「人付き合いが得意です」という方は、どの程度いるでしょう。
個人的には、
「何を話したらいいかよくわからない」
「人と話すと消耗する」
という気持ちはよくわかります。
ところで先日、シロクマ先生が、次のような記事を書いていました。
・人と話すと精神力(MP)が増えるか減るかは、話す内容。状況によって左右される
・もちろん、その人の性質や気質によっても左右される
・体力によっても左右される。その体力の一番無難な回復法は「休息」
この投稿の中で気になったのは、冒頭で引用されていた、以下のツイートです。
多分人と話すとMPが回復していく生き物と、人と話すとMP削れていく生き物は根本的に分かり合えないのだと思う。
— 前島賢(大樹連司) (@MAEZIMAS) August 30, 2024
「人と過ごすのが大好き」な人たちを見ると、確かに「別の人種だなあ」と思う方も多いでしょう。
しかし、今になってみると、私は「別の人種」とは思わなくなりました。
「わかりあえない」とも、あまり思わなくなりました。
というのも、社会人になり様々な会社に出入りするようになったことで、ある程度の「人付き合いの正解」についての指針が得られたからです。
だから今となっては、「人付き合いが苦手な人は、機械的にルールに従ってやればいい」と考えています。
人付き合いとは何か
では観察によって得られた、人付き合いの正解とは何か。
ただし、それを説明する前に、大事なことを定義しておかねばなりません。それは
「人付き合いとはなにか」です。
人付き合いとは一体何でしょうか。
辞書を見ると、「他人との交わり・交際」と書かれています。
しかしそれは表層的な定義です。
おそらく人間同士の付き合い、というのは、突き詰めると、「互いのニーズを満たし合う」ことを期待して行われる活動全般を指すと言えます。
一方的に支配・搾取するだけの関係は長続きしません。
「一緒にいるとホッとする」
「仕事して」
「飲みに行こうぜ」
「私はこういう者です」
「愛してる」
「お願いします」
人間は集団化することで他の生物を寄せ付けないほど強力な種族となりましたが、その連帯の基本は上のように「ニーズを満たし合う」に置かれています。
余談ですが、だからこそ、その究極の形態である、見知らぬ人のニーズすら満たせる「市場」は強力なのでしょう。
ただ、そう考えると、「人付き合い」が、心身を消耗させる理由がすぐにわかります。
人付き合いは、「他者のニーズを満たせるかどうかの不安」を引き起こすのです。
「好かれているか?」
「有能だと思ってもらえているか?」
「話が面白いと思ってもらえているか?」
「役に立っているか?」
このように、他者のジャッジで思い悩むことこそ、「MPがゴリゴリ減る」最も大きな原因です。
そう考えていくと、上で言及された「MPが減りやすい人」というのは、実は「他者の心理を推測しすぎる人」でもあるのでしょう。
良く言えば、配慮のできる人ですが、悪く言うと、他人の顔色ばかり伺っている人とも言えます。
そのように考えていくと、外側から見た「人付き合い」の類型は、「他者評価が気になるか」と「うまく他者のニーズを満たせるか」という2軸、4象限で表現できます。
1.人の評価にあまり頓着がないのに、他者のニーズを満たしてしまえる人は、傍から見ると「陽キャ」です。
2.頓着がなく、かつ他者のニーズを満たせない人への認識は「空気が読めない人」です。
一方で、他者の気持ちについて
3.「気にしい」で、かつ「ニーズを満たせる人」は、「配慮のできる人」で、コンサルタントに多くいるタイプです。
逆に
4.「気にしい」で、かつ「ニーズを満たせない人」は、それはそれで大変ですが「陽キャ」の正反対として「陰キャ」と呼ばれる事が多いでしょう。
この下半分、3.と4.の人たちが、「他人と話すとMPがゴリゴリ減っていく」人種です。
人からの評価がわかってしまうからです。
だから、「MPが減る人々」は、「陽キャ」や「空気が読めないヤツ」を、羨ましいと思うかもしれません。
「人の目を気にせずに行動できるようになりたい」と思うかもしれません。
しかし、これは生まれ持った性質みたいなもので、キャラ変更は原則できないと思ったほうが良いと思います。
そこを矯正するのは、さらに苦労が伴うからです。
メリット・デメリットだけで人間関係を考える
では、どうすればいいのでしょう。
恐らく、こちらにできることは、「MP」を管理、節約することだけです。
「気にしい」は直りませんが、そこに時間と労力を使わない。
要は「メリットのない人間関係に、精神的パワー、つまりMPリソースを投じない」
しか有効な手立てがありません。
この単純なことに気づくまでに、私は非常に時間がかかりました。
プレッシャーに負けて愛想を振りまきたくなるのですが、むしろとにかく意識して、ドライな人間関係に徹する事はかなり重要です。
育てるメリットが皆無な部下に時間を使う必要はゼロです。
上司が私利私欲で動くならば、こちらも私利私欲だけで動く。
嫌なことをいう知人は、眼の前にいるとストレスでしかなくなりますから、即時ブロックし、連絡先から消しましょう。
相手の期待を無視することに、罪悪感を抱く必要はありません。
とにかく人に平等に接しない
好き嫌いを徹底的にはっきりさせる
メリット・デメリットだけで人間関係を割り切る
(この世は戦う価値がある vol.1)
自分でわかってやっているのだから、それでいいのです。これがMPの少ない人にとっての、「人付き合いの正解」です。
人のニーズを無視することで主導権を握る
それどころか、時に優しく、時には冷たく、人間関係に緩急をつけることは、主導権が持てるということを意味します。
ぜひ、人に冷たくする時をもってください。
いつも迎合して、下手に愛想を振りまくと余計に舐められるのです。
「相手の心理を把握できること」ことこそ、「気にしい」の最大の強みなのですから、この武器をうまく使いましょう。
これは、相手の心理が読めない「陽キャ」や「空気の読めないヤツ」とは根本的に取れる戦略の幅が違うということです。
コンサルタントの時、嫌な客からは決して仕事をもらうな、と言われました。下手にでても、メリットが何もないからです。
客の言う事を何でも聞き入れるのは、商売ではありません。
同様に、上司の言う事をホイホイ聞くのも仕事ではないですし、傲慢な部下に迎合するのもマネジメントではないです。
利害、方針、もしくは好き嫌いをはっきりさせること。
これが「MPがゴリゴリ減る人」の唯一の「人付き合いの正解」だと、私は思うのです。
なお、これを実践しているわかりやすい例が「独裁リーダー」です。
実際、経営者が「MP減りやすい人」だと、好き嫌いが激しく、猜疑心のつよい人物として、典型的な独裁リーダーになることが多々あります。
ただし、そういう経営者はだいたい、自分の特性を理解しており、意図的にそれをやっていることが多いのです。
だから、一生治りません。
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【著者プロフィール】
安達裕哉
生成AI活用支援のワークワンダースCEO(https://workwonders.jp)|元Deloitteのコンサルタント|オウンドメディア支援のティネクト代表(http://tinect.jp)|著書「頭のいい人が話す前に考えていること」65万部(https://amzn.to/49Tivyi)|
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