だが、上のような質問には非常に答えにくい。

「大企業」や「ベンチャー」という言葉の意味が、人それぞれ異なるからだ。

そこで、「あなたの考える、大企業とベンチャーの違いは何か?」と聞く。

 

すると、殆どの人が言葉に詰まる。

そこで、もう少し突っ込んでイメージを聞くと、

「終身雇用の有無」

「規律の厳しさの度合い」

「事業の新規性」

といった、回答が返ってくるときもある。

 

だが、いずれの回答も枝葉にすぎない。

大企業とベンチャーの違いは、そのような制度的なものや事業の性質に左右されるものではない。

 

では、その本質とは何か。 

大企業とベンチャーのちがいの本質は「次の成功が会社にもたらす影響の大きさ」にある。

大企業とはいわば、「すでに何かで成功している企業群」である。そして、すでに成功している企業は、人的資源も、資金も豊富に有している。

 

したがって、「次の成功」の影響は小さい。

資金が不足して倒産することも、マネジメントチームが成功を支えきれずに崩壊することも、大勢の社員が負荷に耐えきれず離職することも、そして業態が変わってしまうこともない。

 

ところが、ベンチャーは異なる。ベンチャーは本質的に脆弱なので、「次の成功」が会社に大きな変化を引き起こす。

資金が不足し、いきなり株主が変わる。社員が爆発的に増え、人事制度が機能しなくなる。あまりの仕事量の増加に、お客さんからのクレームが突然増える。挙句の果てには業態が変わってしまい、大勢の社員が辞める。

 

そんなことが、常に起こり得るのが「ベンチャー」だ。 

したがって、この定義に従えば、単に企業規模や制度、事業形態で「大企業か、ベンチャーか」を決めることはできない。

要するに、ベンチャーとは「身分不相応なことをしようとしている会社」という一言で表される組織である。

 

だから、社員から見れば、経営者は「狂気に取り憑かれている」ようにも見えるし、極端なことを言えば「経営者が、自分の会社をぶっ壊そうとしているように見える」のがベンチャーだ。

当然、「堅実な経営をしている中小企業」はベンチャーではないし、「大企業の一部門がやっている極めて新規性の高い事業」もベンチャーではない。

 

ベンチャーに行きたい人が知っておくべきこと

だから、ベンチャーに行きたい人は、「やりたいこと」や「自分が望む企業風土」などが強すぎると、仕事がうまくいかなかい。それは常に変化するからだ。

 「入社当時、すごく居心地が良かったベンチャーが、全く違う会社になってしまった」も当然、よくある。

 

ソウルドアウト社の荻原氏は、以下のピーター・ドラッカーの言葉をを引き合いにだす。

ベンチャーが成功するのは、多くの場合、

予想もしなかった市場で、

予想もしなかった顧客が、

予想もしなかった製品やサービスを、

予想もしなかった目的のために

買ってくれるときである。

結局のところ「予想不可能性」を楽しむのが、ベンチャーでの働き方、ということだろう。

その荻原氏は「ベンチャー」を体現しているいくつかの言葉をまとめている

 

◯グローイングペインを楽しむ

ベンチャーは「いつもどこかが工事中」です。成長すれば、金も人も、常にリソースが逼迫しています。

例えるならば、発展している都市はそんな状態です。成長しているのであれば、当然のように逼迫は起きることです。

 

ベンチャーで働く場合、このグローイングペインは成長の証でもあり、非常に喜ばしい、歓迎すべき状態でもあります。乗り越えると、次のフェーズに移動できます。

なので、皆がグローイングペインを知識として持って理解できれば、皆で乗り越える空気が生まれてきます。ベンチャーであれば成長は尊い。グローイングペインは楽しんだ方が良いと思います。

  

◯モラルなきところに発展なし

企業は社会の公器です。会社の成長とともに管理コストが増えるのは当然といえます。

コンプライアンスは個人を守るものであり、ガバナンスが発揮されて企業は健全に発展します。

結局は、誠実な会社が発展することは昔から何も変わっていないと思います。

 

◯未来にしか興味がわかない

ベンチャーは新領域に挑戦する企業だといえます。

つまり新領域の土俵で戦うため、前例がありません。ロールモデルもいません。過去の失敗は分析しつつも、前進することが正義となります。 

ベンチャーは高速道路を走っているようなものなので、何メートルも先を見ながら運転するものです。バックミラーを見て運転しません。車線変更する時ぐらいです。

 そう考えると特にベンチャーは未来に対する興味度合いが高いのかもしれません。

 

 ◯心地よい環境は筋肉が劣化していくだけ

ストレッチな環境で経験出来るような場に身を置くことは成長に繋がります。そのような環境で目標を達成しようと前進することが、成長を促すのです。

貢献したい、必要とされたい、成長したい、でも楽して心地よい環境にいたい、では言動一致しません。自ら学んで経験して鍛え、成長の実感を得る、このサイクルが大切なのだと思います。

 

◯会社や誰かのせいにしても時間は過ぎていくだけ。 

ベンチャーに身を置けば、自分の意志とは関係なく、変化に翻弄されるときもあるでしょう。

成長市場であれば尚更。外部環境の変化、テクノロジーの進化は止まりません。

 変化はストレスかも知れませんが、成長の前提は変化ですから、会社や誰かのせいにしても、問題は解決しません。変化をもとに戻すことはできないのですから、無為に時間を過ごすのではなく、できることを始めましょう。

 

でも愚痴が言いたくなったら、遠慮なく言ってくれ、と思います。仲間が「うんうん、そうかそうか。」って聞いてくれるから。

愚痴が言いたくなる時だって、そりゃあります。でもそれを聞いてくれるのが仲間だし、そんな戦友の存在こそ大きな財産とも思うんです。もちろんベンチャーに限った話ではありませんが、仲間こそ宝ですよね。

  

 

以上の荻原氏の言葉に共感するところが多ければ、「ベンチャー向き」かもしれない。 

「大企業と、ベンチャー・スタートアップ、どちらに行ったほうが良いか」との問いは

「私は安定を欲しているのか、それとも真に変化を欲しているのかどうか」という問いと同じなのだ。

 

 

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(Photo:Dr. Wendy Longo