もうすぐ8月15日だ。今からたったの70年前、日本は世界と戦争をしていた。

当時の世に生きていた人々は今の時代を想像できただろうか。日本は世界に名だたる国となり、生活は豊かになり、世界中に日本の作ったものがあふれている。

そして、今から同じく70年後、世の中がどうなっているか、想像するすべもない。21世紀末の世界は、今とはだいぶ異なったものとなるだろう。

 

統計局のデータを見ると、1950年当時、労働人口の約半数は農林水産業に従事していた。さらに、工業への従事者は全体の4分の1。

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従って、全体の75%の労働者は肉体労働者だった。実際、つい70年前には職業は親から子へ受け継がれ、多くの人は、毎日の仕事をこなすことに対して疑問を持つことは殆どなかった。

ところが2005年になると、この割合は大きく変化する。農林水産業への従事者は全体のわずか5%に過ぎず、工業への従事者も3割程度にとどまる。全体の7割近くの労働者はサービス業、専門技術者などの「知識労働者」だ。

「肉体労働者」と「知識労働者」の割合は逆転している。おそらく2014年現在では更に知識労働者の割合は増えていることだろう。

 

しかし、残念ながら「知識労働」は新しい労働形態であり、人類の文明化以来6000年にわたって続けられてきた「肉体労働」のノウハウの集積度合いに比べ、我々が知っていることはあまりにも少ない。

だから、現在の世の中で「仕事」が悩みのタネになっていない人はほとんどいない。現在の我々は、「人と仕事」の関係の再構築を迫られている。

 

では、われわれが「知識労働者」として、幸せに働き続けるには、何が必要なのか。

どのように考えれば、知識労働とうまく付き合えるのか、「知識労働の常識」を下に挙げてみたい。

 

1.成果の定義が最初にある。

肉体労働と異なり、知識労働は「成果」は、自明ではない。

目の前の作業を早く、正確にこなすことが中心の肉体労働に比して、知識労働は「何に取り組むべきか」を考えることがから仕事が始まる。

 

2.学び続けなければならない。

働く限り、学び続けなければならない。仕事の中から得られる知識は限定的である。可能な限り視野を広く取り、組織の外部から新しい知識を学び取る行為を継続することが必要とされる。

 

3.専門家でなくてはならない。

あらゆることに通じることは不可能である。自分の得意とすること、競争力のある知見を持つ分野を作らなくてはいけない。

そのためには、常にその知識を適用、発信する場を持たなくてはいけない。

 

4.協力者を広く集めなくてはならない。

どんな知識であっても、単体では役に立たない。専門的になればなるほど、その知識は断片的なものとなり、世の中への適用は難しくなる。

組織内にかぎらず、世の中広く一般から、協力者を募る必要がある。協力者がいて初めて、あなたの知識は世の中の役に立つようになる。

 

5.多様性を重んじるマネジメントを行わなくてはいけない。

4.が必要だということは必然的に多様性が生まれるということである。多様性をうまく一つの目標に向けることが出来てはじめて、成果をあげることができる。そのために必要なマネジメントを身につける必要がある。

 

 

従来の企業や政府組織などは、ますますその寿命が短くなり、人は自らの持つ「知識」を基に集合、離散を繰り返すようになる。

したがって、そう遠くない未来には、所属する組織、住む場所、職業、専門領域、成果、そういったことが更に流動的な世の中になるのだろう。

安定は、見果てぬ夢となるかもしれない。

 

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安達 裕哉(あだち・ゆうや)
ティネクト株式会社 代表取締役/ワークワンダース株式会社 代表取締役CEO
Deloitteにてコンサルティング業務に従事後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサル部門立ち上げに参画。大阪・東京支社長を経て、2013年にティネクト株式会社を設立。
ビジネスメディア「Books&Apps」運営。2023年には生成AIコンサルティングの「ワークワンダース株式会社」も設立。
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(2025/6/2更新)