はじめまして、私は都内でサラリーマンをやりつつ、他にマンション、アパートを数棟経営したり、いくつか投資みたいなことをやっております、ひろすぎと言います。

サラリーマンと起業家の境界みたいなところにいることから、そのどちらの良さ、悪さも分かっているつもりですし、そのギャップを楽しみつつ生活しています。

 

ところで新年度に入ってから約1ヶ月が経ち、新しい環境にも慣れてきた人が多いのではないでしょうか。

新人を見ていても、何となくその会社に慣れるために、意味も分からないまま会社独特の略称を使い始めたり、業界用語を使い始める頃ですよね。

この「染まっていく」過程が、サラリーマンの特徴とも言えます。

 

そこで今回は、「サラリーマンに染まっているなあ」という人を見て、思ったことを書いてみたいと思います。

 

サラリーマン道を邁進する人の特徴

サラリーマン道、というと猛烈サラリーマンのイメージをもつ方も多いかもしれません。

仕事を遅くまで頑張って、ランチはデスクで弁当をかきこみ、週の半分は接待含めて飲み歩くような人です。

その人達は「猛烈型」のサラリーマン道の求道者です。

 

でも、実は「知らず知らず型」のサラリーマン道を歩んでいるケースが多く見られます。

「知らず知らず型」とは例えば……

・評価者である上司の顔色だけ伺う人。

・自分で責任を取りたくないから、とりあえず反対意見を言っておき、後から俺、私は一応言ったからなと言う人。

・会議のコスト(参加者のポスト、支払う人件費など)を全く考慮しないで、とりあえず打ち合わせしたがる人。

・やりたい事を通すために、時間がないので(と誤魔化して、仕方ないな)承認を取る人。

などなどです。

 

それは、実際の企業だけでなく、それらを題材として描く企業漫画のトレンドにも現れています。

以前は島耕作シリーズやサラリーマン金太郎など強い主人公が登場し、経済成長の中で、企業の中の激しい戦いに勝ち残ることが地位や名誉につながるというようなサクセスストーリーが多かったですよね。

 

しかし、最近は違うようです。見かけて面白いなぁと思ったのは「社畜!修羅コーサク」。

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どっかで見たような名前の主人公が、東京から墓多(博多?)に飛ばされるのですが、降りかかって来るさまざまな災難を社畜根性で乗り越えていくというもの。

(社畜!修羅コーサク 1話より)

おそらくこの漫画を見たことのある人は、漫画だと思ってバカにすると思います。

しかし、これは他人事ではありません。なぜなら、人は「なりたい人」になるのではなく、近くにいる数人に影響されていくのですから、このような人が周りにいれば、我々も同じようになっている可能性が高いのです。

そして「知らず知らず」に、かつて自分が嫌悪していたようなサラリーマン像に染まっていく……。

 

例を挙げましょう、私の知り合いにこんな人がいました。

彼が社内研修で自らの動画を撮影した時の話です。部下をマネジメントする研修、といった、よくある研修でした。

その彼が言うのです。

「動画で撮影された自分を見ると、非常に驚く」と。

 

自分の声を録音して聞くと、イメージと違ってショックを受けるっていう経験は誰でもあると思いますが、それとは比べ物にならないレベルのショックだそうです。

当時、彼は直属の上司のマネジメントについて思うところがあり、絶対に真似したくないと思っていました。

しかし、その映像に映っていた彼のマネジメントが、その嫌いな上司のマネジメントスタイルそのものだったそうです。

 

恐ろしいことに、人間というのはなりたい、なりたくないではなく、普段から触れていて、見聞きしている内容や環境に影響されてしまうという事なのです。

 

目に見えない、サラリーマン養成ギブスに気をつけろ

とあるメガバンクが「銀行員らしくない人を採用したい」といったフレーズで就職活動向け学生へのブランディングを行なっているのを見ました。

おそらく、少し意識の高い学生からすると「自分の事では」と受ける企業の候補に入れるのかもしれません。

 

しかし、会社には「サラリーマン養成ギブス」ともいうべき、オートメーションが内包されているため、どんな新人が入って来てもきちんと処理されていきます。

現実的には、本当に銀行員らしくなかった人は、馴染めないで辞めていくか、従来のような銀行員らしいサラリーマンになるかのどちらかでしょう。

 

では、サラリーマン養成ギブスとは、具体的にどんなものか?

例えば、極めて高度に分業化された部署、会社内のサークル活動、頻繁にある歓送迎会、メンター制度などです。

 

ここに挙げたものでお分かりかもしれませんが、サラリーマンをサラリーマンたらしめているのは、その企業を最適化しよう、親睦を深めて働きやすくしよう等と考えられてきたものです。

ここに究極の恐怖があります。

つまり、いくつもの「善意の行為」に慣らされていくうちに、じわじわと「自分が嫌悪していたはずのサラリーマン像」に嵌められていくのです。

そしてそれらは、一つ一つの影響は小さくても、着実にきいていきます。なぜならそれは「習慣化」されるからです。

 

経験から来る習慣というものは、思っている以上に我々を支配しています。

例えば、同じ会社の人とばかり食事したり、遊んだりしている人は、誰々は誰々と付き合っているとか噂話が好きだったりするのですが、同時に世の中一般に対する感度はゲキ落ちしているケースが多いでしょう。

相対的に社外の情報は限定され、今の環境に疑問を感じるきっかけも失っていきます。

同じ職場であれば、グチなどで盛り上がる事もあるでしょう。しかし、その先には根本的な問題解決はなく、現状に不満はありつつも、馴れ合うことによる同質化がされるだけというわけです。

 

先程挙げた活動などに一切参加するなと言っているのではないですが、意識的にインプットを多様化しておかないと、自分自身の常識でさえも思っている以上に影響されてしまっているという事です。

 

そもそも、習慣は脳が省エネをするためのものです。つまり、脳が大きくなった人類が、効率的に生活するための知恵みたいなものです。

例えば、毎朝歯磨きをする時にどちらの歯から磨こうとか意識してする人はいませんよね。習慣による部分を増やすことで、考えなくて済む、つまり省エネをしているということです。

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つまり、「考えなくて済む環境」や「疑問を感じなくなるような環境」に置かれれば、誰でもすぐに「知らず知らず型」のサラリーマンになってしまうのです。

 

よく、ブラック企業の社員はなぜ逃げないのか?という話があります。

ですが、ブラック企業をブラックだと認識できるのは、ブラックとそれ以外を知っているからです。

つまり、自分のいる位置を理解するためにも、それとは違う物を理解するための複数の眼を持っていないといけません。

世の中では収入アップのために副業を考えられる方が多いかもしれませんが、私は自分自身の常識をまともに保つためにも、いくつかやってみる事を強くお勧めしています。

 

この辺りは、また次回以降、書きたいと思います。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオ第6回目のお知らせ。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第6回 地方創生×事業再生

再生現場のリアルから見えた、“経営企画”の本質とは

【日時】 2025年7月30日(水曜日)19:00–21:00
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。
当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。

【今回のトーク概要】
  • 0. オープニング(5分)
    自己紹介とテーマ提示:「地方創生 × 事業再生」=「実行できる経営企画」
  • 1. 事業再生の現場から(20分)
    保育事業再生のリアル/行政交渉/人材難/資金繰り/制度整備の具体例
  • 2. 地方創生と事業再生(10分)
    再生支援は地方創生の基礎。経営の“仕組み”の欠如が疲弊を生む
  • 3. 一般論としての「経営企画」とは(5分)
    経営戦略・KPI設計・IRなど中小企業とのギャップを解説
  • 4. 中小企業における経営企画の翻訳(10分)
    「当たり前を実行可能な形に翻訳する」方法論
  • 5. 経営企画の三原則(5分)
    数字を見える化/仕組みで回す/翻訳して実行する
  • 6. まとめ(5分)
    経営企画は中小企業の“未来をつくる技術”

【ゲスト】
鍵政 達也(かぎまさ たつや)氏
ExePro Partner代表 経営コンサルタント
兵庫県神戸市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。3児の父。
高校三年生まで「理系」として過ごすも、自身の理系としての将来に魅力を感じなくなり、好きだった数学で受験が可能な経済学部に進学。大学生活では飲食業のアルバイトで「商売」の面白さに気付き調理師免許を取得するまでのめり込む。
卒業後、株式会社船井総合研究所にて中小企業の経営コンサルティング業務(メインクライアントは飲食業、保育サービス業など)に従事。日本全国への出張や上海子会社でのプロジェクトマネジメントなど1年で休みが数日という日々を過ごす。
株式会社日本総合研究所(三井住友FG)に転職し、スタートアップ支援、新規事業開発支援、業務改革支援、ビジネスデューデリジェンスなどの中堅~大企業向けコンサルティング業務に従事。
その後、事業承継・再生案件において保育所運営会社の代表取締役に就任し、事業再生を行う。賞与未払いの倒産寸前の状況から4年で売上2倍・黒字化を達成。
現在は、再建企業の取締役として経営企画業務を担当する傍ら、経営コンサルタント×経営者の経験を活かして、経営の「見える化」と「やるべきごとの言語化」と実行の伴走支援を行うコンサルタントとして活動している。

【パーソナリティ】
倉増 京平(くらまし きょうへい)
ティネクト株式会社 取締役 / 株式会社ライフ&ワーク 代表取締役 / 一般社団法人インディペンデント・プロデューサーズ・ギルド 代表理事
顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年以降、生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。
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(2025/7/14更新)

 

【著者プロフィール】

著者:ひろすぎ

30代、都内勤務の兼業投資家。

どうやったら普通の人がお金に困らない暮らしをできるかを模索し、自ら実験する日々。株、不動産をはじめ、いくつかの事業を展開。趣味はお散歩とお酒、旅行です。

 

(Photo:Jeff Lawson