その上司は努力をさせる名人だった。が、彼はいつも、「楽に努力せよ」と言った。

この言葉は一見矛盾しているようだが、そうではない。

何事もうまくやれるようになるためには、たとえ才能があったとしても努力が必要だが、その努力をどのように行うかは選択することができる。

すなわち、つらい努力をするか、楽に努力をするかである。

そして、つらい努力は長続きしない、というか、そもそもそれは単なる「苦痛に耐えている」であって、実は努力ではない。楽に努力をすること、努力を継続するための工夫も含めて「努力」と呼ぶ。

彼は、そう言っていた。

 

例えば、読まなければならない本があるとする。

あなたはそれにとりかかる、10ページも読むとつまらなくなってくる。つらい、でも読んでレポートを作らなければならない。投げ出したくなるところを耐えて、頑張って、10時間でへとへとになって終わった。

これは「努力した」といえるのか。

 

彼は「否」と言う。

楽に努力する人は違う。どうすれば、同じことをするのでも楽に実行できるかを考える。

彼は、この本を読んだことのある人に概要を聞く。「何が面白かったか?」を聞く。そして、レポートを見せてもらう。それを行った上で、本を読み進める。周りにそういった人がいなければ、誰かに協力を依頼する。

そうすれば、いろいろな人の考え方を聞くことで本を読むのが楽になる。人の意見を知ることで自分の考え方も浮かぶ。人と違った特色のあるレポートを作ることができる。

 

例えば、営業でテレアポをしなければならないとする。

新人にとってはあまり愉快な仕事ではない。だが、成果を出すためには毎日実行しなければならない。あなたは大変な苦痛を伴う仕事を、頑張って毎日やり遂げる。

先週は3件アポイントがとれた。今週は2件だけだった。来週も続けなければならない。つらい。

これは「努力」と言えるのか。

 

彼は「テレアポはゲーム」と言った。

電話に出てもらったら1点。目的の人につながったら1点、興味を持ってもらえたら1点、アポが取れたら3点、テレアポの過程を点数化することで、プロセスに改善を促し、変化をつける。

30分で何点取れるか。可視化をすることで自分自身の改善度合いもわかり、また同遼と競うこともできる。

「このゲームに飽きた頃には、なれて何も感じなくなりますよ」と、彼は言った。

 

結局のところ、「努力する才能」なんてものはない。そこにあるのは工夫だけ。

彼は、「「努力せよ」は駄目だ。「努力する方法を見つけよ」と言った。」そこには精神論は存在しない。

 

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(2024/3/13更新)

 

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