最近はTVに、健康食品のCMが非常に多いと感じる。

健康食品は原価が殆どかからず、購入した顧客が継続して購入することが期待できるため、企業にとってはオイシイ商材だが、法律によって広告などに効能を表現してはいけないため、あの手この手で効能を間接的にアピールしようとしている。

 

そのような広告の中で、圧倒的に見かけることが多いのが、「個人の感想であり、商品の効能を確約するものではありません」という文言だ。消費者庁は、「特定保健用食品の表示に関するQ&A」の中で次のように警告している。

1.アンケートやモニター調査の結果、個人の感想等を使用することは、その
内容が、許可された保健の用途を超える効果があるかのような印象を消費者
に与える場合には、虚偽・誇大表示となるおそれがあります。

2.例えば、以下のような場合には、虚偽・誇大表示となるおそれがあります。

例)
(問3-5)試験結果やグラフを使用することはできますか。
(問3-6)アンケートやモニター調査の結果、個人の感想等を使用すること
はできますか。

・ アンケートやモニター調査の調査条件(質問内容、対象者、人数等)を適
切に表示しないもの
・ 特定の疾病を示し、予防・治癒効果があるような内容を記載したもの
・ 医療関係者、大学教授など権威のある者による感想文や推薦文で、効果を
保証するような内容を記載したもの

3.なお、上記のような虚偽・誇大表示のおそれがある場合には、「あくまでも
個人の感想です」等の表示をしたとしても、直ちに、消費者の誤認を避ける
ことができると判断できるものではありません。

と書いており、「あくまでも個人の感想です」と書いたとしても、消費者に誤認を与えるようなCMはダメだと言っている。でも、誤認がダメなら、そもそもCMそのものがダメである。効能がなくても構わない、といって健康食品を買う人など、稀である。

 

もちろん、「プラセボ効果」によって、特に食品自体に効能がなくとも、気分で体調が代わることもあるのだから、一概に健康食品を否定することは出来ない。

だが、「飲むだけで痩せる」であるとか、「健康な生活を取り戻すために必要」という印象を与えるCMを使って販促していることは確かだ。

 

自分はこういったものを買おうとは思わないが、さりとてこういったCMを行う企業を糾弾しようとは思わない。それは別の専門家に任せる。

しかし、データを見れば健康食品の市場規模は約1兆5千億円、買っているのはほとんどが40代以上の女性である。これだけのお金が、「効果があるかどうかわからないもの」、「科学的根拠のないもの」に対して支払われているのだから、人間の購買意欲というものはわからないものである。

 

マーケティングの専門家が

「購入するかどうかは論理ではない、感情である。」

「買った後に、人は論理で自分を納得させようとする」

と言うのは、健康食品のCMを見ても真理であるのだと思う。それが良いことなのかどうかはわからないが。

 

【お知らせ】
ティネクト(Books&Apps運営会社)提供オンラインラジオをはじめました。


<本音オンラインラジオ MASSYS’S BAR>

第1回テーマ 地方創生×生成AI  言語化の価値とその重要性

2025年ティネクトでは地方創生に関する話題提供を目的として、トークイベントを定期的に開催します。

【パーソナリティ】
ティネクト株式会社取締役 倉増 京平

顧客企業のデジタル領域におけるマーケティングサポートを長く手掛ける。新たなビジネスモデルの創出と事業展開に注力し、コンテンツマーケティングの分野で深い知見と経験を積む。
コロナ以降、地方企業のマーケティング支援を数多く手掛け、デジタル・トランスフォーメーションを促進する役割を果たす。2023年は生成AIをマーケティングの現場で実践的に活用する機会を増やし、AIとマーケティングの融合による新たな価値創造に挑戦している。

【ゲスト】
野村圭司氏
一般社団法人インディペンデントプロデューサーズ・ギルド 理事

企業向けの人材開発コンサルティングに従事する傍ら、「可視化の参謀~ファシリテーション・コンサルタント~」として中小企業経営者やキャリア転機にあるミドル世代の想い・悩み・思考・アイデアの整理・言語化・可視化・構造化を通して前進にむけて支援を行っている。


【日時】2025年1月16日(木)19:00–20:30
【ご視聴方法】
ティネクト本音オンラインラジオ会員登録ページよりご登録ください。
ご登録後に視聴リンクをお送りいたします。当日はzoomによる動画視聴もしくは音声のみでも楽しめる内容となっております。


(2025/1/8更新)